▲高級輸入SUVを美しい西洋装飾ナイフに例えるなら、ランドクルーザー200は鍛冶職人が作った和包丁みたいなものです ▲高級輸入SUVを美しい西洋装飾ナイフに例えるなら、ランドクルーザー200は鍛冶職人が作った和包丁みたいなものです

今、値落ちしにくい車はトヨタ ランドクルーザー200

かつて日本の中古車市場でまことしやかに信じられていたのは「輸入車は新車時価格こそ高いけどリセールバリューも高い」でした。中古車相場はいつの時代も「需要と供給」に支配されていますから、それだけ輸入車の需要が高かったこと“も”あったのでしょう。

ただ、「今、値落ちしにくい車は?」と筆者が聞かれてパッと思いつくのは一部のトヨタ車なんです。ちょっとびっくりしませんか? 具体的にはハイエースやアルファード、ヴェルファイア、プリウス、そして今回取り上げるランドクルーザー200です。

ランドクルーザー200は世界100ヵ国以上で愛される本格派高級クロカンで、本当の意味での“僻地”でも大活躍しています。最近の車がモノコックボディを採用する中、ランドクルーザー200はボディが割れる恐れがあるとしてラダーフレームにあえてこだわっています。つまり、それほどの悪路での走行も想定されているんです。

2007年のデビュー当時、グレード構成はシンプルで「AX」「AX“Gセレクション”」の2つでした。最近は5人乗りグレードの「GX」(GX以外は8人乗り)、そして4-Wheel AHC&AVSを採用した高級仕様の「ZX」もラインナップに加わっています。

▲最新技術を搭載しながらも壊れにくいことが重んじられています。その一例が電動パワステではなく油圧パワステがいまだ採用されていることです ▲最新技術を搭載しながらも壊れにくいことが重んじられています。その一例が電動パワステではなく油圧パワステがいまだ採用されていることです
▲本革や木目パネルが採用されていますが、あくまでもインテリアも機能重視です ▲本革や木目パネルが採用されていますが、あくまでもインテリアも機能重視です

日本だけでなく海外からの需要も多い

2015年7月6日現在の新車時価格体は約453万~約653万円。一方、カーセンサー掲載物件の平均車両相場を見ると、約650万円……。はい、デビューから8年が経って、この中古車相場です(笑)。しかも、直近3ヵ月の中古車相場は、なんと上昇傾向にあります。繰り返しになりますが、デビューから約8年が経過してコレは中古車市場における人気を物語っています。

掲載物件を眺めてみると、日本未導入のディーゼルモデルや登録済未使用車、新車時登録から間もなくカスタマイズされたモノなど新車時価格(オプション無し)を上回る700万円オーバーの個体がゴロゴロしていて、中古車相場を引き上げていることが分かります。逆に、安価な物件を検索してみると、車両価格398万円から探せます。ここからも、中古車としての値落ちがごくわずかであることが容易に見てとれます。

しかしそれでも中古車としてオススメできる1台です。たしかに一般的な中古車よりも販売価格において割安感に乏しいかもしれません。しかし現状、高値のリセールバリューが期待できますし、保有期間中の下落もわずかで済むと推測できます。なにせ、この中古車相場は日本だけで形成されているわけではなく海外からの引き合いも加味されていますから。

悪路走破性よりオンロードでの快適性に驚かされる

ランドクルーザー200のオフロード性能は非常に優れており、全車に標準装備されるクロールコントロール、AX“Gセレクション”に搭載される「KDSS」と呼ばれるスタビライザーが凄いんです。本当に日本で使うユーザーに必要か否かは正直未知数ですが、ランドクルーザー200の本物志向こそが「高級」だと思います。

まぁ、オフロード性能をうんぬん語るつもりはありません。そんなことよりも、あまり言われないことをここに記しておきます。

それは、ランドクルーザー200のオンロードでの走りについてです。ヌルーっと、ジワーっと加速する様や、路面のいなし方は、まるでロールスロイス ファントムのようなんです。NVH対策もトヨタの高級車らしく万全で、驚くほど静かでスムーズです。昨今の高級SUVがワインディングロードでもスポーツカー然とした走りをする中、ランドクルーザー200は素直なボディロールをしながらも踏ん張ります。そういう意味では、もはや“唯我独尊”の道を突っ走っているのかもしれません。

いわゆる高級輸入SUVを美しい西洋装飾ナイフに例えるなら、ランドクルーザー200は鍛冶職人が作った和包丁みたいなものです。中古の輸入SUVをお考えの方は、ぜひ比較検討していただきたい次第です。

text/古賀貴司(自動車王国)