▲英国製高級車の代名詞ともいえるジャガー。そのなかのとあるモデルに狙いを絞れば、車両価格100万円以下というお手頃予算であっても好条件物件を探し出せること、ご存じでしたか? ▲英国製高級車の代名詞ともいえるジャガー。そのなかのとあるモデルに狙いを絞れば、車両価格100万円以下というお手頃予算であっても好条件物件を探し出せること、ご存じでしたか?

狙うべきは「忘れられた佳作」ことジャガー Xタイプ

「国産車も悪くないけど、そろそろシックで上質な感じのヨーロッパ車に乗り替えてみたい(ただしお手頃予算で)」と考えている方、少なくないかと思います。そして「シックで上質な感じのヨーロッパ車」といえば何といっても英国のジャガーですので、ぜひそれをオススメしたいところです。

とはいえ「ちょ、ちょっと待って!『ただしお手頃予算で』って言ったよね? さすがにジャガーは手が出ないよ!」という声も聞こえてきそうです。

たしかにジャガーは世界的な高級車ブランドの一つですので、正直けっこうお高いです。新車のXE(メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズと同ジャンルのサルーン)を買うとなると最廉価グレードでも総額500万円以上になりますし、中古車を狙うにしてもボリュームゾーンは390万~470万円付近です。

でも、世の中には「車両価格100万円以下」という比較的お手頃なプライスで「走行距離5万km以下」という、まずまず好条件な中古車が狙えてしまうジャガーだってあるんです。

それはジャガー XタイプおよびXタイプエステートです。

▲こちらが4ドアサルーンのジャガー Xタイプ。搭載エンジンはすべてV6の2.1Lと2.5L、3L ▲こちらが4ドアサルーンのジャガー Xタイプ。搭載エンジンはすべてV6の2.1Lと2.5L、3L
▲こちらはステーションワゴン版のXタイプエステート。エンジンはV6の2.1Lと2.5Lのみ ▲こちらはステーションワゴン版のXタイプエステート。エンジンはV6の2.1Lと2.5Lのみ

フォード モンデオがベースということでナメる人もいるが

Xタイプは、01年9月から09年12月までの比較的長きにわたり販売されたDセグメント、つまりメルセデス CクラスやBMW 3シリーズと同じようなサイズ感となるサルーンおよびステーションワゴンです。世間的にはやや地味な存在だったかもしれませんが、なかなか出来の良い車でした。しかし今ひとつブレイクしきれなかったため、現在はまずまず好条件な物件が「100万円以下」というお手頃価格で中古車市場に多数滞留しているのです。

新車販売時にXタイプがいまいちブレイクしきれなかった理由は、「フォード モンデオがベースだったから」かもしれません。

現在はインドのタタ・モーターズ傘下となっているジャガーですが、89年から08年まではアメリカのフォード・モーター傘下のブランドとして生き延びていました。そのためXタイプは、当時のフォード モンデオと車台やその他の構成部品を共有する英国車として誕生したのです。

その事実が、「生粋の英国車ファン」みたいな人は気に入りませんでした。「ジャガーのバッジは付いてるけど、中身はモンデオじゃねえか! そんなもん欲しくないよ!」みたいなセリフを、当時の硬派な自動車マニアからしばしば聞いたものです。

……そのマインドもわからなくはありませんが、そこ(純粋なジャガーであること)にこだわりすぎるのも正直どうだろうか……とは思います。なぜならば、当時のフォード モンデオ自体が実はかなり良い車だったからです。

▲ジャガー Xタイプのベース車両である2代目フォード モンデオ。ご覧のとおりの地味なルックスが災いしたのか、あまり売れませんでしたが、玄人筋からはかなりの高評価を得た「隠れ名車」でした ▲ジャガー Xタイプのベース車両である2代目フォード モンデオ。ご覧のとおりの地味なルックスが災いしたのか、あまり売れませんでしたが、玄人筋からはかなりの高評価を得た「隠れ名車」でした
▲で、こちらがジャガー Xタイプ。ボディサイズはモンデオよりも少しだけ小ぶりです ▲で、こちらがジャガー Xタイプ。ボディサイズはモンデオよりも少しだけ小ぶりです

「純英国車」じゃなくたって別にいいじゃないですか!

それこそXタイプ以上に地味な存在だったフォード モンデオですが、作りや走りの良さは当時の車好きや自動車ジャーナリストをうならせたものです。「こいつは(地味だけど)かなりの実力派だ!」と。あまり売れませんでしたが、実用サルーン/ステーションワゴンとしての実力は同世代の人気モデルにぜんぜん負けていなかったモンデオなのです。

純粋な英国車であることにこだわりたい人は、とことんこだわった選択をすればいいと思います。しかしそこにさほどこだわらない人間にとっては、ステキなモンデオをベースに作られたステキな英国車であるジャガー Xタイプは、敬遠する理由など一つもないナイスな選択肢です。しかもやや人気薄モデルだけあって「中古車相場が妙に安い」というオマケまで付いているのですから、逆に「積極的に選ぶべき存在」とすらいえるかもしれません。

ジャガー XタイプおよびXタイプエステートの中古車をこれから選ぶ際は、年式や走行距離だけにこだわるのはナンセンスですが、それでもなるべくなら最終年式に近い、走行距離少なめの個体を選んだ方が安心できるとは思います。そのうえで整備履歴の充実ぶりや、内外装に手荒く扱われた形跡がないかなどを確認しつつ探せば、そう大ハズシはしないでしょう。

ただ、Xタイプとはいえ「ジャガーはジャガー」ですので、交換部品などの単価は同クラスの国産車と比べればさすがに高めです。そのあたりを織り込んだうえで、「とはいえステキなジャガーをぜひ所有してみたい! 運転してみたい!」と思えるのであれば、ジャガー XタイプおよびXタイプエステートの中古車は今、絶妙な大穴です。ぜひ上手に探して、「100万円以下」というお手頃予算でもって大輪の花を咲かせていただけたらと存じます。

▲さすがに上級モデルであるXJあたりとは質感がちょっと異なりますが、それでも木目を上手にあしらったインテリアからは「ジャガーらしさ」が十分伝わってきます ▲さすがに上級モデルであるXJあたりとは質感がちょっと異なりますが、それでも木目を上手にあしらったインテリアからは「ジャガーらしさ」が十分伝わってきます
text/編集部
photo/ジャガーランドローバー