マセラティ 3200GT ▲今回、紹介するのは1998年に登場したマセラティ 3200GT

掲載台数10台程度!絶滅前に狙いたい「マセラティ 3200GT(絶版)」

スポーツカーメーカーとして産声を上げたマセラティは、輝かしいレース戦績を保有していた。が、経営はシトロエン傘下に収まったり、デ・トマソ傘下に収まったり、フィアット傘下に収まったり、と紆余曲折あった。

1997年、フィアットが同じく傘下のフェラーリに50%の株式を売却したことを機に、フェラーリがイニシアチブをとってマセラティを再生することになった。

生産ラインには最新設備が投入され、従業員オリエンテーションがフェラーリ社によって行われ、QC活動の取り組みが本格化された、といわれている。

そんな中、1998年に新生マセラティから発表されたのが、3200GTであった。その舞台には当時フェラーリ社とマセラティ社の両社の社長を務めていた、ルカ・ディ・モンテゼーモロと、かつてマセラティ車のステアリングを握っていたF1界の無冠の帝王と呼ばれていた、スターリング・モスの姿があった。

3200GTは、1963~70年まで生産されていた「ミストラル」の名称をつける予定だった。しかし、VWグループによって商標登録がされていたので、過去のモデル「3500GT」にならって、3200GTとなった。この数値は排気量の3.2Lを示す。

搭載していたエンジンは3.2L V8ツインターボで最高出力370ps、最大トルク50.0kg・mというスペックを誇っていた。トランスミッションは6速MTと4速ATが用意されていた。0→100㎞/h加速は5.1秒(4速AT:5.7秒)と発表されていた。

ツインターボは最近の洗練されたシームレスなものではなく、恐ろしいほどいきなり加速力が強まる“ドッカン”ターボであり、運転してみるとその暴れ馬っぷりは感激するほどだった。

マセラティ 3200GT ▲新車時価格が1000万円オーバーだけあって超エレガント

デザインの巨匠ジウジアーロが手がけたエクステリア

0→100㎞加速は2秒くらいに感じられ、アクセルの踏み方によっては直線ドリフトをするほど強烈なもの。ドライバーには笑みがおのずと浮かぶし、こんな車……、他には存在しない。ただ同乗者は、ひきつった笑みになりがちかもしれない。

エクステリアはイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロが、インテリアは天才エンリコ・フミアが手がけた。内外装はエレガントで、どこまでも大人の色気が漂うものになっている。

販売終了から17年たっているが、今でも色っぽさは現役だ。

マセラティ 3200GT
マセラティ 3200GT

新車時1000万円オーバーが100万円前半から狙える!

中古車相場を眺めてみると、とにかく安い。新車時価格1000万円オーバーだったものが、100万円台前半から狙える。おおむね、中古車相場は走行距離と比例しているように見受けられる。

一般的にスポーツカーは時間がたつにつれてMT車が評価されがちだが、3200GTは台数が少なく“出合えたらラッキー”な状態。ゆえに中古車相場でどのように評価されているのか正直、判断がつかない。

3200GTといえば、フェラーリ360モデナと肩を並べていたGTカー。そんな車が100万円台から狙えるなんて、すごい話ではないか?

維持費は……、それなりに覚悟が必要かもしれない。趣味を車と過ごす時間とするならば、自分でDIYにチャレンジするのも手だろう。

純粋な移動の足としては、なかなかオススメしにくい車かもしれない。でも、これほど破格で、これほど美しい車を手にすることは難しいだろう。

そして、ジキルとハイドのような美しさとは真逆の暴れ馬っぷりにほれない人はいないはず。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!

マセラティ 3200GT
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/マセラティ

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マセラティ 3200GT(1998年11月~2002年4月生産モデル)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。