F1で日本人初の表彰台に立った伝説のドライバー鈴木亜久里さんへインタビュー「とにかくレースが好きだね。面白いし、ムカつくし、エキサイティングだよ」
カテゴリー: クルマ
タグ: ホンダ / フィット / スペシャリストのTea Time / 河西啓介
2020/11/26
車で我々に夢を提供してくれている様々なスペシャリストたち。連載「スペシャリストのTea Time」は、そんなスペシャリストたちの休憩中に、一緒にお茶をしながらお話を伺うゆるふわ企画。
今回は、1990年F1日本GPで日本人初の表彰台獲得者となり、現在はSUPER GTで総監督を務める伝説のドライバー鈴木亜久里さんとの“Tea Time”。
語り
鈴木亜久里
1960年東京生まれ。幼少よりレーシングカートを始める。1988年全日本F3000選手権にてシリーズチャンピオンを獲得。そして1990年にはF1世界選手権日本GPにて、日本人初の3位表彰台を獲得。1998年より「世界に通用する日本人ドライバーの育成」をスローガンに、ARTA Projectを始動、現在はプロデューサー兼総監督としてSUPER GTシリーズに参戦している。日本自動車連盟モータースポーツ部レース部会会長も務める。
最終的な目標がF1チームオーナーだった
今年は7月にようやくスーパーGTが始まって、11月には終わりだから忙しいよね。他のレースも合わせると毎週やってる感じ。
といっても忙しいのはドライバーとメカニックで、オレは暇だけど(笑)。オーナーが忙しくなるのはチームや会社が大変なときだから、その方がいいの! むしろ忙しいのは夜だよ。営業でね(笑)。
10代でカートに乗り始めてから今まで、とにかくずっとレース、レース。1シーズンだって休んだことはない。とにかくレースが好きなんだ。
勝っても負けても面白いし、ムカつくし、エキサイティングだよ。
車が好きというより、レースが好きなんだね。30歳でF1ドライバーになって、45歳のときに自分のチームでF1に参戦することができた。
F1チームを持つのは自分にとって最終的な目標だったから、活動はたった2年半だったけど、終わったときは燃え尽きたよね。
神様が自分のやりたいことを全部やらせてくれた、そう思ったよ。
いま乗っているのはフィット、これはいい車だ!
車は結構買ったね。これまで50台以上は買ったんじゃない?
いまはホンダのレジェンドとフィット クロスターに乗ってるよ。新しいフィット、いい車だね。ぜんぜん安っぽくないし、走りもいい。すごく気に入ってるけど、唯一困るのは、可愛らしい見た目だから、車線変更のときになかなか譲ってもらえないことかな(笑)。
一番思い出に残ってるのは、初めて買ったポルシェだね。1986年型の911カレラ。子供のころから「ポルシェが欲しい!」と思ってたから、手に入れたときはシビれたし涙が出たね。
でもその頃は年間200日以上サーキットにいたから、車庫に置きっぱなしでほとんど乗れなかったんだけどね……。
もう1台はランボルギーニ ディアブロ。ラルース・ランボルギーニのF1ドライバーだったときに買ったんだよ。
納車のときは、自宅のあったモナコからイタリアのランボルギーニ本社まで取りに行ってね。
すっごく期待して乗ったんだけど、出発してからたった2kmぐらいでUターンして戻ったんだよ。「この車、ギア入らないし、うるさいし、壊れてるんじゃない?」って。そうしたら「ランボルギーニはこういうもんだ」って言われたけどね(笑)。
SUPER GTでそろそろチャンピオンを取りたいね
バイクも好きでね。実は、もともとオートバイのレースをやりたかったんだよ。
高校に入ったら二輪のレーシングマシンを買ってもらって始めるつもりだったんだけど、結局買ってもらえなくて。そのとき欲しかった1973年型のヤマハ TZ250を、最近手に入れたんだよ。
2ストローク250ccのレーサー。さすがに50年近く前のバイクだからボロボロになってたけど、フルレストアして家に飾ってる。ずいぶん高くついたけど、やっぱり嬉しいね。
もう1台、古いホンダ CB750(DREAM CB750FOUR)も持ってるよ。それも70年代のバイクだから、走らせるとすごく遅いしブレーキもぜんぜん利かない。それでもやっぱり二輪は楽しいよね。
最近はYouTubeでいろんなバイクの動画を見るのが、一番の趣味だもん(笑)。
いまの目標? そりゃあやっぱりSUPER GTのGT500クラスでチャンピオンを取ることだね。
車はめちゃくちゃ速いし、若いドライバーも生きのいいのがドンドン出てきてるから、目標というより、そろそろ取らなきゃまずいでしょ。そうしないと次には行けないし、オレも今年60歳になったから、次のステップとして、若い子にレース界を引っ張っていってもらわないとね。
とりあえず、オレはやることはやったじゃない? まあ、ほんとはもっと成功するつもりだったんだけど(笑)。
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