volvo xc60▲自動車・中古車に関する調査・研究を通じ業界の発展を目指すリクルート自動車総研が、調査データと独自の考察をお届け。今回のテーマは「車の安全性能」

半数以上が気にする安全性能。近年では当たり前の装備に

車は便利な移動手段であると同時に、スピードが出れば相応の危険も伴うものです。

劇的に伸びているわけではないですが、リクルート自動車総研が行っている『中古車購入実態調査』の下記データのとおり、約6割の購入者が「衝突自動防止装置、誤発進防止機能など自ら危険を回避してくれる車」に興味関心を寄せています。

カーセンサー

カタログや広告では“先進安全装備”などと呼ばれ、なんとも具体の内容が分かりづらい印象ですが、この手の機能が国産車に搭載され始めたのがざっと10年ほど前。最初は上位グレードだけの限定装備であったり、オプション追加しなくてはならないケースがほとんどでした。

しかし、グラフが示すとおり半数以上が気にする項目とあって2017、18年頃には多くのモデルで標準で装備されるように。

つまり、2024年現在に車を買おうとする場合、初度登録から5年が経過するような中古車であっても、機能の大小はあれどなんらかの安全に関する装備を搭載している車がほとんどになります。

ボルボ▲ボルボが採用している先進安全装備「ステアリングアシスト付きBLIS」の説明図。車線変更の際に後方からの車両との衝突を回避するようステアリングを自動で操作してくれる

中古で探せる十分な安全装備。価格を抑えて賢く狙おう

とはいえ、より安全であることを否定する人はいないでしょう。そうなるとより高い性能を求め、結果として最新の車こそが最高の選択肢であるとなってしまいます。

一方、誤解を恐れずに言えば、多くの人にとってはすでに流通している中古車でも十分以上の働きをするものが選べる状況だと言えます。

イメージとしてはスマホのカメラ機能が近いかもしれません。

最新機種は、自動手ブレ補正や、デジタル補正の処理が自動で行われたり、暗くても、遠くても鮮明に写すことができるでしょう。ですが、綺麗に写真を撮るだけであれば、数年前の機種でも十分に満足という方も多いはずです。

トヨタ ヴェルファイア▲トヨタ 2代目ヴェルファイアの後期型では第2世代の「Toyota Safety Sense」が全車標準装備になった他、ブラインドスポットモニターやリアクロストラフィックアラートも設定されている

また、言わずもがなですが中古車は新車に比べて購入価格を抑えられるのがメリット。

つまり少し古いモデルの中でも、より上級の安全装備を装着している車を購入する、という選択肢だって叶えられるのです。

トヨタ ヴェルファイア▲それぞれ旧型にあたるトヨタ アルファード(3代目)とヴェルファイア(2代目)。ともに十分な安全装備を備えている
文/西村泰宏、写真/尾形和美、ボルボ、トヨタ
西村泰宏(にしむらやすひろ)

リクルート自動車総研所長

西村泰宏

カーセンサー統括編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事している。