トヨタ 86▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム

推しキャラと同じ車でアニメの世界観を楽しむ

車漫画の金字塔『頭文字D』の後継作となる漫画『MFゴースト』が、2023年にアニメ化されると発表された。

その話を耳にして、取材で出会ったホンダ シビック(EG6)に乗る若い女性のことを思い出した。というのも、『頭文字D』のアニメ版を見て25年以上前に生産終了したEG6を購入した、という経緯に驚いたからだ。

それまで車に興味はなかったが、アニメに登場する推しキャラと同じ車に乗って世界観を楽しみたいと、免許を取得しEG6を手に入れたそうだ。
 

リクルート自動車総研グラフ

表①をご覧いただこう。過去に車の購入経験、または購入検討経験がある人を対象に行ったアンケートで、車を購入しようと思い立ったきっかけをランキング化したものだ。

これまでの愛車に対する不満が上位を占める中、4位に「乗りたいと思う車ができた」が入っていることに注目。そう回答した人の中には、EG6を購入した女性のように、アニメや漫画がきっかけだったという人も含まれると考えて良いだろう。

さらに、「乗りたいと思う車ができた」と答えた人の割合を世代別に見たところ、20代が最も割合としては多くなっている(グラフ①)。

近ごろは、インターネットの動画配信サービスが浸透したこともあって、新作やオリジナル作品はもちろんのこと、古い漫画でもアニメ化されていれば気軽に視聴できる環境が整ってきた。

若い世代がアニメと接触しやすくなった分、作品を通じて乗りたいと思う車と出会っている人が増えているのかもしれない。

『MFゴースト』には、主人公が乗る初代トヨタ 86をはじめ、日産 GT-Rやポルシェ ケイマンなど魅力的なモデルが数多く登場する。『頭文字D』で主人公が乗った“ハチロク”ことAE86が爆発的な人気を博したことを考えると、『MFゴースト』のアニメ化で初代86の中古車相場が上がる可能性は否定できない。

車検だったり、古くなったり、車購入・買い替えのきっかけは人それぞれだが、アニメを見て手に入れた車なら愛着もひとしおのはず。

そう考えると、アニメきっかけの車との出会いは素敵なカーライフへの理想的な第一歩なのかもしれない。
 

推しキャラと世界観を楽しもう! 話題のアニメに登場した注目モデル3選

1:トヨタ 86(初代)
 

トヨタ 86 ▲『MFゴースト』の主人公が乗る初代86。近未来に設定された物語の世界観を知ると、がぜんMT車が欲しくなる。MT車の中古車が豊富に流通する今のうちに手に入れておこう!
 

2:スズキ ジムニー(JA11/JA12)
 

スズキ ジムニー ▲『シン・エヴァンゲリオン劇場版』には2サイクルエンジン搭載のSJ系とみられる古いジムニーが登場。SJ系の中古車は激レアだが、後継車のJA系はまだ手に入るぞ!
 

3:日産 ラシーン(初代)
 

日産 ラシーン ▲キャンプ好き女子高生たちのゆるやかな日常を描いた作品『ゆるキャン△』に、ラシーンらしき車が登場。ゆるめのSUVというラシーンのキャラが作品の世界観にピッタリ
 
文/編集部、写真/日刊カーセンサー、トヨタ、スズキ、日産