トヨタ、直3ガソリンと同ディーゼルを並行開発
2017/04/25
現行プリウスへの搭載は間に合わず
世界的に搭載エンジンのダウンサイジングが進んでいることは、いまさら説明するまでもないだろう。今回は、ハイブリッドを先行させたことで、流れから遅れたトヨタの動向をお伝えしよう。
ダウンサイジングの先鞭をつけたのは、欧州メーカーだった。パワーが必要なときには過給器で補う方式を提案し、いち早く実現したのは、フォルクスワーゲンだ。小排気量エンジンに過給器を付けて、TSIの名称で売り出し、いまや広く普及した感もある。
もちろん、日系メーカーも同様に、環境性能の向上を視野に入れて技術開発を進めてきたが、こちらはエンジンの稼働率を落として、代わりに電気モーターで走らせるハイブリッド機構が主眼に置かれ、今日に至っている。
ただし、ハイブリッド機構が通用しにくい交通環境があるのも事実だ。とくに速度域の高い欧州では、メリットが出にくく、まだまだマイナーな存在だ。トヨタは、全世界でハイブリッドカーの累計販売が、1000万台に達した旨を2017年2月に発表したが、その内訳を見ると約半数が国内で、欧州は約133万台にとどまっている。
昨今のトレンドは、シリンダーを減らす方向へ
BMWグループは、2014年に1.5L直3ターボを提案し、それまでの2L直4エンジンに代わるユニットとして、ミニに用いた。いまでは、BMWブランドの車にも起用されており、FRセダンの3シリーズにさえ使われている。国産の登録車にも採用されている例はあるが、排気量は1L程度で、搭載車もBセグメントどまりだ。具体的な車名を挙げると、ダイハツが生産しているトール4兄弟、スズキ バレーノなど大本をたどると、軽自動車づくりのノウハウがベースに生かされていることが予想できる。
そんな中、日産がノートに搭載している1.2L直3スーパーチャージャーは、トレンドを先読みしたユニットとして、評価できるものの、他モデルへの展開が進んでいないのが惜しい。
多種類のエンジンを一気に展開
前置きが長くなったが、トヨタの動向に迫っていこう。同社は、ハイブリッド技術の開発にリソースを割いて、エンジン排気量のダウンサイジングを後回しにしてきた感は否めないが、海外勢と対等に勝負できる直3エンジンの開発を始めていることがわかった。
排気量は1.5Lで、ガソリンだけでなく、ディーゼルも並行して開発されているという。しかも、ユニークなことに、トヨタは過給器を有するエンジンに先駆けて、ターボチャージャーなしのガソリンNAを先行して実用化する模様だ。過給器付きは遅れて登場する見通し。2016年12月に発表されたように、同社はシャシーと並んで、パワートレインもTNGA世代に切り替えていく方針を示した。ダイナミックフォースエンジンと名づけられるユニットは、基礎技術がモジュール化され、排気量の大きさや駆動方式の違いを超えて共有化される。
気になる搭載モデル第1弾は?
モジュール化により、結果的に短期間で、いくつものエンジンが生み出され、一気に展開される見通しだ。その数は、9種類、17バリエーションに上り、2021年には、販売台数の60%を占める見込みだという。もちろん、今回キャッチした直3エンジンも含まれているはず。
気になる搭載モデル第1弾は、2019年にデビュー予定の次期オーリスか。当初は、現行プリウスのマイナーチェンジ版に用いられる計画もあったようだが、開発が間に合わないとの理由で見送られた模様だ。
※2017年4月25日現在における予測記事です。発表を保証するものではありません