▲今回紹介するのは2代目日産 アベニール。230psを発揮するエンジンを載せたハイパワーモデルも存在した ▲今回紹介するのは2代目日産 アベニール。230psを発揮するエンジンを載せたハイパワーモデルも存在した

とにかく便利、そして走りも良い

かつて存在していたスカイラインワゴン/バン、ならびにブルーバードワゴン/バンを統合させる形で投入されたのが、日産 アベニール(商用バンは「カーゴ」と呼ばれていた)だった。

初代は1990年にデビューし、今回取り上げるのは1998年に登場した2代目だ。

当時のライバルといえば、スバル レガシィツーリングワゴン、トヨタ カルディナ、ホンダ アコードワゴンなどが挙げられるだろう。

ステーションワゴンブーム、今となってはノスタルジックでしかない……。

ライバルがひしめき合う中、2代目アベニールは「ダイナミック・スタイル・ツアラー」というコンセプトで登場した。

乗用ワゴンらしい走りとステーションワゴンらしいユーティリティ性能に重きを置いて開発された。

5ナンバーサイズながら初代アベニールよりも全長が190㎜長くなり、リアサスペンションをラゲージルームへの張り出しが少ない専用のマルチリンク式にすることで、ラゲージスペースが格段に広くなった。

余談だが、トノカバーは一般的な巻き込み式ではなく、数段階に折りたためるお風呂のふたのようなものだった。

基本的にトノカバー上に荷物は載せないという前提だが……なんと約40㎏の重さに耐えられるといわれていた。

このトノカバー、開閉ができるガラスハッチと相まって、狭い場所での荷物の出し入れのしやすさが好評だった。

シートアレンジはフルフラット機構、リアシートの6:4分割機構、リア分割リクライニング機構、リアヘッドレストを取り外すことなく折りたためるダブルフォールディング機構などが設けられていた。

ぶっちゃけ、荷室で寝ることもできるくらい広かった。

また、ラゲージフロア下には「アンダーボックス」が用意され、様々な用途に応じた使い方が想定されていた。

一言でいえば、とにかく便利だったのだ。

▲ザ・ステーションワゴンといったフォルムのアベニール。使い勝手はとにかく良かった ▲ザ・ステーションワゴンといったフォルムのアベニール。使い勝手はとにかく良かった
▲お風呂のふたのように開閉するトノカバー。とても頑丈に作られていた ▲お風呂のふたのように開閉するトノカバー。とても頑丈に作られていた

同時期のシルビアと同じエンジンを搭載したグレードも!

スポーティなGT4系には、最高出力230psを誇る2L 直4ターボエンジン「SR20DET」が搭載された。

このエンジン、同時期のスポーツモデル「シルビア」にも搭載されていたので、車好きの間では話題となったものだ。

ただし組み合わされたトランスミッションは、4速ATのみとなっていた。

GT「4」と呼ばれるだけあって、駆動方式には前後トルク50:50から可変する「アテーサフルタイム4WD」が採用された。

その他、ノンターボモデルは2L 直4エンジン(6速CVT、4WD車は4速AT)、新開発の1.8L 直4エンジン(5速MT、4速AT)、そして2L 直4ディーゼルエンジン(4速AT)がラインナップされていた。

▲シルビアにも搭載されていたSR20DETエンジンを横置きで搭載。今でも名機と呼ばれる、ファンが多いエンジンだ ▲シルビアにも搭載されていたSR20DETエンジンを横置きで搭載。今でも名機と呼ばれる、ファンが多いエンジンだ
▲ミッションは今となっては物足りない4速AT。もしMTモデルがあれば、もっと注目されていたかもしれない ▲ミッションは今となっては物足りない4速AT。もしMTモデルがあれば、もっと注目されていたかもしれない

絶版になってから14年が経過し、流通台数は極めて少なくなっている。

NAモデルなら10万円台でも狙えるが、ターボモデルは思いのほか価値が見出されているような気配が漂う。

たしかに決してスポーツワゴンには見えないので、能ある鷹が爪を隠した雰囲気はある。

国産ステーションワゴンが珍しい存在となっている昨今、ネオクラシックカーとして楽しむのもアリかもしれない。

掲載台数は日に日に減っているため、ちょっとでも気になった方は早めにチェックしてみてほしい!


▲2019年7月9日現在、掲載台数はたった6台。GT4に至ってはさらに半分くらいとなるので、気になったら早めのチェックを! ▲2019年7月9日現在、掲載台数はたった6台。GT4に至ってはさらに半分くらいとなるので、気になったら早めのチェックを!
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/カーセンサー、日産自動車

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古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。