▲平成最初に開催された東京モーターショーのコンセプトカーが原点となって生まれたRAV4。平成という時代を象徴する車だ ▲平成最初に開催された東京モーターショーのコンセプトカーが原点となって生まれたRAV4。平成という時代を象徴する車だ

令和になっても人間の感覚はやっぱり重要だった

さーて、【平成メモリアル】企画もいよいよオーラス(死語)。

平成31年編でございます。

たった4ヵ月しかなかったし、ついこの間のことだけど、最後まではりきって(?)振り返りましょう。

4ヵ月の間にも、世間ではいろいろあったよね。

まずは吉田沙保里選手、イチロー選手の現役引退。

イチロー選手なんて選手生活28年ってことで、ついに平成終わるのか感ありました。

ジャニーズ「嵐」の活動休止宣言とか、まだ約2年も先なのに発表しちゃうとか、偉すぎる。

めでたい話題では、探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンに成功。

え、それってそんなに凄いことなの? と思う人もいるでしょうが、地球から3億km以上も離れた星に着陸しちゃうんだからね。

難易度の高さは月どころの騒ぎじゃありません。

超離れ業(文字どおり)コンピューターによる完全自律制御なのかと思ったら、人間の目でも判断しているらしいよ。

エコ性能と安全性能が車の大事な評価軸に

▲新型車が続々と現れる一方で、去りゆくモデルも……。こちらは今年で国内の販売を終了し、37年の歴史に幕を下ろすことになった三菱 パジェロ▲新型車が続々と現れる一方で、去りゆくモデルも……。こちらは今年で国内の販売を終了し、37年の歴史に幕を下ろすことになった三菱 パジェロ

2024年から発行される新紙幣に、渋沢栄一氏が選ばれたのも、ちょっとしたニュース。

1900年代初頭の国産自動車黎明期に大きく貢献した人物なのです。

自動車の歴史を振り返ってきた、この企画。思えば、平成に入ってから自動車はもの凄い進歩を遂げました。

技術的にはエコ化と安全装備の進化が凄かった。エコ化については、言うまでもなくプリウスの功績が大きいところ。

ハイブリッドがこんなに普及するなんて、プリウス以前は誰も思ってなかったもんね。

安全装備は平成元年当時、ほとんどの車で運転席エアバッグすら標準装備されていませんでした。それが今や衝突被害軽減ブレーキが当たり前の時代、自動自律運転だって、もうちょっとと言うところ(?)。

これからの時代、安全じゃない乗り物なんて淘汰されていくに違いないから、これは大いなる進化です。

オンリーワンな存在感は変わらず「三菱 デリカD:5(初代)」

▲内外装の大胆なイメージチェンジを受けた三菱 デリカD:5。ミニバン+SUVというコンセプトは唯一無二!▲内外装の大胆なイメージチェンジを受けた三菱 デリカD:5。ミニバン+SUVというコンセプトは唯一無二!

平成31年になってからというもの、自動車メーカーも「どうせなら令和デビューにしようぜ」っていったのかどうか知りませんが、新型車の登場はちょっと控えめでした。

そんな状況の中、あえて市場投入された「平成駆け込み組」がこちら。

当企画ラストとなる今回は順位を付けずに、登場順に紹介しますね。

まずは三菱 デリカD:5。

デビューから12年にして初めて内外装のデザインが大きく変わりました(マイチェンはたくさんありました)。

フロントデザインのコンセプトは、ガ○ダム世代に響きそうな「ダイナミックシールド」。

つい手を掲げながら叫びたくなっちゃうネーミングですね、ターゲット層はもっと若いんでしょうけど。

実はこのデリカD:5、フロントのデザインや先進装備は大きく変わったけれど、シャシーは従来のものを踏襲しているので、マイナーチェンジなんです。

12年も経ってるのにフルモデルチェンジしないの?と思うかもしれませんが、そもそもD:5のカテゴリーは国産だけでなく輸入車を含めてもライバル不在で変える必要ナシ。

最初のコンセプトって大事なんですね。

熟成の域に達した軽トールワゴン兄弟「日産 デイズ(2代目)&三菱 ekワゴン(4代目)」

▲モータージャーナリスト界隈からもすこぶる評判のいい、日産 デイズ。三菱 ekワゴンの兄弟車だ▲モータージャーナリスト界隈からもすこぶる評判のいい、日産 デイズ。三菱 ekワゴンの兄弟車だ

続いての登場が日産の2代目デイズ&三菱4代目ekワゴン。

ご存知、大人気の軽トールワゴンです。

市場規模では近年、N-BOXやスペーシアなどの軽スーパーハイトワゴンに押され気味だけど、いや、コレが乗るといいのよ、トールワゴン。

乗り味やハンドリングなんて、ちょっと前のコンパクトセダンに匹敵するものだし、エンジンをモーターでちょこっとだけアシストする「スマートシンプルハイブリッド」のフィーリングもいい。

軽自動車なのに運転支援技術「プロパイロット(三菱の呼称ではマイパイロット)」が付いちゃうなんて、時代の変化を感じさせますな。

平成大ブームを巻き起こした名車の最新モデル「トヨタ RAV4(5代目)」

▲ボディサイズもかつてのハイラックスサーフ以上に大きくなった5代目RAV4。「ダイナミックトルクベクタリングAWD」など先進装備も満載▲ボディサイズもかつてのハイラックスサーフ以上に大きくなった5代目RAV4。「ダイナミックトルクベクタリングAWD」など先進装備も満載

「平成駆け込み組」の中でもホントに最後の最後、4月に亀山努ばりのスライディングで滑り込んできたのがトヨタの5代目RAV4。

海外では継続されてきたけど、日本で4代目は販売されなかったから、約2年8ヵ月のブランクを経て国内市場再投入となりました。

平成のコンパクトSUVブームを作ったRAV4が、立派になって帰ってきたナ! という印象。

ボディサイズもそうだけど、パワートレインも2.5L直噴ガソリン+8速ATとか、2.5Lハイブリッドとか、かなり成長してました。

RAV4といえば、そのルーツは平成元年の東京モーターショーに登場したコンセプトカー「RAV-FOUR」。

それまで四駆といえばランクルのような重量級、ヘビーデューティが当たり前だった時代に、コンパクトで軽快に乗れるマルチパーパスカー……というコンセプトを打ち出したのが斬新でした。

実際に初代RAV4が登場したのは5年後だったけど、先見の明あり、というところですね。

さてさて、31回にわたって(!)、平成時代に生まれた車たちを振り返ってきた当企画。

31年の間に新しい車種、新しいカテゴリーもたくさん登場しましたが、逆に消えていった車たちも……。

そんなモデルこそ、実は車好きにとっての名車だったりしますよね。

いつの時代に生まれたモデルでも自由に選べるのは、中古車ならではのメリット。

時代は令和になりましたが、これからも平成生まれの名車ライフを楽しんじゃいましょー。
 

文/田端邦彦、写真/トヨタ、三菱、日産

田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。