原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年2月1日に発見したのは「トヨタ センチュリー」です。普通に検索すると全国に115台流通しているんですが、なんと「防弾仕様」車に遭遇したんです! 約30万台の中古車を掲載するカーセンサーnet内で115台しかないセンチュリーの中の1台、というレアな物件です。

センチュリーは泣く子も黙る日本独自の高級車。トヨタのプライド以外のナニモノでもない車です。例えば、こんな話を聞いてことがあります。某誌が取材のために欧州の超高級車に乗ってセンチュリーを製造する関東自動車工業(現トヨタ自動車東日本株式会社)に行ったら、昼休みに工員たちがゾロゾロ集まってきて細部にわたって観察。センチュリーのほうが手間暇かかっているばかりか精度(塗装や組み付け)も高い、という結論に達したというのです。まぁ、これはあくまでボクが耳にした話に過ぎないのですが……。

そもそもセンチュリーは日本車で唯一、V12エンジンを搭載し、リアシートに座る人のことを主眼に作られている車です。メーカーはカタログで「アルミ製ドアフレームは、後席に乗車された姿を印象づける額縁をイメージ」とうたっています。さらに「横一文字のランプ構成によるリアビューも、お見送りの方に、その存在感と余韻を与えるようデザインしたもの」というのです。とてつもなく神々しくやんごとない雰囲気がこのフレーズからも漂っています。正直たまりません!

公に存在が確認できるセンチュリーの防弾仕様車は、総理大臣専用車や皇室の一部御料車くらいのもの。民間(超VIPには違いありませんが……)にもチラホラと出回っているのでしょうが、この車両を取り扱う販売店もその辺りが気になったようで、ドアを分解した写真が物件詳細にアップされています。サイドウインドウの厚みは13㎜とのこと。さらに内張りには、強度を高めた特殊繊維であるケブラー素材らしきものが見えます。

20万kmを走破した個体ではありますが、センチュリーの耐久性を考えればまだまだイケるでしょう。消耗品の交換やリフレッシュのための出費はやむを得ませんが、防弾仕様車が108万円というのは奇跡的なバーゲンプライスです。

防弾仕様車は分厚いガラスや補強材のせいでドアが重たいのですが、それだけで「何かが違う」と感じさせてくれます。スペック、運動性能ではどうしても新しめの車に軍配が上がりがちですが、「防弾仕様車」という存在だけで差別化を十二分に図れます。防弾仕様車を必要としている人(?)は要チェックな物件ですし、人とは違うモノに乗りたい中古車ハンターにも、ぜひオススメしたい物件です!

Text/古賀貴司(自動車王国)

トヨタセンチュリー(防弾仕様車)|オンリーワンを探せ

トヨタ センチュリー(防弾仕様車)

本体価格(税込)108.0万円
支払総額(税込)117.5万円
走行距離20.0万km
年式1998(H10)年式
車検2014(H26)年1月
整備
保証
地域静岡