▲ガソリンや軽油ではなく、電気を用いて走る電気自動車は、中古車の流通量が増えたことで気軽に選べるようになりました。街中での使用がメインなら選択肢として十分あり得ると思いますよ! ▲ガソリンや軽油ではなく、電気を用いて走る電気自動車は、中古車の流通量が増えたことで気軽に選べるようになりました。街中での使用がメインなら選択肢として十分あり得ると思いますよ!

実は昔からある電気自動車。すでに中古車市場にも

かつて車の動力源はガソリンエンジンが当たり前。トラックやクロスカントリーモデルなどではディーゼルエンジンが搭載されていました。しかし石原慎太郎都知事(当時)が真っ黒なペットボトルを振って以来、ディーゼルはすっかり悪者となりました。

現在では排ガスをキレイにするクリーンディーゼルが登場し再び注目が集まっています。さらに1997年のプリウスから始まったハイブリッドカーや排ガスを一切出さない電気自動車、さらには水素を使った燃料電池車などいろいろな動力源を選ぶことができるようになりました。燃料電池車以外は中古車でも数多く流通しているのは言うまでもありません。

ところで電気自動車といえば、2010年4月から個人向け販売が始まった三菱 i-MiEV(アイ・ミーブ)や、2010年12月に登場した日産 リーフが代表的。電気で走る車が登場したことで「未来が近づいた」と感じた人も多いはずです。でも実は、電気自動車の歴史はガソリンエンジン車よりも古いって知ってましたか?

今回はそんな電気自動車の歴史を簡単に振り返りつつ、中古車で見つかる電気自動車を紹介しましょう!

i-MiEVとリーフの登場で一気にメジャーな存在に

世界で初めて実用的な電気自動車が開発されたのは1873年。イギリス人のロバート・ダビットソンの手によるものでした。日本でも明治時代末期にあたる1910年頃には電気自動車の試作が始まっていましたが、それらは輸入車の設計をもとにしていました。国産の電気自動車開発が始まるのは1930年代に入ってからです。

そして転機は第二次世界大戦後。航空機製造で名をはせた立川飛行機が企業解体され、東京電気自動車として再出発した時期にあります。この企業が1947年、「たま電気自動車」を発売したのです。

▲戦後間もなく登場した、たま電気自動車。後にプリンス自動車工業となる東京電気自動車が開発。プリンス自動車工業は日産と合併したことを考えると、リーフの祖先と言えるかもしれないですね ▲戦後間もなく登場した、たま電気自動車。後にプリンス自動車工業となる東京電気自動車が開発。プリンス自動車工業は日産と合併したことを考えると、リーフの祖先と言えるかもしれないですね

電気自動車がこの時期に日本で作られたことには理由があります。1945年に敗戦国となった日本は、深刻な石油不足に見舞われていました。そのため政府は電気自動車の生産を奨励したのだとか。たまの航続距離は96km、最高速度35km/hを記録したそうです。

時代はまた下り、オイルショックに襲われた1970年代から、自動車メーカーは電気自動車の研究に再び取り組みます。そして官公庁などに限定リースなども行われるようになりました。しかし広く世間に普及するには至りません。その最大の理由はバッテリーです。

1970年代だと鉛電池、1990年代になるとニッケル水素電池を搭載しましたが、量販にこぎつけられるほどの航続距離を出すことはできなかったのです。しかも充電ステーションも未整備。まだまだ一般の人が乗るには環境が整っていませんでした。

電気自動車普及の原動力となったのが、リチウムイオン電池の登場です。i-MiEVとリーフはともにリチウムイオン電池を採用。電気自動車の市販が始まったことで、充電ステーションも急速に増えていきました。日産自動車のHPによると、2015年12月現在、電気自動車の充電器は全国で約1万7000基となっています。

100%電気自動車が不安……という人は、電気自動車とハイブリッドカーの機能を併せ持つプラグインハイブリッド(PHEV/PHV)に注目。電気自動車のように充電してモーターだけで走る他、ガソリンエンジンとモーターのハイブリッド状態でも走行できるため、万が一電欠した場合でも安心です。

現代の電気自動車やプラグインハイブリッドカーが登場してからずいぶんたったこともあり、現在では電気自動車もプラグインハイブリッドも中古車が豊富になっています。

一時に比べてガソリン価格はかなり値下がりしているとはいえ、電気自動車はガソリンより燃料代が安い、排ガスを出さない、エンジン音がしないので静かなど魅力がたくさん。ここで中古車で狙える電気自動車とプラグインハイブリッドカーをご紹介しましょう!

日産 リーフ

▲中古車で電気自動車を探す場合、最もベーシックな選択がリーフでしょう。年式により航続距離や装備が異なるので、使い方を含めじっくり検討してください ▲中古車で電気自動車を探す場合、最もベーシックな選択がリーフでしょう。年式により航続距離や装備が異なるので、使い方を含めじっくり検討してください

現在、最も広く普及している電気自動車がリーフ。ベーシックなハッチバックスタイルですが、電費を高めるために空気抵抗を可能な限り減らし、Cd値0.28を達成しました。2010年12月に登場したときは満充電での航続距離が200kmでしたが、2012年11月のマイナーチェンジで228kmに。そして2015年12月のマイナーチェンジで280kmへと進化しています。

現在の中古車流通量は約440台。前期型なら100万円台前半で、航続距離が延びた中期型は150万円前後で見つかります。日産は中古車でリーフを買った人にもEVサポートを受けられるプログラムを用意しています。興味のある方は、記事下部の関連リンクより内容を確認してみてください。

三菱 i-MiEV

▲軽自動車サイズの電気自動車、i-MiEV。駐車場などの関係で買える車の車幅に制約がある人、1~2人で近距離の移動が中心の人にオススメ ▲軽自動車サイズの電気自動車、i-MiEV。駐車場などの関係で買える車の車幅に制約がある人、1~2人で近距離の移動が中心の人にオススメ

軽自動車のi(アイ)をベースにEVシステムを搭載したのがi-MiEV。iと同様に軽自動車として届出されるのが特徴。自動車税(軽自動車税)などは登録車より割安になります。航続距離は2011年6月までが160km、以降は180kmとなっています(G、Xの場合。Mは120km)。

中古車流通量は約130台。2014年以降の中古車は極めて少なく、探すならそれ以前のモデルに。全体の6割を占めている2010年式は100万円以下が豊富。手頃な価格で買える街乗り用のセカンドカーとして、今でも十分活躍してくれるはずですよ。

BMW i3

▲未来を感じさせるデザインが特徴的なBMW i3。相場はまだ高めですが人と違う電気自動車に乗りたい人は検討の価値あり! ▲未来を感じさせるデザインが特徴的なBMW i3。相場はまだ高めですが人と違う電気自動車に乗りたい人は検討の価値あり!

BMWが2014年4月に発売開始した電気自動車がi3です。日本の電気自動車は従来の市販車に近いデザインですが、i3は近未来を連想させる独創的なデザインに。オーナーに「次世代の自動車に乗っている」という優越感を与えてくれます。モーターで駆動するベースモデル(航続距離229km)の他、発電専用小型エンジンを積み航続距離を300kmまで延ばしたレンジエクステンダー装備車が用意されます。

中古車流通量は約30台と少なめですが、ほとんどの中古車が新車の「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金(CEV補助金)」を考慮した価格より安い400万円以下で流通しています。中には300万円代前半で買えるものも!

三菱 アウトランダーPHEV

▲EVに近い感覚で乗れるアウトランダーPHEV。最大1500Wまで使えるAC100Vコンセントも装備しています ▲EVに近い感覚で乗れるアウトランダーPHEV。最大1500Wまで使えるAC100Vコンセントも装備しています

SUVのアウトランダーにプラグインハイブリッドシステムを搭載したアウトランダーPHEVは、かなりEVに近いモデルです。モーターのみの航続距離は60.8kmなので、日常走行ではエンジンを使うことはほとんどないはず。また電気がなくなってもガソリンで走れるだけでなく、バッテリーチャージモードを選べば走行中でも停車中でもエンジンを動かし発電した電気をバッテリーに充電します。

中古車流通量は約530台と豊富。300万円を切る中古車も見つけやすくなっており、お買い得度はかなり高まっています。探しやすいのは2.0 G セイフティパッケージですが、SUVならではの豪華さを堪能したい人はプレミアムパッケージを探してみてください。

トヨタ プリウスPHV

▲電気自動車ではなくハイブリッドカーにかなり近いプリウスPHVですが、近場への買い物程度ならモーターのみでの走行も可能です ▲電気自動車ではなくハイブリッドカーにかなり近いプリウスPHVですが、近場への買い物程度ならモーターのみでの走行も可能です

同じプラグインハイブリッドでもアウトランダーPHEVが電気自動車に近い考え方で作られているのに対し、2012年1月にデビューしたプリウスPHVはハイブリッドカーに充電機能を付け燃費性能を高めるという発想になっています。モーターのみの航続距離は23.4km。

現在は約230台の中古車が流通しているものの、2012年式と2013年式の数は少なめ。2014年式は200万円前後から見つかります。

いかがですか? 電気自動車だけでなくプラグインハイブリッドカーまで視野を広げると、選択肢はぐっと広がります。でも完全なゼロ・エミッションを味わいたいなら迷わず電気自動車を選択しましょう。地球環境とお財布に優しいEVライフ、楽しんでください!

※文中の航続距離はすべてJC08モード。中古車流通量と中古車相場は2016年2月現在のものになります。

text/高橋 満(BRIDGE MAN)
photo/日産自動車、三菱自動車、BMW、トヨタ自動車