THE!対決

PART3 積載性対決

Report/編集部 Photo/奥隅圭之
スバル インプレッサ
日産 ティーダ

張り出しが少なく使いやすいインプレッサ

セダンのトランクにあたる部分をストンと切り落とすことでサイズを小さくしているコンパクトカー。必然的に“居住スペース”と“荷室スペース”を合わせた室内空間の大きさに制限が出てくる。あとは限られた空間をどのように使うか。このテストではその考え方の差が如実に現れた。

インプレッサが目指しているのは居住スペースと荷室スペース、どちらも不満なく使える優等生タイプ。後部座席に極端な狭さを感じるわけではないが、それなりに荷室スペースも確保されている。タイヤハウスの張り出しが少ないのはスペースを広く使うのに貢献しているし、1740mmという3ナンバーサイズの全幅からくる荷室の余裕もある。

開口部の大きさも手伝い、一辺32cmのダンボール箱を横に3つ並べて積むことができた。ただしCピラーから後ろがかなり斜めに切れているので、後部座席を利用した状態で高さのある荷物を積むのは難しい。

荷室を大きくする作業は後部座席の背もたれを倒すだけ。これでフラット&広大な空間が生まれる。もちろん背もたれは左右分割可倒式なので、乗員が3人いる場合は片方だけ倒すことも可能だ。

見た目の広さはあるが、使いにくさが否めないティーダ

ティーダは限られたスペースの使い方を乗員の快適性にシフトする。そんな姿勢が如実に現れている。その分荷室スペースはやや犠牲になっていた。後部座席に前後スライド機能をつけて足元を広く使う工夫をしているティーダ。座席を一番後ろまで下げたときの荷室の奥行きは73cm。インプレッサより8cmも短くなる。タイヤハウスの張り出しもやや大きいため、段ボール箱を横に3つ積むにはわずかにサイズが足りなかった。ただし一番前までスライドすると奥行きは97cmになる。前後スライドは荷室側からもできるのは親切だ。

ティーダの荷室フロアはインプレッサと比較するとかなり深く掘られている(なんとバンパー部から20.5cm!)。ゲートの傾斜もインプレッサほど鋭角ではないので、背の高い荷物は積みやすい。ただ開口部が鋭利な逆台形になっている(一番狭い部分の幅は62cm)ので、幅のある荷物を積む際はコツが入りそうだ。

後部座席を畳んだときにも、居住スペース優先の性格が現れた。座面に厚みがあることもあり、フロアに段差ができてしまうのだ。このような場合、ステーションワゴンなどでは座面ごと前方にバタンと倒れるダブルフォールディング機構を採用するモデルが多い。しかしティーダにはその機能がないので、段差は我慢するしかない。フロアが低い分、段差の下部分では1m以上の高さを稼げているだけに、かなり惜しい。
今回のまとめ
段ボールの積載数はインプレッサに軍配が挙がったこのテスト。居住スペース優先で作られているティーダだが、決して荷室が使いにくいというわけではなかった。惜しかったのは荷室最大スペース時の30cm近くあるフロアの段差。細かい荷物をたくさん積むときは気にならないだろうが、大きな荷物を積みたいときは邪魔になりそうだ。
今回のテスト車両

■スバル
インプレッサ
・テスト車両
1.5 15S(2WD)
151.2万円
・駆動方式
FF
・トランスミッション
4AT
・全長×全幅×全高
(mm)
4415×1740×1475
・ホイールベース(mm)
2620
・車両重量(kg)
1260
・最小回転半径(m)
5.3
・乗車定員(人)
5
・エンジン種類
水平対向4DOHC
・総排気量(cc)
1498
・最高出力
[kW(ps)rpm]
81(110)/6400
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
144(14.7)/3200
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
60L
・10・15モード燃費
(km/L)
16.6
・タイヤサイズ
195/65R15


■日産
ティーダ
・テスト車両
1.5 15M(2WD)
162.926万円
・駆動方式
FF
・トランスミッション
CVT
・全長×全幅×全高
(mm)
4205×1695×1530
・ホイールベース(mm)
2600
・車両重量(kg)
1150
・最小回転半径(m)
5.2
・乗車定員(人)
5
・エンジン種類
直4DOHC
・総排気量(cc)
1498
・最高出力
[kW(ps)rpm]
80(109)/6000
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
148(15.1)/4400
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
45L
・10・15モード燃費
(km/L)
19.4
・タイヤサイズ
185/65R15