日産 スカイラインGT-R▲純正? と思ってしまうほど自然なボディラインでワイドフェンダー化されたGARAGE ACTIVEのGT-R

全身カーボン化した32GT-R

2020年1月10日~12日まで千葉県にある幕張メッセ行われていたチューニングカーの祭典『東京オートサロン2020』。展示車両の中で「あっ!」と驚くようなカスタムが施された車両にフォーカスしレポートする。

R32スカイラインGT-Rの魅力といえば、ツインターボ過給による強大なパワーをアテーサE-TSで路面に伝える、豪快かつ精密な走りだろう。

だが、GARAGE ACTIVEが今回、東京オートサロン2020用に製作した車両は、かなり方向性が異なる。

出展車には、同社のカーボン製ワイドボディキットが装着されていた。

片側約40mmワイドとしながら、純正のボディラインに限りなく近づけた見事なスタイリングだ。

ボディを覆うほぼすべてのパネルをカーボン化、リアシートの撤去、その他のカスタマイズによってノーマル比100kg近くもの軽量化を果たしている点にも注目されたい。

ノーマルもアルミ製ボディパーツの採用などによって軽量化に配慮されているが、それでもスポーツカーとしては少々重め。

数少ないR32のウイークポイントを払拭した、それだけで十分価値がある。
 

日産 スカイラインGT-R▲ワイド&ローなスタイル、深リムのホイールなど、スタイリングは「大人のツーリングカー」らしい上品さ
日産 スカイラインGT-R▲ボディパネルはカーボンのテキスタイルが透けて見えるよう、絶妙な濃さで塗装
日産 スカイラインGT-R▲ラジエターのステーなど、細かな部分も実はオリジナルのドライカーボン製

爽快な走りと痛快なサウンド

だが、もちろん「それだけ」ではない。

今回の車両では3100ccへと排気量アップし、チューニングを施したRB30型NAエンジンをパワーユニットとして据え、さらにFR化しているのである。

RB30型は日産が海外市場向けに用意していたエンジン。

ターボ仕様も存在したが、GARAGE ACTIVEではあえてNAのままとした。

その心は……。

「これまでパワーを追求したり、速く走ったりするための車は散々手がけてきました。そこで今回は趣向を変え、気持ち良く走れることを最優先にしたのです」そのためのNA化&FR化、軽量化というわけだ。

NAエンジンとは言っても、排気量アップやオリジナルスロットルボディの装着などにより、340psという出力を発生させる。
 

日産 スカイラインGT-R▲3100ccへと排気量アップされたNA直6 RB30エンジンを搭載。オリジナルのエキマニも美しい
日産 スカイラインGT-R▲スロットルボディはワンオフで製作。機能だけでなくルックスにもこだわった

ただ、今回追い求めたのは絶対的なパワーではなく、レスポンスの良さと吹け上がりの音。

T-DEMANDと共同開発したエアサスについても、走りの気持ち良さを重視したセッティングとなっている。

ノーマルには決してない軽快な走りと痛快なエンジンサウンドこそ、このデモカーに与えられたキャラクターだ。
 

日産 スカイラインGT-R▲T-DEMANDと共同開発したエアサスは、なんとスマホから操作可能!

……と、このデモカー、実はさらに続きがある。

スタイリングや走りにこだわった実用的な仕様であるだけでなく、「見せる」ショーカーとしても秀逸なのだ。

バッテリーはリアに移設、ハーネスやブレーキラインなどはバルクヘッドの裏側やバンパーレインフォースの中などに通し、エンジンルームの中を覗いても見えないように細工されている。

これはアメリカのカーショーなどではお馴染みの、ワイヤータックという技法。

さらにノーマルではフェンダー・インナー側の形状が左右で異なり、美しくないために鋼板をカットして作り替える、パテ盛りはできるだけ使わずに鈑金溶接で仕上げる、というコダワリようだ。
 

日産 スカイラインGT-R▲配線を隠しすっきりとしたエンジンルーム。左右対称のフェンダーも美しい

GARAGE ACTIVEいわく、「外装、足回り、内装、音、チューニングカーにできることすべてを注ぎ込み、一切の妥協を許さずに仕上げた」とのこと。

GT-Rプロショップとしての懐深さを見た!
 

日産 スカイラインGT-R▲ノーマルの溶接跡を削って均されたタワー部分など、ショーカーとしての見た目にこだわった部分を挙げるとキリがない

- 車両スペック -
■エンジン系
型式:RB30改NA FULL TUNE
排気量:3100cc
出力:340 ps(250.1 kW)

■排気系
マフラー:ACTIVE
EXマニホールド:ACTIVE

■伝動系
クラッチ:ATS
デフ:ATS

■外装関係
エアロキット名:ACTIVE FULL CARBON WIDE BODY KIT
ボディカラー: ACTIVE CARBON RED
ドレスアップ内容&使用パーツ:ONEOFErollcage アクティブボディ補強キット

■内装関係
ステアリング:ACTIVE

■サスペンション
サスキット名:ACTIVE AIR SUS KIT
ショック:ACTIVE
スプリング:Swift+AirLIFT-CUP
ブレーキ:ACTIVE4POT&4POT

■ホイール
ホイールメーカー・名称:WORK SEEKER
サイズ(F):11.5
サイズ(R):11.5

■タイヤ
タイヤメーカー・名称:TOYO TIRE PROXES
サイズ(F):295/30-18
サイズ(R):295/30-18
 

文/田端邦彦、写真/稲葉 真

田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。