▲写真は2013年のCEATECに出展した自動運転車を試乗するカルロス・ゴーンCEO ▲写真は2013年のCEATECに出展した自動運転車を試乗するカルロス・ゴーンCEO

カルロス・ゴーンの報酬で牛丼300万杯食べられます

今年も日産の株主総会で、カルロス・ゴーンCEO(最高経営責任者)の役員報酬が話題になりました。平成26年3月期の連結業績は増収増益で、過去最高のグローバル販売を達成しているだけに、「今年こそ10億達成か」との声もありましたが、微妙に足らない“9億9500万円”(ゴーン氏はルノーからも報酬を得てますし、日産の株式配当などもありますが、これは日産からの報酬のみ)。

私が本気で当てにしているサマージャンボ宝くじ1等・前後賞合わせての6億円なんて目じゃありません。ベタな比較で恐縮ですが、吉野家の牛丼並盛り(300円)なら約331万杯食べられます。ざっくりですが、茨城県民全員にゴチれる計算です。

分かりづらい? じゃあ、日産車で計算すると、234万2800円(国の補助金53万円を含む)の「リーフ Sグレード」なら約424台、930万9600円の「GT-R Pure edition」なら約106台も買えてしまいます。

ちなみに、ゴーン氏は株主の「報酬をもらいすぎではないか?」という質問に対して、「日産自動車はグローバル企業。海外のCEOと比べれば高いわけではない」と回答したとか。

マジ? 海外の自動車メーカーのCEOってそんなにもらってるの? ちょっと調べて見ると、アメリカの経済・金融情報の通信社、ブルームバーグ社が、2013年度の自動車メーカーCEOの報酬を掲載していました。

世界的にみると、カルロス・ゴーンの報酬は適正?

ブルームバークの記事によると、フォードのアラン・ムラーリーCEOは、約2300万ドル(約23億46000万円)。GMのカーギャル、メアリー・バーラCEOは、約1440万ドル(約14億6880万円)。欧州勢では、フォルクスワーゲングループのマルティン・ヴィンターコルンCEOは、約2000万ドル(約20億4000万円)だったとか。確かに、この面子に入ると、ゴーン氏の9億9500万円にも納得がいくような気がします。

さて、こうなると、あのお方の報酬も気になりますよね。2013年の世界販売台数1000万台突破。世界一の自動車メーカー、トヨタの豊田章男社長です。トヨタの純利益は約1兆8000億円。約1兆3000万円の純利益であるフォルクスワーゲングループのヴィンターコルンCEOが、約20億4000万円と考えると、まさかの30億円??

▲豊田章男氏は、曽祖父にトヨタグループ創始者の豊田佐吉、祖父にトヨタ自動車創業者の豊田喜一郎、そして父にトヨタ自動車初代社長で現名誉会長の豊田章一郎をもつ ▲豊田章男氏は、曽祖父にトヨタグループ創始者の豊田佐吉、祖父にトヨタ自動車創業者の豊田喜一郎、そして父にトヨタ自動車初代社長で現名誉会長の豊田章一郎をもつ

って、あおってすみません。結論からいうと、2億3000万円でした。なんて、コストパフォーマンスがいいのでしょうか。世界の主要自動車メーカーのなかでは、ダントツです。コストパフォーマンスの話をすると、純利益約2800億円のフィアット・クライスラーを率いるセルジオ・マルキオンネCEOの報酬は、約31億2000万円だとか。

ちなみに、ゴーン氏はタイヤメーカー・ミシュラン、マルキオンネ氏は化学・バイオ企業のCEOを務めているときに、経営再建のために入社しています。この報酬の差、外部から優れた経営者を招くために巨額報酬を用意する国際的企業と、サラリーマン社長が多い日本企業の違いなのかもしれませんね。

text/コージー林田