▲その車の名前はズバリ「現行ボルボ S60」の初期年式です! ▲その車の名前はズバリ「現行ボルボ S60」の初期年式です!

同ジャンルの人気車は軒並み300万円超級だが、なぜかこれは100万円台

「4ドアセダン=おっさんの権化」みたいなイメージもなくはないですが、セダンとよく似たスタイルの「4ドアクーペ」だと、なぜかいきなり「イケてる!」という高評価になるのが最近の世の中。実際4ドアクーペというジャンルは今、世界中でなかなかのトレンドになっています。代表的な人気モデルはBMW 4シリーズグランクーペやメルセデス・ベンツ CLSクラス、アウディ A5スポーツバックといったところでしょうか。

ということで、今が旬な輸入4ドアクーペをぜひ狙ってみたいところですが、難点が一つあります。それは「ぶっちゃけ高い」ということです。

や、古い年式の中古車でもよければ比較的安価な輸入4ドアクーペもありますし、それはそれでシブい選択です。しかし今流行中なのは「新しくてシュッとした感じのラグジュアリーな4ドアクーペ」ですので、古めのやつだとまた違うジャンルの話になっちゃうんですね。

新しめの輸入4ドアクーペを狙うとなると、例えばBMW 4シリーズグランクーペだと最初期の14年式でもおおむね370万円以上。ボリュームゾーンは420万~480万円付近です。……正直、誰もがイージーに狙える価格帯とは言い難いものがあります。

となれば「じゃ、あきらめるか」と考えるのが普通ですが、もしもステキな輸入4ドアクーペを本気で狙っているのであれば、簡単にあきらめる必要はありません。なぜならば、車両価格110万~160万円付近で狙えてしまうナイスな現行モデルだってあるからです。

その車の名前は「ボルボ S60」です。

▲11年3月に登場したボルボのミディアムサイズセダンで、「S60」という名前の車としては第2世代にあたります。数々の安全装備が用意されている点も、いかにもボルボらしいところです ▲11年3月に登場したボルボのミディアムサイズセダンで、「S60」という名前の車としては第2世代にあたります。数々の安全装備が用意されている点も、いかにもボルボらしいところです
▲ボルボ自身はこの車を「スポーツセダン」と呼んでいますが、まぁ普通に考えてこのボディラインは「4ドアクーペ」と呼んでも差し支えないでしょう。それでも全高は1480mmありますので、頭上空間が狭苦しいということもありません ▲ボルボ自身はこの車を「スポーツセダン」と呼んでいますが、まぁ普通に考えてこのボディラインは「4ドアクーペ」と呼んでも差し支えないでしょう。それでも全高は1480mmありますので、頭上空間が狭苦しいということもありません

走行距離数千kmレベルの物件でも100万円台半ばから!

現行ボルボ S60は11年3月に登場した、ボルボ自身は「先進の安全性能と洗練を極めたスポーツ・セダン」と呼んでいる4ドアモデルです。そのように書くと「なんだよ、4ドアクーペじゃなくてセダンかよ!」というクレームも来そうですが、そもそも4ドアクーペというジャンルに明確な定義はないんです。車高が低めで、前後のピラー(支柱)がやや寝ているクーペっぽいデザインの4ドアセダンを、そのメーカーが「4ドアクーペ」と呼ぶのか、それともボルボ S60のように「スポーツセダン」と呼ぶのかというだけの問題なんですね。

で、たまたま現行S60はメーカーいわく「スポーツセダン」だと。実質的にはBMW 4シリーズグランクーペやアウディ A5スポーツバックといった4ドアクーペ軍団とほぼ同じカテゴリーに入る車だと認識しておけばまず間違いありません。

その現行ボルボ S60が非常にお安いわけです。具体的には、相場全体はおおむね100万~420万円と上下に幅広いですが、前述のとおり110万~160万円付近(つまり国産車と似たような価格レンジ)に一つのボリュームゾーンがあります。そのゾーンで、走行距離数千kmから、多くても4万km台の物件が狙えてしまうのです。……なかなか魅力的だとは思いませんか?

▲実際の内装は新車時のオプション選択によって様々ですが、基本的には、いかにも北欧らしい「モダンテイストとナチュラル風味のステキな融合」といった感じが特徴となります ▲実際の内装は新車時のオプション選択によって様々ですが、基本的には、いかにも北欧らしい「モダンテイストとナチュラル風味のステキな融合」といった感じが特徴となります

ただし、安めのS60には3つのネガ(?)も存在します

ただ、世の中の安いモノには安いなりの理由が必ずあります。それは100万円台前半級の現行ボルボ S60においても同じです。

まず、この価格帯で狙えるのは主に「DRIVe(ドライブイー)」または「T4」というベーシックなグレードになります。これは1.6L直噴ターボ+6速DCTという組み合わせです。3L直6ターボとなる上級グレード「T6 AWD SE」も希にこの価格帯で5万km以下の物件が流通していますが、基本的にはDRIVeまたはT4が中心だと思っておいた方がいいでしょう。

そして現行S60は、今や100万円台前半で買える初期モデルでも運転支援システム「ヒューマンセーフティ」が採用されていました(※最上級グレード「T6 AWD Rデザイン」に標準装備。それ以外のグレードでは25万円のオプション「セーフティパッケージ」に含まれていた)。しかし、その後ボルボの運転支援システムは年を追うごとに進化を続けましたので、超最新の「インテリセーフ」と比べてしまうと、初期のそれは正直見劣りする部分もあります。

またそもそも現行S60は、13年8月に内外装の大幅なマイナーチェンジを行っています。で、110万~160万円付近で狙える走行距離5万km以下の現行S60は、今のところすべてマイナーチェンジ以前のいわゆる前期型。それゆえ、見る人によっては少々古くさく感じることもあるでしょう。

▲ちなみにこれは世間であまり語られてないような気もしますが、現行S60(とワゴン版であるV60)のフロントシートの座り心地はかなりの絶品。これも、S60をオススメしたい理由の一つです ▲ちなみにこれは世間であまり語られてないような気もしますが、現行S60(とワゴン版であるV60)のフロントシートの座り心地はかなりの絶品。これも、S60をオススメしたい理由の一つです

動力性能はベーシックな1.6L直噴ターボで(たぶん)十分以上

以上が、開示すべきと考えた「100万円台前半級ボルボ S60のネガかもしれない部分」です。これを元に、あとはご自身の価値観と、実際の物件の様子などから総合的にご判断いただければと思いますが、最後に、蛇足かもしれませんが筆者個人の考えを記します。

まずネガ1の「主にはDRIVe(またはT4)になってしまう」という問題ですが、筆者は1.6L直噴ターボ+6速DCTの動力性能でも「十分以上!」と感じています。燃費も3Lターボの上級グレードより断然イイですしね。ちなみにカタログ燃費は11~12年式 T6 AWD SE の8.9km/Lに対し、同年式のDRIVeは 12.6km/Lです。

ネガ2の「運転支援システムの内容は最新版と比べると少々見劣りする」については、確かに最新のシステムであるに越したことはありませんが、初期のヒューマンセーフティだって十分使えます。足りない分は、自分の注意力と気合で(?)カバーできなくはないはず。そもそも大昔の車はそんな装備ゼロだったわけですしね(ただ、このあたりの判断は運転者の力量や年齢などによって柔軟に変えるべきではあるでしょう)。

ネガ3の「マイナーチェンジ前のデザインである」という点については、これはもう完全に好みの問題になってしまいますが、筆者は前期S60のちょっとヘンな(?)顔つきも個性的で、逆にかなり好きです。以上あくまでも蛇足でしたが、ご参考までに……。

▲現行S60は目を三角にしてぶっ飛ばすというタイプの車ではありませんが、その乗り味は落ち着いていながらも非常に軽快であるため、その気になればかなりスポーティな運転も楽しめるはず ▲現行S60は目を三角にしてぶっ飛ばすというタイプの車ではありませんが、その乗り味は落ち着いていながらも非常に軽快であるため、その気になればかなりスポーティな運転も楽しめるはず
text/編集部
photo/ボルボ