スバルとトヨタのEV 予想図 ▲現実的な販売台数を加味すると、スバルとトヨタのEVは兄弟車として、外板パネルを共用する可能性が高い。フロントマスクの作り分けで、両社のオリジナリティが演出されるだろう。バッテリーは床下に搭載されて、低重心化が図られる

自動車メーカーの協業が盛んな理由

急速な市場環境の変化により、世界中の自動車メーカーは、過去には考えられなかったほど手を組んで、協業を進めている。

トヨタは、「仲間づくり」と称して、チームジャパンを結成しつつあるが、スバルが生き残りをかけて、そこへ入ることになった。

トヨタとスバルは、2019年6月6日、SUVタイプのEVを共同開発すると発表した。

トヨタの電動化技術と、スバルの全輪駆動技術を組み合わせてCセグメントのSUVを開発し、2020年代前半にそれぞれのブランドで発売する意向だ。

EVの共同開発や、相互供給は業界の潮流として、頻繁にニュースになっている。トヨタは、スバルとのタッグだけでなく、マツダやデンソーなどと組んでおり、小型EVではダイハツやスズキと、中国向けでは、BYDと協力関係にある。

海外に目を向けると、フォルクスワーゲンはフォードと、ダイムラーは日産・ルノーと協業関係にある。

主要国の燃費規制や、中国のNEV(新エネルギー車)規制をクリアするために、EVは欠かせない存在だが、バッテリーなどのコストはなお高止まりしている。

他社との協業でリスクヘッジするのは、ある意味、当然の経営判断と言えるだろう。

トヨタ 6タイプのEV開発 資料▲トヨタは、6タイプのEV開発を進めており、そのうちコンパクトのジャンルをダイハツおよびスズキと、ミディアムSUVのモデルをスバルとともに手がけている。この他、中国で販売するセダンとSUVの各EVをBYDと共同開発していくことも明らかにしている

電動車専用のe-TNGAを採用

トヨタ、スバルが共同開発する専用プラットフォームは、トヨタ社内で「e-TNGA」と呼ばれている。

e-TNGAは、電池の幅などは固定し、ホイールベースや電池の搭載量を変動させる。こうして、固定部位と変動部位を決めたうえで、数種類のモーターを組み合わせ、必要とされる駆動方式と動力性能を実現する。

また、「電池を小さくしながら、そこに発電機をインストールし、安心して長距離を走れる、そういう方向もある」と、関係者が語っていることもあり、PHV化もあり得るとの見方を示している。

eTNGA トヨタ 資料 ▲e-TNGAは、電池の幅を固定したまま、前後モーターの有無やホイールベースおよび、前後オーバーハングを変えることで、多彩な車種に対応できる構造に仕立てられる。ホンダも同じ考え方に基づいて、EVアーキテクチャーを開発しているが、後輪モーター必須としている

電池の経年劣化抑制を重視

トヨタ、スバル共同開発のSUVタイプEVはどんなパフォーマンスを見せるのか。現状ではまだ詳細はわかっていない。ただ、少なくとも電池技術がカギになるようだ。

トヨタがこだわっているのは、電池の耐久性だ。

「カタログデータとして、400km、500km走れるとかはよく出てくるが、実際問題として、5年経ったら、あるいは10万km走った後に何km走れるかは共通の試験方法もない」と関係者は問題視している。

トヨタは初期性能より、電池劣化の抑制を重視して、市販化される頃には、世界トップレベルの性能を達成する意気込みだ。

何かと騒がれるEVだが、2018年の世界販売台数はわずか120万台で、このうち半分をNEV規制が敷かれている、中国市場が占めている。メーカーのガチンコ勝負はこれからが本番だ。

※2019年9月20日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2022年
■全長×全幅×全高:4800×1820×1600(mm)
■搭載エンジン:電気モーター
 

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、トヨタ