ボルボC70▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!

ボルボの魔法が切れた時期に登場したC70カブリオレは、隠れた名車に違いない!

今回は、「Bay Garage」で出合ったボルボ C70カブリオレについて、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。

~語り:テリー伊藤~

ボルボの勢いが止まりません。2017年、2018年と2年連続で日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。安全性はもちろん、先進性でも他社をリードし、SUVを中心に多くの人から選ばれています。

ボルボは日本で2つの全盛期がありました。

ひとつはもちろん今。もうひとつはバブル景気全盛期です。当時は真っ赤なボルボのエステートに乗ることがステータスで、広告業界やファッション業界のカタカナ職業の人たちがこぞってボルボに乗っていた。

当時のボルボには、どこか無骨な雰囲気がありました。ところが、バブルがはじけた後は車がどんどん流線型になっていきます。ボルボも時代の流れに合わせてだんだん丸みを帯びたスタイルになっていきました。

その変貌に多くのファンが「ブルータス、お前もか」と感じたのでしょう。80年代にボルボに憧れた人もだんだんと離れていった。ここで北欧の車がもつ魔法が切れたのです。
 

ボルボC70▲今回取材したC70カブリオレは2代目で、日本には2006年12月に導入されました

今回紹介するC70カブリオレは、ボルボの魔法が切れていた時期に登場したモデル。これまで気にもとめていませんでしたが、実車を見るととても素敵ですね。

とくにインパネの中で浮かんでいるように見える、フリーフローティング・センターストックがいい。

このデザインが登場したときはとても驚いたのを覚えています。フリーフローティング・センターストックはメタル製以外にウッド仕様もあって、それがまさに北欧家具のような温かみがあって魅力的です。
 

ボルボC70▲こちらのフリーフローティング・センターストックは取材車両とは別の車に付いていたウッド仕様

コロナ禍になり、中古車は軒並み相場が上がっています。特に高級車はお店が仕入れに苦労するほど売れていると聞いています。

ところが人気のはざまにあるC70は、こんなに状態がいいものでも乗り出し価格が150万円もしないのですよ。完全に盲点でした。
 

ボルボC70▲高級感のある白いレザーシート。海辺に似合います!

C70カブリオレをはじめ、輸入車の4座オープンは言われなければ高そうな車に見える。裏を返せば、車に詳しくない人はもちろん、僕のような車変態でも値段が想像つかないのです。

唯一残念な点は、全幅が1800mmを超えてしまうこと。日本の駐車場事情を考えると、幅は広すぎない方が便利ですからね。

もし全幅が1800mmに収まっていたら、迷わず買って帰りましたよ。
 

ボルボC70▲初代はソフトトップでしたが、2代目は電動ハードトップを備えたクーペカブリオレになりました

テリー伊藤ならこう乗る!

今も昔も、ボルボには上品であると同時に、オーナーを幸せに見せるオーラがあります。この車にガラの悪そうな人が乗っているイメージってないじゃないですか。

だから建築家がパースを描くときも、駐車スペースにはボルボを置くことが多いそうです。
 

ボルボC70▲この時代のボルボのテールライトは重厚感のあるデザインでした

その分、ボルボに乗ろうと思ったら“男の力量”が問われますよ。ボルボに乗っている人の奥さんはきっとキレイなはず。そのイメージを守るためにも、週に2度はエステに行かせてあげるかい性が必要です。
 

ボルボC70▲フリーフローティング・センターストックはメタルがいいか、ウッドがいいか。本気で悩んでしまいました

C70カブリオレを買った人には、4座オープンの楽しさを存分に味わってもらいたいですね。

言うまでもなく、4座オープンの魅力は4人でオープンエアを楽しめることです。だからカップルよりも仲間とワイワイ楽しんでほしい。箱根や湘南はもちろん、六本木や銀座に行くときも4人で大笑いしながら走りましょう。

鎌倉の海沿いを散歩していると、たまに4シーターオープンを見かけます。ところが悲しいことに、前に座っている人は楽しそうにしているのに、後ろに座っている人は乗せられた感を出しながらつまらなそうにしているケースが多いのです。

4シーターオープンは後ろの席に座る人が主役。だから後ろの人こそ楽しまないと! 海外の映画やドラマでは、後ろの席の人が思い切り楽しんでいるシーンがたくさんあります。

そう考えると、C70カブリオレには若い女の子のグループに乗ってもらいたいですね。後ろの席の子が盛り上がりながら自撮りしている光景を見たら、僕らまで元気になれますよ。
 

ボルボC70▲後部座席に座った人にこそ4座オープンを存分に楽しんでほしい!

僕がC70カブリオレを手に入れたら……。じいさん仲間を誘って4人で鎌倉をドライブします。みんなコロナで外出自粛をしていたから、フラストレーションをためまくっていますからね。誘えば嬉しそうにやってきますよ。

もちろん、後ろの席に座った人には自撮りをしてもらいます。じいさんが4人ではしゃいでいる光景を見たら、街の人も「バカだなあ」と思いつつ笑ってしまうでしょう。
 

ボルボC70▲取材車両のエンジンは最高出力230psを発生する2.5L直5ターボ。NAもラインナップされていました

昔の仲間が4人集まるなら、ただ鎌倉をドライブするのではなく若い頃に付き合っていた彼女の家を順番に訪ねるのも楽しそうです。

「ばあさんになったなあ」
「じじいが何言っているのよ!」


そんな会話を楽しみながら昔を思い出してみたい。きっと元気を取り戻せますよ。

人との距離を気にしなければいけない世の中ですが、4座オープンなら何も気にしなくていい。屋根さえ開ければ密とは無縁な世界が待っているのですから。
 

ボルボC70▲仲間となかなか集まれない今だからこそ、大勢でオープンエアを楽しめる4座オープンは注目されるべきですよ

ボルボ C70カブリオレ(2代目)

2006年12月に日本導入された2代目C70カブリオレは、リトラクタブルハードトップを備えたクーペカブリオレになった。北欧家具のような落ち着きと上品さを兼ね備えたインテリアは、人間工学に基づいて設計されたもの。浮遊感のあるセンタークラスター“フリーフローティング・センターストック”は、多くの人を驚かせた秀逸なデザインだった。搭載エンジンは、2.4L直列5気筒と2.5L直列5気筒ターボを用意。
 

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/柳田由人
 

 

テリー伊藤

演出家

テリー伊藤

1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『爆報!THE フライデー』(TBS系/毎週金曜19:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。新著『老後論~この期に及んでまだ幸せになりたいか?』(竹書房)が発売中。You Tubeチャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』を開設!