名車と呼びたいミドルサイズミニバン

絶版になってしまったけど、改めて考えると良いなっていう車ありますよね。昨年の12月に絶版となった、トヨタのイプサムもそんな車の一つだと思います。オデッセイのような低車高ミニバンと、箱型ミニバンの間をとったようなイプサム。実は今なら50万円以下で買うことができるんです。

最終型のイプサムが登場したのは2001年5月のこと。3ナンバーボディとなって、先代よりも居住空間を広めて登場しました。大きくなった分、弊害となるのは取り回しですが、最小回転半径は5.5mと、セダン並みに取り回しがいい車なんです。
  • トヨタ イプサム 外観(フロント)|おいしい中古車
  • トヨタ イプサム 外観(リア)|おいしい中古車
↑スタイリングは“なごみ系”。目つきの鋭いフロントマスクが増えた現在においては貴重な存在です。リアビューなどは古さもまったく感じさせません(左右)
そして最も優れていると思うのがパッケージング。先にお話ししたとおり、低車高系と箱型系の間をとったようなスタイルなので、低車高系ミニバンほどキビキビしたハンドリングではないけれど、箱型系よりはいい。そして箱型系ほど頭上空間にゆとりはないけれど、低車高系よりはある。そんなスキマ産業的なコンセプトがとっても優れていると思うのです。

今でいえばマークXジオなどがそれに近いのでしょうが、スタイルが結構ヤンチャです。流線形でシャープなデザインの車が多いこの頃ですが、あらためてこのイプサムを見ると、何か落ち着くというか、癒しすら感じるほどです。

もう一つは6人乗りの存在です。これはセカンドシートがキャプテンシートになっているもので、2+2+2のレイアウトになります。7人乗りもありますが、5人家族の私にとっては無用の長物。それならゆったりと乗れて3列目へのアクセスも容易な6人乗りの存在が俄然光ってくるのです。

  • トヨタ イプサム インパネ|おいしい中古車
  • トヨタ イプサム シート配置|おいしい中古車
  • トヨタ イプサム シートアレンジ|おいしい中古車
↑スタイリング同様、落ち着いた仕立てとなっているインテリア(左) 3列目はポジションが高くなっているため閉塞感はない(中) フラットにすれば仮眠もラク(右)

4分の1以下の価格で買える!

さて、そんなイプサムも中古車市場ではかなり安く売られています。私自身も見ていて驚いたのですが、走行5万km以下の修なし車が50万円以下なんて物件もありました。新車時の価格を考えれば、4分の1以下です。

ボクにとってこの車はいい意味での“そこそこカー”。格別走りがいいわけじゃないし、格別広いわけでもない。でも走りも居住空間も“そこそこ”いい。どちらも求める人にとって、このイプサムはかなり狙い目の中古車と言えるのではないでしょうか。

Text/金子剛士