日本でも大きく取り上げられたデトロイト市の破産。GMやフォードが居を構え、自動車大国アメリカを象徴する聖地の衰退に驚いた人は多いだろう。また、車好きの人は、今年の北米国際オートショー、俗に言う「デトロイトモーターショー」の行方に気をもんでいるかもしれない。

デトロイトモーターショーに関しては、早々に、北米国際オートショー代表、ロッド・アルバーツ氏からメッセージが発せられた。いわく「デトロイト市の連邦破産法9 条の適用はしばらく前から予期されていたことであり、北米国際オートショー(デトロイトモーターショー)の運営や資金には影響はない」とのこと。

加えて、「ここ十年来の市の状況を考えると、財政破綻の申請は良い決断であり、長年積み上げられた市の負債から解放されることによって、デトロイト市の復活に向けて新たな一歩が踏み出せるよい機会である」と、デトロイト市のデイブ・ビング市長とミシガン州のリック・スナイダー知事の判断に理解を示した。

実は、デトロイト市の人口は、自動車産業が最も盛んだった1950年の185万人をピークに、去年12月時点では68万人まで減少している。加えて、主産業だった自動車工場の多くはデトロイトを去った。当然、税収は減り、行政サービスの質も低下の一途を辿っている。そこで、公務員の年金や社会保障・負債の支払いといったレガシーコストの削減を試みたが交渉は難航。結果、今回の裁判所の管理下による再建へとつながった。

今回の破産を正式に表現すると、“米連邦破産法9条の適用申請”となる。地方自治体などの債務整理手続きについて定めた条項で、日本の民事再生法に近い。この破産により、ロッド・アルバーツ氏の言葉を借りると「長年積み上げられた市の負債」、いわゆるレガシーコストが大胆に削減されるとみられている。

自動車の歴史に確固たる足跡を刻み一時代を気づいた「モータウン」の復活に期待したい。

前回のデトロイトモーターショーの公式ホームページ。来年は2014年1月18日(土)~26日(日)に一般公開される

前回のデトロイトモーターショーの公式ホームページ。来年は2014年1月18日(土)~26日(日)に一般公開される

ロッド・アルバーツ氏から発せられたメッセージ。経済波及効果にも触れられており、その額は3億5千万ドル(約350億円)にものぼるとか

ロッド・アルバーツ氏から発せられたメッセージ。経済波及効果にも触れられており、その額は3億5千万ドル(約350億円)にものぼるとか