▲2012年にデュポン社が調べた世界自動車人気色調査報告書では、人気1位は「ホワイト」で、「ブラック」、「シルバー」と続いた ▲2012年にデュポン社が調べた世界自動車人気色調査報告書では、人気1位は「ホワイト」で、「ブラック」、「シルバー」と続いた

赤い車はスピード違反で捕まりがち?

中古車選びで悩ましいのがボディカラー。新車と違いその1台しか存在しないため、他の条件がピッタリでも「どうしても色に満足できない」と、泣く泣く諦めた経験がある人もいるのではないだろうか。

このボディカラーへのこだわり、心理学的にみるとなかなか興味深いことが分かる。心理学者の内藤誼人先生によると「赤が好きなあなたは、スピード違反で捕まるかもしれませんよ」とのこと。いったい、どうしてなの?

「ミズーリ大学で行われた調査では、スピード違反で捕まる車のボディカラーは赤がダントツで多かったという結果があります。色彩心理学的には、赤は人を興奮させる色。人は視覚動物なので、目から入った情報は心に影響を与えます。車に乗り込むときに赤を見ることで、ついスピードを出しすぎるということでしょう。ちなみに、赤を好む人は粗暴な性格である確率が高いという研究結果もあります」

▲赤には目を引き関心を集める効果も。確かにパトランプやブレーキランプも目を引く ▲赤には目を引き関心を集める効果も。確かにパトランプやブレーキランプも目を引く

心に問題を抱えている人が好む色は深緑?

一方、気持ちを抑えてくれるのは青色だという。青は心を静めて落ち着かせる色といわれており、集中力も高めてくれるといわれている。また、緑にもリラックスや癒やし効果があるとのこと。

「ただし、深緑が好きな人はちょっと注意が必要かもしれません。クレヨンで絵を描かせて、どの色を多用するかで心理を見極める実験を行ったところ、深緑や紫を選ぶ人は心に問題を抱えている割合が高かったんです。逆に、心が健康な人は水色を選ぶ割合が高いといわれています」

なるほど。だったら車は青系がいいかな~。と思いきや、一般的に寒色系の車は事故率が高いともいわれている。色には進出色、後退色という視覚効果があり、寒色系は暖色系に比べると後退して見えるといわれている。簡単に言うと、車間距離が実際よりも遠く見えるということだ。もちろん、これがすべての理由ではないが、一説として語られることも多い。

▲寒色系である青は集中力を高める効果があり、青い部屋にいると時間の経過が遅く感じるといった実験結果もある ▲寒色系である青は集中力を高める効果があり、青い部屋にいると時間の経過が遅く感じるといった実験結果もある

では、現実的にリセールバリューという観点で考えてみると、やっぱり売れ筋である白や黒が高価買い取りにつながりやすい。一方で、人気が低い原色系は買取価格が厳しくなるケースもある。

結局、心理学や事故率、リセールバリューと考え出すとキリがないので、せっかくの愛車なのだから、お気に入りのボディカラーにこだわることをオススメしたい。

【取材協力(敬称略)】
内藤誼人(ないとう・よしひと):心理学者、アンギルド代表、立正大学客員教授。心理学を応用した実践的なノウハウに着目した著書多数。近著に『同性にモテる技術』 (中公新書ラクレ)、『人はなぜ、「そっち」を選んでしまうのか』(青春出版社)など

text/コージー林田 photo/PIXTA