THE!対決

PART1 走行性能が優れているのはどっち?

Report/島崎七生人 Photo/小林岳夫
ホンダ フリード
ホンダ フリード 走り|THE!対決
↑CVTながらアクセル操作に対する違和感などはなく、踏み込むと、実に素直に伸び伸びとした加速を示してくれる。中間加速のマナーもよろしく、車がスーッと前に出る印象
ホンダ フリード ドライビングポジション ホンダ フリード 2列目シート ホンダ フリード 3列目シート
日産 キューブキュービック
日産 キューブキュービック 走り|THE!対決
↑スポーツ志向で、エンジン回転を使って走るほうが明らかに快活。CVTのモードをスポーツに切り替えて走らせたほうがストレスがなく、3000回転台よりも4000回転台のほうが活気づく
日産 キューブキュービック ドライビングポジション 日産 キューブキュービック 2列目シート 日産 キューブキュービック 3列目シート

ホンダ車特有の爽快なフィーリングのフリード

試乗車は、フリードが「G Lパッケージ」、キューブキュービックは「15M」。キューブキュービックは7人乗りで、フリードも2列目がキャプテンシート仕様の7人乗りだ。

まずフリードだが、走らせてとにかく実感するのは「コレで十分!」ということ。このフレーズ、本連載ですでに何度か登場済みなはずだが、“走りに不足なし”と判定された際に適用される…と思っていただきたい。搭載エンジンは、フィットのRSにもシェアされる、L15A型1.5Lのi-VTEC。スペックは118ps/14.7kg-mのレギュラーガソリン仕様で、これに無段変速機のCVT(4WD車は5ATになる)が組み合わされる。

走り出して実感するのは、爽快なフィーリングだということ。最近の車らしくCVTながらアクセル操作に対する違和感などなく、アクセルを踏み込むと、実に素直に伸び伸びとした加速を示してくれる。中間加速のマナーもよろしく、車がスーッと前に出る印象。ステアリングは中速以下(60km/hくらいから下)の軽さを重視した設定のようで、速度が高まった際にあと少し舵の感じが手に伝わればなお可。それと、7名+αの荷重を想定しているはずだが、通常走行時に足がかたくなに突っ張る…というわけではなく、コーナリングでは自然なロール感がある。

欲をいえば、2740mmのロングホイールベースを生かし、走行時のフラット感がもっと増せばなお良い。パスン!と走行中のタイヤの弾かれる音(空気の共鳴音)が目立つことをはじめ、ボリュームは小さいのだが、何となく走行中に“サワサワ”したノイズを感じる。

フル乗車試乗でも、フリードはおおむね好評だった。シートでいうと、フロント席(助手席)は、乗員の体格と着座位置により「Aピラーが寝ていて圧迫感を感じる」の声。後席に気遣ってスライドを前寄りにすると、足とグローブボックスが接近する。2列目は「乗り心地が良い」と評価された。ただし、ドアとのクリアランス部分に「アームレストがあればいいのに」との指摘があった。

3列目は、中央の乗員のためのヘッドレストがナシ。とはいえ、2列目のスライド位置を調整すれば、足元スペースが確保できるのはたいしたもの。中央席は2列目左右席の“間”に足が伸ばせる(ただし足で踏ん張れない分、オシリがずれてしまうが)。「横幅も肩が重ならず、意外と耐えられる」と評判なのだった。

意外なスポーティさを見せるキューブキュービック

他方のキューブキュービックだが、コチラも1.5L+CVTの組み合わせ。性能は109ps/15.1kg-mと常識的だ。そして走りは、案外とスポーツ志向というべきか、エンジン回転を使って走るほうが明らかに快活だった。CVTのモードをスポーツに切り替えて走らせたほうがストレスがなく、3000rpm台より4000rpm台のほうがより活気づく。

乗り味も登場時に比べ“こなれて”いる。走行中の細かで不快な揺れがかなり減少したし、コーナリングの姿勢もロールさせずにボディを安定させる方式だが、決して硬さは感じず、安定感がある。同様にパワーステアリングの操舵感も、以前の、アシストが後追いしてくる不自然さを実感する場面がほとんどなくなった。

キューブキュービックの助手席は、ボディ形状の違いからフリードとは正反対で「サイドの窓が広い」の印象。2列目は3名乗車では左右席のヘッドレストがズレてしまい「誰もヘッドレストが使えない状態」に。ただしサイドウインドが立っていたりと、室内空間自体はイジめられていないため、スペースはそこそこある。

3列目は、試乗時、車がスタートするや否や「長時間はキツい。足を開くか膝を抱いた姿勢にならなければならない」の声が上がった。また3列目右側には窓がないため暗く、お仕置きで物置きに閉じこめられた子のフィーリング。走行中の騒音はフリードより低く、全席とも乗員相互の会話は無理なく行えた。 
今回の燃費計測結果
  平均燃費 参考燃費
(一般道)
参考燃費
(高速道路)
ホンダ フリード 17.4km/L 14.5km/L 19.0km/L
日産 キューブキュービック 16.6km/L -km/L -km/L
※キューブキュービックには燃費計が装備されていないため、参考燃費の欄がーになっています
燃費計測ルートは・・・
東京・青山→神奈川・大井松田(ここまで一般道)→東名・静岡IC→東名・海老名SA
総走行距離 310.5km
今回のまとめ
キューブキュービックはデビュー時に比べ良くなっている印象を受けたが、不足なしの軽快な走りが際立ったフリードに軍配が上がる。ただし乗り味、静粛性は、より磨きをかけてほしい。
今回のテスト車両
ホンダ フリード フロント|THE!対決
ホンダ フリード リア|THE!対決
ホンダ フリード インパネ|THE!対決
ホンダ フリード
テスト車両 G Lパッケージ
178.5万円
駆動方式 2WD(FF)
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 4215×1695×1715
ホイールベース(mm) 2740
車両重量(kg) 1300
最小回転半径(m) 5.2
乗車定員(人) 7
エンジン種類 直4SOHC
総排気量(cc) 1496
最高出力
[kW(ps)/rpm]
87(118)/6600
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
144(14.7)/4800
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 42L
10・15モード燃費
(km/L)
16.4
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
11.3
タイヤサイズ 185/70R14
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
日産 キューブキュービック フロント|THE!対決
日産 キューブキュービック リア|THE!対決
日産 キューブキュービック インパネ|THE!対決
日産 キューブキュービック
テスト車両 15M
165.9万円
駆動方式 2WD(FF)
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3900×1670×1645
ホイールベース(mm) 2600
車両重量(kg) 1190
最小回転半径(m) 4.7
乗車定員(人) 7
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1498
最高出力
[kW(ps)/rpm]
80(109)/6000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
148(15.1)/4400
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 45L
10・15モード燃費
(km/L)
19.2
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
13.1
タイヤサイズ 175/65R14
※実用燃費のデータはe燃費の提供です