▲軽ハイトワゴンの無敵艦隊と呼べそうなN-BOXとN-BOXカスタム。フルモデルチェンジは軽ハイトワゴンの中古車価格にも大きな影響を与えるでしょう ▲軽ハイトワゴンの無敵艦隊と呼べそうなN-BOXとN-BOXカスタム。フルモデルチェンジは軽ハイトワゴンの中古車価格にも大きな影響を与えるでしょう

フルモデルチェンジ直前まで売れまくった初代N-BOX

ホンダ N-BOXがフルモデルチェンジしました。

一般的に新車の販売はフルモデルチェンジ後が最も売れて、その後だんだんと月販台数が減っていきます(新しいライバル車種などが登場しますからね)。ところが初代N-BOXは2011年のデビュー以来売れに売れまくり、モデル末期となる今年に入ってからも新車販売台数が軽四輪車トップに君臨し続けるというこれまでの車に類を見ないモンスターマシンでした。あまりにも売れているから「わざわざモデルチェンジしなくてもいいのでは?」と冗談を言っていた業界関係者も少なくありません。

▲新型N-BOXで大きく進化した部分のひとつがシートアレンジ。後席スライドに加え、助手席を57cmもスライドさせて、前後席のアレンジを自在にしました ▲新型N-BOXで大きく進化した部分のひとつがシートアレンジ。後席スライドに加え、助手席を57cmもスライドさせて、前後席のアレンジを自在にしました


驚異的な販売台数を記録し続けるモデルの後継車種を開発するのはとてつもないプレッシャーだったでしょう。登場した新型は、スタイリングは見事なまでのキープコンセプト。そして機能を大幅に進化させてきました。新型N-BOXも間違いなくヒットモデルとなるでしょう。そのとき、軽ハイトワゴンの中古車相場はどのように動くのでしょうか。

初代ホンダ N-BOX--初期型の相場が下がることに期待!

▲フルモデルチェンジする直前まで売れまくっていた初代N-BOX。これからはとくに2011~2012年式の値落ちに期待です! ▲フルモデルチェンジする直前まで売れまくっていた初代N-BOX。これからはとくに2011~2012年式の値落ちに期待です!


新型N-BOXの登場で最も気になるのは初代N-BOXの相場動向です。新型はスタイル的には大きく変わりませんが(たぶんミニなどと同じように車にそこまで詳しくない人はぱっと見て初代か2代目かわからないはず)、安全装備、シートスライド、荷室空間などが初代より飛躍的に向上しているため、機能性を求める初代ユーザーの買い替えがそれなりにありそう。しかも初代前期型の中心である2012年式が2度目の車検時期にかかっているため、これをきっかけに買い替えを検討する人もかなりいるはず。新型へのモデルチェンジを機にとくに前期型の流通量が増加し、中古車相場がかなり動く可能性があります。

2017年10月13日現在、2012年式の中古車流通量は約1600台、中心価格帯は総額100万~130万円。初代N-BOXは流通量こそ多いものの人気が高いため、なかなか中古車相場が下がりませんでしたが、今後は総額80万円前後で走行5万km未満という中古車が見つけやすくなると予想します。また1100台以上ある2017年式の登録済み未使用車も新型の登場により、しばらくすると現在より価格が下がるのは間違いありません。

▲新型は室内空間の使いやすさが大幅に向上しましたが、初代も車内がとても広く使いやすいのが特徴です ▲新型は室内空間の使いやすさが大幅に向上しましたが、初代も車内がとても広く使いやすいのが特徴です

現行型ダイハツ タント--安全装備と予算のバランスが合うものをチョイス

▲軽ハイトワゴンブームの火付け役であるタント。様々な機能を盛り込んで先駆者の意地を見せています ▲軽ハイトワゴンブームの火付け役であるタント。様々な機能を盛り込んで先駆者の意地を見せています


N-BOXのガチライバルとして熾烈な新車販売台数争いを繰り広げているダイハツ タント。燃料タンクを車体の中心に置く、センタータンクレイアウトの採用でミニバン並みの広い室内空間を確保しているのが初代N-BOXの魅力ですが、タントの魅力は助手席側のピラー(柱)をスライドドアと一体型にすることで、広大な開口幅を可能にしたミラクルオープンドアを採用したこと。またN-BOXは2015年2月の一部改良まで後席スライド機能が備わっていませんでしたが、タントは初期型より240mmの後席スライド機能を備えているので、荷物量に応じて自由にシートアレンジができます。

登場した2013年式を見てみると、中心価格帯は総額100万~140万円。N-BOXとタントは若干キャラクターが違うため、もしかしたら今乗っているタントから新型N-BOXに乗り替えるという人はそれほど多くないかも。よって、N-BOXのフルモデルチェンジでタントの中古車が急増する可能性は低いでしょう。とはいえ急激に増加するN-BOXの中古車の影響によりタントの相場が下落する可能性は十分に考えられます。

現行型タントはデビュー時から低速域衝突回避支援ブレーキなどを搭載しています。2015年4月からはレーザーレーダとソナーに加え、カメラも使うことで衝突回避支援ブレーキの性能を高めたスマートアシスト2を搭載。さらに2016年11月以降(実質、2017年式の登録済み未使用車ですね)は作動速度域がいっそう広がり歩行者にも対応したスマートアシスト3を搭載しました。欲しい安全装備と予算を見比べながら選んでみてください。

▲タントといえばやっぱりミラクルオープンドア。スライドドアと前席の間に柱がないので開放感抜群! ▲タントといえばやっぱりミラクルオープンドア。スライドドアと前席の間に柱がないので開放感抜群!

現行型スズキ スペーシア--安全装備が充実した後期型に注目

▲人気面では2強に負けているスペーシア。性能は引けを取らないだけに、中古車相場の安さは逆に大きな武器に! ▲人気面では2強に負けているスペーシア。性能は引けを取らないだけに、中古車相場の安さは逆に大きな武器に!


軽ハイトワゴンカテゴリーでは、N-BOXとタントが2強とも呼べる人気を博しています。スズキ スペーシアはその中でやや注目度が低くなっています。でも車の中身を見てみると広い室内空間や燃費、乗り心地などがバランスよく設計されており、非常によくできたモデルです。とくにオススメしたいのが2015年5月以降の後期型。安全装備でステレオカメラによる衝突被害軽減ブレーキを搭載。検知可能速度が約5 km/h~約100 km/hとなるとともに歩行者検知にも対応しました。さらにスズキの低燃費化技術「エネチャージ」が「S-エネチャージ」に変更され、燃費性能がいっそう高まっています。

スペーシアはN-BOX、タントと比較すると中古車相場は安めで推移しており、デビュー年の2013年式なら中心価格帯が総額80万~130万円、後期型は総額110万~170万円となっています。今回のN-BOXのフルモデルチェンジの影響で後期型でも総額100万円以下の中古車が探しやすくなるはず。狙い目ですよ!

▲スペーシアのデュアルカメラブレーキサポートは歩行者認識も可能 ▲スペーシアのデュアルカメラブレーキサポートは歩行者認識も可能

現行型日産 デイズルークス&三菱 eKスペース--流通量が増加中。大きな値落ちに期待

▲日産 デイズルークスと三菱 eKスペースは兄弟車的な位置付け。流通量はデイズルークスの方が3倍以上多くなっています ▲日産 デイズルークスと三菱 eKスペースは兄弟車的な位置付け。流通量はデイズルークスの方が3倍以上多くなっています


日産 デイズルークスと三菱 eKスペースは、日産と三菱が折半出資で設立したNMKVで開発した軽ハイトワゴンです。執筆時の流通量はデイズルークスが約2100台、eKスペースが約570台となっています。デビュー時点で軽ハイトワゴンNo.1の室内高と室内長を誇りました。そして前後席で室内の温度差が発生しやすいという軽ハイトワゴンならではの弱点を解消するための装備を付けるなど、室内の快適さを高めることにこだわっているのが特徴です。

デイズルークス、eKスペースはデビューした2014年式が車検時期を迎えて流通量が増えています。初代N-BOXをはじめ、ライバルモデルに値落ちの条件が揃った今、そこに押される形でさらなる値落ちが期待できそう。2014年式の中心価格帯は総額110万~130万円ですが、総額100万円以下で狙える中古車が増えることに期待しましょう!

▲軽ハイトワゴンの広い室内の温度を均一にするリアシーリングファンを搭載 ▲軽ハイトワゴンの広い室内の温度を均一にするリアシーリングファンを搭載


人気モデルがフルモデルチェンジしたときは、そのモデルの旧型はもちろん、ライバルモデルの相場も大きく動きます。とくにN-BOXのような“超”がつく人気車のフルモデルチェンジは影響が大きくなるもの。軽ハイトワゴンを探している人は要注目です!

text/高橋 満(BRIDGE MAN)
photo/ホンダ、ダイハツ、スズキ、日産