▲AMG E55(旧型)。M・ベンツ車にも当てはまることですが、最小回転半径が小さく、小回りがよく利きます。E55の最小回転半径はたったの5.3m ▲AMG E55(旧型)。M・ベンツ車にも当てはまることですが、最小回転半径が小さく、小回りがよく利きます。E55の最小回転半径はたったの5.3m

かつてのスーパーセダンがコスパ激高!

中古車の醍醐味はなんと言っても安さにあると思います。続いて「もう買えない」という希少性、バックオーダーを抱える一部の新車よりも納車が早いなどが挙げられるでしょう。そんな中で、安さが際立つ車といえばAMG Eクラス(旧型)。とりわけ、その前期モデルに当たるE55が大変リーズナブルになっています。

E55といえば、M・ベンツ Eクラスをベースに“モンスター化”したスーパーミドルクラスセダンです。Eクラスに5.5Lスーパーチャージャー付きV8エンジンを搭載しています。最高出力は476ps、最大トルクは700N・mというスペックです。

もちろん、足回りもブレーキも走りのために強化されていますし、インテリアもスペシャルモデルらしい高級かつスポーティに仕立てられています。新車時価格は1220万円~と普通のEクラスの倍ほどしていました。

▲内装のデザインはEクラス譲りですが、材質を変更することで高級感とスポーティさを両立させています ▲内装のデザインはEクラス譲りですが、材質を変更することで高級感とスポーティさを両立させています

当然その運動性能は高く、0→100km/h加速は4.7秒という俊足ぶり。これは旧型ポルシェ 911カレラ(前期モデル)と同じ数値なんです。それでいてE55の中古車はお手頃で、カーセンサーに掲載されている最安値物件は車両価格で140万円となっています(2015年10月9日現在)。

旧型E55がデビューしたのは2002年ですから、最も古いもので13年落ちです。13年と聞くと古く感じてしまうかもしれませんが、E55のパフォーマンスは決して色あせていません。たっぷりの空気を吸い込んで、たっぷりの燃料を燃やす。スーパーチャージャーをうならせ、加速していく様は「ワイルド」の一言に尽きます。

▲4本出しのマフラーは低音が効いた、力強いエキゾーストサウンドを奏でてくれます。かなりワイルドです ▲4本出しのマフラーは低音が効いた、力強いエキゾーストサウンドを奏でてくれます。かなりワイルドです

AMGに乗りたい人は、現行型狙いが多いのでしょうか。他のAMGを見渡してみても「旧型」となると中古車相場はガクンと下がる傾向にあるようです。中でもEクラスの値落ちぶりは目を見張るものがあります。同等予算で、同等年式で、これほどのハイパフォーマンスモデル、他には見かけません。

E55は大排気量モデルですから、維持費はそれなりにかかります。でも、総額でも100万円台後半からスーパーカー級のハイパフォーマンスモデルが狙えるんです。古くなっても、安くなっても、かつては富裕層に愛された高級車ですから、ある意味で“やむを得ない”と納得せざるを得ません。

さすがに低価格のE55は一般的に“多走行車”といわれるものが多いです。とはいえ、年間平均走行距離が1万kmとしたら13年落ちの場合、13万kmは普通といえます。しかも、ヨーロッパでは基本的に何十万kmも乗られる車ですので、しっかりメンテナンスが施されてきた車なら、さほど心配することはありません。

物件をチェックする際は、内装の状態の良し悪しがポイント。前オーナーが車の面倒をしっかり見てきたか否かの重要な判断基準となります。つまり、なるべく整備履歴がハッキリして、内装のヤレの少ないものを選べば案ずるよりも維持は楽でしょう。

text/古賀貴司(自動車王国)