カーセンサー(雑誌)で毎月連載されている「Let’s Go! 車界科見学」。車に乗っていれば日常的に起こることの中に、疑問には思うが、知らなくてもお店や誰かがやってくれることがある。その中で、知ればナットク! の情報をGetしに、車界のプロの仕事を見学しに行く企画。
 

▲今回は特に夏のトラブルが多くなるというバッテリーについて、JAFにお話を聞いてきた ▲今回は特に夏のトラブルが多くなるというバッテリーについて、JAFにお話を聞いてきた

バッテリーが上がると、車はまったく動かなくなってしまう

バッテリーが上がるとは、携帯電話でいうところの「電池切れ」のような状態。車も携帯電話同様、電池が切れてしまうと、燃料があってもエンジンすらかからず、まったく動かなくなってしまう。車にとってこんなに重要なバッテリーだが、みなさんはマイカーのバッテリーの状態を把握されているだろうか。

そこで今回は、夏にトラブルが増える理由、バッテリーに負担をかけない使い方などについてJAFに聞いてきた。
 

▲今回お話をお伺いした、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)東京支部 ロードサービス隊 港基地班長の田中大輔さん ▲今回お話をお伺いした、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)東京支部 ロードサービス隊 港基地班長の田中大輔さん

Q.なぜ夏にトラブルが多いのですか?

夏はバッテリーに負担がかかる季節だからです。そもそもバッテリーは高温に弱いのです。外気温の上昇でバッテリーの温度が上がると蓄電能力、人間でいうところの体力が低下します。加えて、夏は車の中で最も電力を使うエアコンを多用します。弱っているバッテリーの場合、発電および蓄電能力を超える電力を使った結果、突然バッテリーが上がってしまうのです。

8月は一番出動件数が増えますが、残暑が続く9月も注意が必要です。また、普段の乗り方によってはバッテリーへの負担が大きくなり、いつの間にか弱っている場合もあるのです。(JAF東京支部の田中大輔さん。以下、田中さん)
 

▲設定温度よりも、風量の強さの方が電力を消費するそうだ。まだまだ暑い日が続くので油断大敵だ ▲設定温度よりも、風量の強さの方が電力を消費するそうだ。まだまだ暑い日が続くので油断大敵だ

Q.どんな乗り方がバッテリーには負担が大きいのですか?

一度に走る距離が短い場合、走行中に発電される電力が少なく、バッテリーが十分に充電されません。このような乗り方が続くと、バッテリーには負担となります。

また、車を動かさなくても少しずつ自然放電しているので、放置しておけば最終的にバッテリーは上がってしまいます。バッテリーは消耗品ですので、使い方に限らず定期的な交換も必要です。現在のバッテリーの状態に不安を感じるのならば、一度プロに点検してもらうことをオススメします。(田中さん)
 

▲劣化したバッテリー。見ただけでは判断が難しいのでプロに点検してもらおう ▲劣化したバッテリー。見ただけでは判断が難しいのでプロに点検してもらおう

Q.点検や交換はどこで、いくらぐらいで可能ですか?

バッテリーの点検は、ディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなど、多くの場所で行えます。バッテリーには寿命があるのでJAFでは2~3年程度での交換をオススメしています。

車種やメーカー、取扱店舗によりバッテリーの種類や値段は異なりますが、軽自動車なら9000円程度で新品交換ができます。また、バッテリーは新しいのに上がってしまう場合、発電機が故障している可能性があります。この症状も点検を行うことで発見することができます。(田中さん)
 

▲点検には充電量を測る機械を使用。可能なら月に一度は点検しておこう ▲点検には充電量を測る機械を使用。可能なら月に一度は点検しておこう

Q.もしもバッテリーが上がったら、どうすればよいですか?

もしバッテリーが上がってしまっても、あわてずにJAFなどのロードサービスに救助を依頼してください。加入している任意保険にもロードサービスが付帯されていることがあるので、保険の内容も確認しておくとより安心です。

自分で復旧する方法として、他の車をバッテリーからケーブルで、電力を供給する方法もあります。しかし、ケーブルのつなぎ方や扱い方を間違うと火花が発生し、バッテリー内の水素ガスに引火するなどの危険も伴います。ですので、バッテリーが上がってしまったら、プロに救助を依頼することをオススメします。(田中さん)
 

▲専用の機械でバッテリーに電力を送り復活させる。作業自体は数分で終わる ▲専用の機械でバッテリーに電力を送り復活させる。作業自体は数分で終わる
text/編集部 大平拓摩
photo/編集部 大脇一成