原稿執筆時点でカーセンサーnetにたった1台だけ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2012年9月17日に発見したのは「M・ベンツ AMG 560SEL ストレッチリムジン65」です。今でこそAMGはM・ベンツのチューニング部門ですが、かつては独立系チューナーでした。1990年にM・ベンツ(ダイムラー社)とモータースポーツ事業において業務協力、1999年からはM・ベンツの一部門として活躍、2005年に買収されて完全子会社化、といった経緯をもっています。この車のデビューは1979年のフランクフルトショーですから、開発(生産ではなく)された時代は、AMGは独立系チューナーでした。

では、AMGのストレッチリムジンがチューニングカーならではのエッジーな雰囲気が漂っているのかと問われれば、そうではありません。エンジンはノーマルですし、外観だってストレッチされた以外はノーマル。でも手の込みようはさすが。日本で新車として販売したのはM・ベンツ正規販売店であるYANASE。販売店のホームページによると、新車時価格は3500万円で当時のロールスロイスよりも高かったそうです。

全長は5m81cmで、車名にある「65」はホイールベースが65cm延長されたことを示しています。リムジンですから当たり前ですが、リアシートに座る人の快適性を考えて作られていて、キャビネット、冷蔵庫、ブラウン管TV、ビデオデッキなどが装備され至れり尽くせりです。さすがにAV機器はノスタルジックな気分に浸らせてくれますが、最新機器に入れ替えるのも難しくありません。そのほかリアシート用大型サンルーフ、電動リクライニングシートなども装備。さらに、リアシートの座面はリクライニングした際の座り心地を考慮し、くぼみを深くしてあります。通常のリムジンならシートはベース車と同じものを流用するだけですが、コレは細かいところまで考えられています。

見るかぎりメチャメチャ状態は良さそうですし、コレクターズアイテムとしての価値も高そうです。そして、なによりオススメしたい理由は“ファミリーカーとしての楽しみ”です。リアの広大なスペースはファミリーにもってこいだと思うんですよねぇ(笑)。どこへ出かけるのも快適ですし、どんな車が横に並んでも一目置かれるはず。誰を乗せても喜ばれることでしょう。「全長が長すぎる」というご指摘もあるかもしれませんが、Sクラスは小回りが利くので、そんなに苦にならないと思うのですが…。

Text/古賀貴司(自動車王国)

M・ベンツ AMG 560SEL ストレッチリムジン65 |  オンリーワンを探せ
本体価格(税込) 220.0万円
支払総額(税込) ---万円
走行距離 3.9万km
年式 1990(H2)年式
車検 車検整備付
整備 法定整備付
保証 保証無
地域 東京