サス変更の効果は顕著! 中古車の価値を高める「価値ある」キットだ

前編で紹介したアドバンスキットというものは一体どういうものか。松本氏によれば「一言で言えば、お客様へのおもてなしの一環。実は2011年モデルとはまたひと味違う車を開発したんですよ(笑)」と言う。えっ、そんなのありなの?と思わず筆者も驚いた。

松本氏によればこのアドバンスキットは2010モデルのフロントショックアブソーバー/スプリングなどのサスペンション系、同じく2010年モデルのエンジン&トランスミッションマウント、2011年モデルのドアウエザーストリップ、そして英国サッチャム基準準拠のアラームシステムなど、合計8つのアイテムが組み込まれている。

松本氏は「ステアリングを切った瞬間にスッと曲がる回頭性の良さを狙いました。2011年モデルとは違う方向性とも言える味つけです」と言う。ってことでキット装着/非装着の2台を乗り比べてみた。
↑アドバンスキット非装着車(左)、装着車(右)の走り。写真で判別するのは難しいが、回頭性の高さなどはキット装着車のほうが鋭敏になったと言える。
まずは非装着のGT-R。ステアリング回りの剛性感は高いが、ステアフィーリングは重厚な感じだ。で、キット装着車に試乗してぶっ飛んだ(マジです)。「軽快だ・・・」走り始めて最初のコーナーでステアリングを切った時の印象である。もちろんステアリングが軽くなったわけではない。松本氏が言うように回頭性、いわゆる「フロントの入り」が非常に速い。

だからといって過敏というわけではない。また非装着車は少し荒れた路面を走った際に微振動が結構長く持続していたのだが、キット装着車は振動吸収性も高く、最終的には「乗り心地が良い」レベルまで高められていると言っていいだろう。またウエザーストリップの効果は顕著で、風切り音などの軽減は確実に体感できるレベルだ。

注目したのは価格的にも高価なサッチャム基準準拠の盗難防止装置。これに関して「やはり調査をすると屋外駐車も多いんですね。当然盗難のリスクも高くなります。これを装着することで逆にお客様へのリスクが減らせれば、と頑張って装着してみました(笑)」と松本氏も胸を張る。

今回試乗してみてわかったことは2つ。
一つはGT-Rユーザーのことを日産は本当に大事にしているということ。2つめはこの中古車ビジネスに対しての本気度の高さ、である。特にこのアドバンスキット装着車の軽快な走り、今まで“高い敷居”だったGT-Rが本当に乗りやすくなったことで、金額だけでなく新しいユーザーの獲得ができるのではないかという期待もある。保証も含め、これらはまさに「血統書付き」の中古車。今後の認定中古車の動きは要注目だろう。
Report/高山 正寛 Photo/篠原晃一