軽い車は正義! テリー伊藤がスマートのスポーツモデル、ロードスターに興奮!
2022/09/28
中古車になったことで輝いたモデル
今回は、「アウトピッコロ」で出合ったスマート ロードスターについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。
~語り:テリー伊藤~
中学や高校の同級生には一番人気というわけではないけれど、なぜか気になる子が必ずいるものです。
学校を卒業して社会人になり、同窓会で久しぶりに会ったらその子がとびきり素敵な女性になっていて、「やっぱり俺の目は間違っていなかった」と思った経験は誰もがあるのではないでしょうか。
僕が中古車で手に入れる車たちも、これと同じようなものではないかと感じています。
今回紹介するスマート ロードスターも中古車だからこそ輝く車です。
素晴らしい部分を挙げたらキリがないですが、まずはデザイン。似たようなスタイルの車が存在しないから、デビューから20年近く経った現在でもなお少しも輝きを失っていない。これはシトロエン 2CVやフォルクスワーゲン タイプ1(ビートル)に通じるものがあると感じます。
自動車メーカーがマーケットを見て作ったのではなく、デザイナーが自分の感性で勝負をしているのが伝わってきます。
しかもこの車はミニやフィアット 500のように過去のモデルをオマージュしたスタイルではないところがいい。
スマート(MCC)は1994に設立された新興企業。新しい場所に参入してこれからどんな車で勝負をしてやろう。そんな気概があったことを感じさせますね。
さらにスマート ロードスターはごく一部の好き者しか注目していなかったモデルなので、存在すら知らない人が圧倒的に多い。だからこれに乗ると仲間から「その車、何?」と言われるのは間違いありません。注目を集めるのは気持ちいいはずですよ。
この車が発売されたとき、デザインは気に入ったのに「だって、時計屋さんが作った車でしょう?」とさめた目で見ていました。
実はスマート フォーツーは、発売されてすぐ買いました。ただ、初期型はトランスミッションがあまりにも悪くて、僕の中でイメージが良くなかったことが影響していたと思います。「カッコいいけれどあのミッションだからな……」と考えてしまったのです。
テリー伊藤ならこう乗る!
このように感じたのはきっと僕だけではなかったはず。だからスマート ロードスターは商業的には成功しませんでした。
そのため、中古車はとても希少です。中でもBRABUSスタイリングパッケージを装着したものは珍しい。欲しいと思ってもなかなか出合えるものではありません。
数年前にたまたま街中で見かけたとき、「スマート ロードスター、いいじゃん!」と思いました。それは高校時代になんとなく気になっていた同級生がとびきり素敵な女性になって目の前に現れたときと同じ感覚でした。
僕がこのスマート ロードスターを手に入れたら、まずは前オーナーが貼ったと思われるピラーのスリーポインテッド・スターのステッカーを剥がします。「スマートはメルセデス・ベンツが作ったんだぞ」と言いたかったのでしょうが、未練たらしさを感じてしまうのでね。
そして経年劣化で白っぽくなってしまった樹脂部分はLINE-Xで塗装します。シートにもヤレが出始めていましたが、希望があればリペア可能とのことでした。
そしてキレイに仕上がったら、普段のアシ車として毎日乗り回します!
バイク感覚で乗れる車が手元にあったら、人生が楽しくなりますからね。高級車が手元にあるよりも何倍も素敵な人生です。
小さくて軽快な車と言われて、僕の頭の中に真っ先に思い浮かぶのはホンダ S660です。でもスマート ロードスターの方がぶっ飛んだ感じがして好きですね。リアにあるエンジンの上にはわずかですがトランクスペースもある。薄いアタッシュケースなら入りそうですし、僕なら雨の日に脱いだレインコートを入れたりしたいですね。
世界的に大型のSUVばかりもてはやされる中で、多くの人は『小さくて軽い車は正義』であることを忘れていると思います。スマートだってもうこういうおもしろい車は作れないでしょう。もしフォーツーやフォーフォー以外のモデルを出すとしたら、SUVテイストのものになるのではないでしょうか。
スマート ロードスターは、スマートにとって最初で最後のスポーツモデル。そう考えると、早く乗っておかないと後悔しそうです。
スマート ロードスター
1994年にスウォッチとダイムラー・ベンツが共同出資で設立したMCC(マイクロカーコーポレーション)。ミニマムサイズのマイクロカー、スマート フォーツーを発売した。そして2003年、新たなモデルとしてスマート ロードスターを発売。同時にロードスタークーペも登場した。全長3425×全幅1615×全高1190mmというコンパクトボディのリアに698ccの直3インタークーラー付きターボエンジンを搭載。トランスミッションは6速セミATになる。取材車両は専用のフロントスポイラー、サイドスカート、ラジエターグリルなどが付いたBRABUSスタイリングパッケージが装着されていた。
演出家
テリー伊藤(演出家)
1949年、東京・築地生まれ。早稲田実業高等部を経て日本大学経済学部を卒業。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。現在は演出業のほか、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。テリーさんの半生を綴った「出禁の男 テリー伊藤伝」(イーストプレス)が発売中。TOKYO MXでテリーさんと土屋圭市さんが車のあれこれを語る「テリー土屋の車の話」(毎週月曜26:35~)が放送中。YouTube公式チャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』も配信中。