ホンダは栃木県警察や一般社団法人UTMS協会と連携し、栃木県宇都宮市で信号情報活用運転支援システムの公道実証実験を開始した。実用化に向け、システム全体の機能および効果を、公道実走により検証していく。

信号情報活用運転支援システムは、信号のある交差点での円滑な運転を支援するもの。

信号からの情報を車が受け取ることにより、走行中、直近の交差点を青信号で通過できる場合には、推奨速度が車両のディスプレイに表示され、赤信号のタイミングに重なる場合は、ディスプレイにアクセルOFFを促す表示がされる。また信号待ちでの停止中には、赤信号の残り時間が表示され、発進の遅れを防止するなどといったことが可能となる。

このシステムで、信号交差点を通過する際に不必要な加減速が減少し、交差点事故の未然防止や、実用燃費の改善が期待できる。ホンダでは宇都宮市近郊の5路線を実験路線とし、約100台を対象にシステムに対応する車載機を搭載。およそ1年をかけて、安全に関わる急減速や急加速などの車両挙動の変化、CO2低減や燃費改善効果、交通流への影響を検証する。

現状、新交通管理システム(UTMS)に関する研究はアウディがリードしており、2008年には信号機と通信を行う「Travolution」という技術を発表。今年1月に米ラスベガスで開催された国際家電見本市(CES 2014)でも進化版の「Traffic Light Assist」を搭載したデモカーを公開した。すでに全ての市販車に搭載可能な実用段階に到達しているという。

国内メーカーではトヨタが昨年5月より、愛知県豊田市で公道走行実験を開始。日本では警察の協力のもとで実験が行われているということもあり、CO2排出量の低減など環境面への効果より、信号見落としを抑制する安全面の効果に重きが置かれている印象だ。

環境技術や安全技術など自動車のハード面が年々進化していく中で、これまで国内ではなかなか研究や開発が進んでこなかったソフト面。信号の設置場所やタイミング、道路の形状など、事故や渋滞の減少に向けてまだまだ進化する余地はありそうだ。

ホンダは従業員の通勤車両など約100台に車載器を搭載して実験を実施。検証結果をさらなる研究開発に活かし、商品化を目指す

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アウディの「Traffic Light Assist」はアイドリングストップ機構とも連動。信号が青に変わる5秒前に、自動的にエンジンを掛ける

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