市川紗椰

市川紗椰 × ジープ チェロキー

ファッションモデルとして、そしてタレントとして大活躍中の市川紗椰さんは、音楽からアニメ観賞、鉄道、相撲などまでの幅広いジャンルの趣味をお持ちで、その博識ぶりから専門誌で連載を持つなど、様々な分野のカルチャーに精通しています。

そして車に関しても「古いモノが好き」で、ご自身では1980年代のトヨタ ランドクルーザー60を所有しているとのこと。

今回は、そんな市川紗椰さんから「クラシカルな雰囲気のアメリカ製SUVに乗ってみたい」とのオーダーをいただき、アメリカの郊外にあるダイナーを思わせる「PEPPER’S DRIVE-IN」に1999年式のジープ チェロキーを用意してみました!
 

市川紗椰

モデル

市川紗椰

いちかわ・さや/愛知県名古屋市生まれ、アメリカ・デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。16歳の時にスカウトされモデルデビュー。鉄道、食べ歩き、地形、アニメ、相撲、美術、音楽など、様々な分野のカルチャーに精通している。J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』、NHK-FM『×(かける)クラシック』への出演など、多方面で活躍中。2020年3月、『鉄道について話した。』(集英社)を上梓。

伊達軍曹

インタビュアー

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。

少し古めのヨンクが好き!

――市川さんは1980年代のランドクルザー60にお乗りとのことですが、クラシカルな四駆がお好きなんですか?
そうですね。父がアメリカ人である関係で4歳からアメリカに住んでいたのですが、子供の頃、向こうの親戚たちの家には必ずあった古いピックアップトラックを見て「カッコいい……」ってシビレて以来、ずっとその手の車が好きなんです。

――ランクル60というとパワーステアリングが付いていない“重ステ”ですし、ボディサイズもけっこう大きいということで、都内とかで運転するのはちょっと大変だったりしませんか?
今まで基本的には重ステの車ばかり運転してきましたので、ランクル60のステアリングが重いとは思わないというか、自覚がないというか(笑)。あとボディサイズについては、昔のランクルってボディがほぼ真四角なので、車の四隅全部が運転席から全部見えるじゃないですか? だから実はけっこうラクなんですよ。

――なるほど。ならばこの1999年式のジープ チェロキーについてはどうお感じですか?
このカクカクとしたフォルムがすごくいいですね。ゴツくて無骨で、なんというかこう「鉄っぽい!」という感じがあって(笑)。あとはこのマットな白のボディカラーもいい感じだと思います。私のランドクルーザー60もボディカラーはマットなベージュなんですが、車の色で引かれるのはたいていマット系です。そのシンプルさに引かれるんですよね。

――市川さんは車のカラーリングやデザインだけでなく、“運転そのもの”もお好きなんですか?
もちろん好きですよ! といっても決して上手ではなく、特に日本の狭い駐車場にバックで入れるのはいまだにちょっと苦労してますが。アメリカだと駐車スペースの枠自体が大きいですし、そもそもバックではなく前進で枠に入れるので、ぜんぜんラクなんです。でも日本は狭い枠に後進で入れなくちゃならなくて、しかもかなりトリッキーな作りの駐車場もあったりして……。

――しかしそれでも運転はお好きだと?
なんていうのかな、アクセルを踏み込むと、踏んだ分だけ力や音が大きくなるという、「ワタシ今、機械を操ってます!」というあの感じが大好きなんです。そういった意味で、私が乗っているランクル60とかこのチェロキーぐらいの世代の四駆は「自分が機械を操作してる」という感触をきちんと味わうことができるのがいいんですよね。もちろん電車も運転したいのですが、さすがにあれは運転させてもらえないので(笑)。

市川紗椰
市川紗椰

――何かとマニアックな市川さんのことですから、もしかしたらランドクルーザー60のメンテナンスもご自分でやってたりするんですか?
今のところはやってませんが、人が車の整備をしている風景を見るのは好きですよ。もしも自分でやるとしたら、ぜひ「塗装」をやってみたいですね。白い服を着てゴーグルとマスクを完全着用して、エア・コンプレッサーと銀色のスプレーガンでシュウウウウウッと吹き付けてみたい(笑)。

――似合いそうですね! ところで、もしもこのチェロキーでドライブするとしたら、どこに行ってみたいですか?
車では、基本的には「車でしか行けないところ」に行きたいと思っています。私の場合、電車でも行けるところへは電車で行きたいタチなので(笑)。例えばですが、電車は通っていない九十九里の海沿いにあるおいしい浜焼き屋さんとか。あとはダムにも行きたいですね。私、“人工物”が好きなので。

――人工物が好き?
はい。「大自然と、その中にある人工物との対比」みたいなニュアンスが大好きなんです。そういった意味で秩父の浦山ダムは自然との対比が面白いですし、エレベーターで上まで行けますから、かなりオススメですよ。

「デス・バレー」でのドライブが忘れられない

市川紗椰

――では市川さんが住んでらっしゃったアメリカでこのチェロキーに乗るとしたら?
うーん、カリフォルニア州の中部にある「デス・バレー」にはぜひもう一度行って、車で走りたいですね。というか、デス・バレーは車じゃないと行けないのですが。

――デス・バレーって実は名前ぐらいしか知らないのですが、どんな場所なんですか?
言ってみれば岩とサボテンと空と、あとは真っすぐな道路しかないところです(笑)。でも岩だけ見ていても、「岩ってこんなにバリエーション豊富だったんだ!」って、走りながら感動しちゃうような場所です。

――い、岩に感動ですか!
まぁ4時間ぐらい延々走り続けても岩とサボテンしかないのですが、サボテンの形も本当に千差万別で、「私にとっての新種」が次々と現れますし、広大すぎるほど広大な空の色も刻々と変化して……。

で、「素晴らしい光景だった! これを超える光景はもうないだろう!」なんて感動しながら走っていると、またすぐにそれを超える景色が現れるという、本当にすごい場所なんです。私みたいな「人工物が好き」って言ってる人間でも、「自然、すごい……」みたいな感じで感じ入ってしまうんですよ。

――しかしそういった人里離れた場所だと、ちょっと怖かったりもしませんか? ほらアメリカですから、銃を持ってる悪い人に襲われるとか……?
そのへんは大丈夫ですよ。だって、そもそも人間がいませんから(笑)。

――なるほど! いるのは動物と植物だけか!
や、動物もいないんです。あるのは空と砂漠、あとは岩とサボテンだけ。……日本では絶対に考えられないそんな場所をもう一度、チェロキーみたいな無骨で頑丈な車で、のんびりと走ってみたいものですね。

市川紗椰
文/伊達軍曹、写真/篠原晃一