輸入車に見られるスタイリッシュな4ドアクーペのルーツは国産車にあった!?
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2017/01/14
輸入車で増えている4ドアクーペ
皆さんは「セダン」と聞くとどんな形状を頭に思い浮かべるでしょうか? 多くの人が「凸」のような形を思い浮かべたと思います。今でこそミニバンタイプも増えましたが、タクシーやVIPが使用する車の多くもセダンが採用されていました。これはフォーマルなスタイルと居住性の高さが要因と言えますが、その一方で、セダンながら低い全高でスタイリッシュな「4ドアクーペ」なるジャンルも近年、輸入車を中心に登場しています。
例を挙げると、メルセデス・ベンツ・CLSやフォルクスワーゲン・CC、厳密にはハッチバックタイプですが、アウディ・A7やポルシェ・パナメーラも同様のスタイルを持った車種と言えるでしょう。どの車種も4枚のドアを持ちながらも、クーペタイプのように全高を抑えてスポーティでスタイリッシュな雰囲気を持ち合わせているのがお分かりになるかと思います。
そんなスタイリッシュな4ドアクーペ。実は今から30年以上前に日本で誕生していたことをご存じでしょうか? 今回はそんな時代を先取りしすぎた4ドアクーペのルーツとなった日本車たちをご紹介いたします。
トヨタ・カリーナED(1985年デビュー)
4ドアながらスポーティな雰囲気を前面に押し出した元祖4ドアクーペ
それまでの後輪駆動から前輪駆動へと大きく姿を変えた4代目カリーナのデビューから約1年後の1985年に登場したのがカリーナEDです。プラットフォームこそ共通ですが、全く違うスタイルをまとって登場したカリーナEDは「品位ある美しさと十分な居住空間を持つ高性能4ドアハードトップ」をテーマに開発され、当時の量産4ドア車としては世界一低い車高(1310mm)というのもウリのひとつでした。
ちょうどハイソカーブームに合致したカリーナEDは爆発的なヒットを記録し、相次いで他メーカーからも同様のコンセプトを持つ車種が登場することとなります。カリーナED自身も1989年にフルモデルチェンジを行ない、兄弟車のコロナEXiV(エクシヴ)が登場。こちらは従来のコロナクーペの実質的な後継車種となっていて、図らずも4ドアクーペのルーツであることが証明されています。
1993年には兄弟車のコロナEXiVとともにフルモデルチェンジ。コロナEXiVは当時行われていた全日本ツーリングカー選手権(JTCC)に参戦するなど、スポーティなイメージを持たせてみたり、セリカGT-FOUR譲りのビスカスカップリング式フルタイム4WDを導入してみたりしたものの、折からのセダン需要の縮小により1998年でその役目を終えることとなりました。
マツダ・ペルソナ(1988年デビュー)/ユーノス300(1989年デビュー)
自動車らしからぬラウンドした内装など、時代を先取りしすぎた1台
カリーナEDの大ヒットを受けて各社同様のコンセプトの車を発表する形となりますが、その中でも先陣を切って登場したのが1988年10月にデビューしたマツダ・ペルソナです。スタイリングはカリーナEDを明らかに意識した意匠となっており、搭載されるエンジンも1.8リッターと2リッターと共通のラインナップでした。
しかし、大きく異なるのが内装のテイスト。カリーナEDはスポーティなイメージの内装を持っていましたが、ペルソナは「インテリア・スペシャリティ」と銘打つほど凝った内装となっていました。特に当時のカタログでは1ページ目からインテリアの写真のみの構成で、外観写真は13ページ目にようやく出てくるというもの。このカタログを見るだけでもどれだけ内装に力を入れていたかが分かりますね。
なお、女性を助手席に乗せて走ることをイメージして作られた車とのことで、助手席でも足を組みやすいようにグローブボックスを廃してスペースを作ったり、タバコの臭いが髪につかないように灰皿を無くすといった細やかなこだわりが見て取れます。
なお、1989年にはその年に新たに登場した新ブランド「ユーノス店」向けに兄弟車としてユーノス300が登場。ペルソナとの差異は小さいものの、こちらにはバケットタイプのフロントシートが採用されるなどどちらかというとスポーティなイメージが与えられていました。
日産・プレセア(1990年デビュー)
和風なテイストが女性に好評だった日産の宝石
スポーティなカリーナED、内装重視のペルソナに続いて登場したプレセアは、CMに見返り美人をイメージした女性を起用するなど和風をイメージした車種として登場しました。グリルレスのフロントマスクや、くぼんだデザインのインバース・ヘッドライトを採用した端正なデザインは特に女性ユーザーからの支持が高かったといわれています。車名のプレセアもスペイン語で宝石を意味していることから、当初から女性ユーザーをターゲットにしていたのかもしれません。
1995年には2代目へとフルモデルチェンジを実施。グリルレスのフロントマスクやインバース・ヘッドライトは失われたものの、キープコンセプトのまま若干サイズアップを果たしています。プレセアの特徴ともいえる、ブルーの照明のメーターパネル、マリンブルーメーターも継続採用されましたが、初代ほどの人気を得ることはできず、2000年8月に生産を終了しています。これは1985年登場のカリーナEDから始まったスタイリッシュな4ドアの車種の中で、一番最後まで生産が続けられたモデルでした。
いかがでしたでしょうか。高級車の4ドアクーペと同列に語るな、とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、同じテイストの車が30年前に存在していたことは紛れもない事実。現在、国産の新車にはこういったタイプの車種は存在していませんが、再びこういった車種が登場すると車選びに幅ができて楽しいかもしれません。
ルーツとなった(!?)国産の中古車は、世に出回っている在庫はかなり少ないものの、まだ比較的安価で見つけることもできますが、一部車種では徐々に値段が高騰していることもあり、手に入れるチャンスは今かもしれません。きっと近い将来、再評価されるジャンルだとわたしは信じています!
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