▲北米市場を強く意識して開発された12代目スカイライン。名前やブランドを変えてグローバル展開するのは、もはや当然になっていた ▲北米市場を強く意識して開発された12代目スカイライン。名前やブランドを変えてグローバル展開するのは、もはや当然になっていた

イナバウアーにハンカチ王子、スポーツも盛り上がった

平成18年、皆さんは何してました?

私は当時、会社を辞めてフリーランスになったばかりの頃。

最初は解放感にヤッホー! ってなったけど、仕事が全然なくてスケボーばっかりやってたなー。

今となってはいい思い出です。

さて、2006年頃の日本といえば景気が上昇ムードに入ったところ。

トリノ五輪でフィギュアスケート女子の荒川静香選手が大活躍し、イナバウアーが大流行しました。

学校でのけ反ってた小学生の皆さんも、今ではすっかり大人になっていることでしょう。

夏の甲子園ではハンカチ王子こと斎藤佑樹投手が活躍し、お茶の間で大人気に。

おー「お茶の間」自体が死後かぁ。時の流れるのは早いネ。

「欧米かっ!!」も2006年の流行語。

あれからしばらくの間、「シートサイズが欧米化」とかいうワードを使いにくくなっちゃったっけ。

フザケてんのかと思われちゃうからね。

車のカテゴリーそのものが変わりつつあった平成18年

▲道路交通法の改正が行われ、駐車違反の取り締まりが民間委託になったのも、この年から▲道路交通法の改正が行われ、駐車違反の取り締まりが民間委託になったのも、この年から

車関係の話題では、ご当地ナンバー制度がスタート。

最初に全国17地域で交付が始まったけど、いまだにその存在意義がよく分かってないのは私だけ?

当時、車自体の流行も大きく変わりつつあって、かつて一時代を築いたセリカやインテグラなどの2ドアクーペが相次いで生産終了。

一方でセダンは前年にレクサスが国内デビューしたこともあって、人気がちょっとだけ再燃。

ミニバンやSUV人気は相変わらず続いていました。

2人掛けにも3人掛けにもなる魔法のシートを採用「マツダ MPV」

▲全幅1800mmオーバーと当時の国産ミニバンとしては最大級のサイズだったMPV。その分、車内空間も余裕タップリ▲全幅1800mmオーバーと当時の国産ミニバンとしては最大級のサイズだったMPV。その分、車内空間も余裕タップリ

そんな平成18年に登場した車の中でも、印象に乗っているのが3代目MPV。

従来のミニバンとは明らかに違うシャープな意匠のボディに、3列8人掛けのパッケージを実現したド偉いモデルです。

マツダは今のデザイン手法を導入してから大人気になったけど、個人的にはこの頃のマツダも嫌いじゃないんだよな。むしろ好き!

しかもKARAKURIシート。

キャプテン式・2座になっている2列目シートが前後だけでなく、なんと左右にもスライドし、くっつけて3人掛けのベンチにすることもできちゃう。

これはミニバンとして、もはや完成形でしょ……と思ってたら、2012年の保安基準改正で全席3点シートベルト装備が義務づけられ、8人乗りから7人乗りになっちゃった。

KARAKURIシートの利点がなくなってしまったため……かどうかは分からないけど、MPVはこの3代目で終了。

いや、でも今見てもMPVは上出来な車だったよ。

ということで、平成18年生まれカーの私的トップ3、第3位とします。

コンパクト・クロスオーバーSUVの先駆者「スズキ SX4」

▲腰高フォルムのコンパクトハッチというSX4のスタイルは、それまでありそうでなかった斬新なもの▲腰高フォルムのコンパクトハッチというSX4のスタイルは、それまでありそうでなかった斬新なもの

初代SX4って、あの有名なイタルデザインが基本デザインを共同開発した車って知ってた?

開発当時、同じGMグループの提携下にあったフィアットからセディチという姉妹車を出した関係ね。

それにしてもジウジアーロさん、一体どんだけ働くのよ、って感じ。

まあ、もちろんご本人じゃないでしょうけど。

「コンパクト・クロスオーバー」という新たなカテゴリーを作り出したのが、このSX4。

スイフトとプラットフォームを共有しながら、ボディサイズをどんとアップ。

剛性もアップして、SUVっぽく仕立てられてます。

個人的に評価したいのは、電子制御トルクスプリット式の4WDに、ちゃんとロック機構が付いている点。

さすがジムニー、エスクードを作ったスズキ、という感じだよね。

平成18年生まれの第2位はSX4に決定!

伝統あるブランドの威厳を取り戻した「日産 12代目スカイライン」

▲有機的なボディラインが特徴のV36型スカイライン。セダンもクーペもカッコいい!▲有機的なボディラインが特徴のV36型スカイライン。セダンもクーペもカッコいい!

レクサス人気に押され気味だった12代目V36型スカイラインだけど、そんなレクサス派の人も一回乗ってみ!

すんごい良いから。

日本での注目度は今ひとつでも、北米市場でスカイラインは相変わらずの大人気で、開発費もたっぷりかけられたモデル。

プラットフォームも2.5L V6、3.5L V6エンジンも全部新開発で、車全体としての完成度がすごく高いんです。

特に7速ATが搭載されてからの走りは感動もの。

インテリアは高級感だけじゃなくスポーツ感もちゃんとあったりして、ワタクシ好みなんだよなー。

ヨーロッパやアメリカではインフィニティ・ブランドで販売された車だから、クオリティが高いのも当然。欧米かっ!!

ところで、このV36型、デビューの翌年に「GT-R」が単独車種として登場。

それを前提として開発されたからこそ、グランドツーリングカーとして割り切った性格にできたのですな。

個人的には圧勝の、平成18年生まれベストワンでございます。


平成18年ともなると、現行車種に比べても全く遜色ない出来映えの車ばかり。

中古車としては今こそ脂がのった買い求め時!

文/田端邦彦、写真/日産、マツダ、スズキ、photo AC

田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。