日産 キャシュカイ ▲欧州現地初の搭載車となるのは、キャシュカイ。エクストレイルよりもスレンダーな印象が演出されて、スポーティさが打ち出されるだろう。Vモーショングリルは予想イラストより、トーンダウンされる可能性もある

まずは、タイからスタート

シリーズ式ハイブリッドの「e-POWER」で、現行ノートのモデルライフ後半を盛り上げることに成功した日産。このシステムは、国内専売にとどまっているが、まもなくタイ発のキックスにも転用されて、海外生産が始まる。その先には、欧州での販売も計画されている。

「e-POWER」はエンジンで発電して、電気モーターだけで走る、いわゆるシリーズ式ハイブリッドの一種だ。

ノート、セレナと続いた、「e-POWER」搭載車に第3の選択が加わる。過去にお伝えした、キックスだ。ジューク後継車も兼ねて、2020年5月にも国内発売される。

日本導入に合わせて、フロントマスクが変更され、「e-POWER」が搭載されることは過去に報じたとおりだ。タイで生産されて輸入販売されるこのモデルにより、ついに「e-POWER」搭載車が海外でも組み立てられるのはニュースだ。


日産 キャシュカイ デュアリス▲キャシュカイの初代は、「デュアリス」の名で国内でも販売されたが、現行2代目で海外専売車に。2018年の改良で、ガソリン車に1.3Lターボと7速DCTが搭載された
日産 e-POWER▲コンセプトカーで提示された、「e-POWER」は、前後輪をモーターで駆動する4WD方式だった。1.5L程度に排気量が拡大される発電用エンジンと、大容量バッテリーが用いられ、現在のシステムよりも高性能化が図られるだろう

1.5Lに排気量を拡大し、高効率化

キックスで口火を切った後、日産は「e-POWER」の海外展開に本腰を入れる。そのひとつがヨーロッパだ。2年後をメドに投入される最初の搭載車は、キャシュカイで、3代目へのモデルチェンジに合わせて用いられる。

SUVならではのパッケージが生かされて、リチウムイオン電池はキャビンの下に配置。前輪に加えて、後輪にも電気モーターが配されて4WD化。

きめ細かい制御と、電気モーター特有の優れた応答性によって、俊敏な走り味がもたらされることは想像に難くない。

プジョー 3008▲キャシュカイのライバル車のひとつとして、注目したいのが、プジョー3008だ。オーソドックスなエンジン車と並んで、プラグインハイブリッドも用意されており、後輪モーターの有無によって、2WDと4WDが作り出されている

ピュアEVを含めて、欧州で電動系の販売量を5倍に

ヨーロッパでは、CO2排気量を95g/kmに抑える規制が迫っており、各社とも電動化技術の実用化に躍起になっている。

例えば、キャシュカイと同じクラスに属する、プジョー3008には、ガソリンおよびディーゼルの各パワートレインが用意される一方で、1.6Lガソリンに電動化技術を組み合わせた、プラグインハイブリッドもラインナップ。

EV走行距離は、約64km(WLTPモード測定値)、CO2排出量は、29から41g/kmをマークしている。

日産は、「e-POWER」と並んで、ピュアEVのSUVである、「アリア」もグローバル展開する予定で、2022年以降は電動系テクノロジー車の販売比率をいちだんと高めるもくろみだ。

とくにヨーロッパでは、次期キャシュカイとともに、人気のSUV市場に攻め入ることで、電動系モデルの販売を5倍に増やすという。


※2020年5月15日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2022年
■全長×全幅×全高:4450×1845×1590(mm)
■搭載エンジン:1.5L 直3+モーター
 

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、日産自動車、プジョー