THE!対決

PART2 取り回し性能対決

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之
トヨタ ヴォクシー
ホンダ ステップワゴン

駐車時などにやや慣れが必要なステップワゴン

この2台は形は似ているが、運転席からの視界がまったく違う。

走りのレポートで“2代目プレリュード”と書いたように、ステップワゴンはとにかくフロントガラス面積が大きく、下端が低いので、前方視界は車の直近までの路面が見え、ノンステップ型路線バスのドライバー感覚。着座位置が決して高い訳ではないが、狭い場所に突入した場合も、運転席から身を乗り出すことなく周囲が見渡せるのが嬉しいところ。

ただしサイドウインドが僅かにウェッジを描くため、縦列駐車などボディサイドをガードレールなどと平行に収めたいときに、頭のなかでほんの少しイメージの修正が必要。

またステアリングはフルロックが約3.6回転と意外にクイックではなく、しかもステアリングが小径でグリップも太め。また運転姿勢から駐車ブレーキペダルがまったく見えない位置にあったりするが、オーナーになれば慣れが解決してくれるのだろう。ATのクリープは自然で、微速時のコントロールは楽だった。

最初から万人が自然に扱えるよう設計されたヴォクシー

一方、ヴォクシーも視界は相当に広いが、下方ではなく、天井が高いことで上方まで天地に窓が大きい印象。三角窓も視界に寄与しているし、サイドミラーが縦方向に大きいのも助かる。

また盛り上がった左右フェンダーが視界に入るのも特徴。正統派セダン的な視界の確保の仕方だ。

ステアリングのフルロックまでは3回転少々とステップワゴンよりクイック。しかし、回しきってストップする際の“ガツン”と来る衝撃を感じるのはトヨタらしくない。

またCVTのため、特にステアリングを切った状態などではクリープがほどんど効かせられず、そこからアクセルを踏み込むと、やや唐突に車が動き出す場合がある。

ただしヴォクシーでは、オプションで駐車支援システムが用意される。さらに今回の試乗車でも試したが、小型カメラによるフロントとサイドのモニタリングシステムは実に有効。

サイドは前方拡大/通常と視界が切り替えられて便利だし、フロントは超ワイドな画角で左右が繋がった視野が得られるため見え方が自然でいい(以前はカメラが左右別々だったので視野が食い違っていて、真正面にブラインド部分があったから違和感があった)。

ステップワゴンのカメラは、ホンダの社内基準が独特なのだろうか。扱いにくくはないが、慣れるのにややコツが必要。慣れるとさらにスムーズに振る舞えそうだ。対してヴォクシーは、さすがトヨタというべきか、最初から万人に馴染むように作られている。

今回のまとめ
気を抜いたときに“コツン”とやってしまいそうな、住宅街の細い道や縦列駐車などそんな場所でもボディの感覚や周囲の状況を判断しやすいのはヴォクシーのほうだった。ただステップワゴンもオーナーになって車両感覚に慣れれば問題はないはずだ。
今回のテスト車両
■トヨタ
ヴォクシー
・テスト車両
2.0ZS(2WD)
245.7万円
・駆動方式
FF
・トランスミッション
CVT
・全長×全幅×全高
(mm)
4640×1720×1850
・ホイールベース(mm)
2825
・車両重量(kg)
1590
・最小回転半径(m)
5.5
・乗車定員(人)
8
・エンジン種類
直4DOHC
・総排気量(cc)
1986
・最高出力
[kW(ps)rpm]
116(158)/6200
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
196(20.0)/4400
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
60L
・10・15モード燃費
(km/L)
14.2
・タイヤサイズ
205/60R16

■ホンダ
ステップワゴン
・テスト車両
2.0GLSパッケージ(2WD)
242.55万円
・駆動方式
FF
・トランスミッション
4AT
・全長×全幅×全高
(mm)
4630×1695×1770
・ホイールベース(mm)
2855
・車両重量(kg)
1530
・最小回転半径(m)
5.3
・乗車定員(人)
8
・エンジン種類
直4DOHC
・総排気量(cc)
1998
・最高出力
[kW(ps)rpm]
114(155)/6000
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
188(19.2)/4500
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
57L
・10・15モード燃費
(km/L)
12.2
・タイヤサイズ
205/65R15