アイルトン・セナの走りがメディア芸術祭の大賞に
カテゴリー: レース&イベント
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2014/01/08
アイルトン・セナの走りが甦った! 2013年夏にこんなニュースを目にした人も多いだろう。これはホンダが所有する1989年F1日本グランプリ予選で鈴鹿サーキットの世界最速ラップを記録したときの走行データをもとに、音と光でセナの走りを再現したもの。この映像公開のニュースは瞬く間に世界中を駆け巡り、多くのファンを魅了した。
今回、「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」と題されたこのムービーや3DCG体験コンテンツが第17回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門大賞を受賞。メディア芸術祭エンターテインメント部門応募669作品の頂点に輝いた。
当時、圧倒的な強さを見せたマクラーレン・ホンダ。1988年にはアラン・プロストとアイルトン・セナの両ドライバーで16戦15勝という前代未聞の記録を樹立。驚異的な強さの裏にはエンジンやアクセルの緻密な動きをピットで記録・解析する「テレメトリーシステム」の存在があった。データは即座に日本とイギリスにFAXで送られ、翌日までに問題解決できるようにしていたという。このデータが現在も残っていて、セナの走りを再現することができたのだ。
ビデオゲーム「パックマン」制作者として有名な審査委員の岩谷徹氏(ゲームクリエイター/東京工芸大学教授)は授賞理由として「サンプリングとチューニングされたエンジン音を聞くだけで、鑑賞者の脳の奥に仕舞われていたはずの思い出深い空間データが見事に引き出され、映像として脳裏によみがえり始める。しっかりとした基礎データは、時間によって鮮度が落ちることが無く、またメディアの変遷にも左右されずに、表現され続けていく源に成り得ることが、この作品で示されたのではないだろうか」とコメントしている。
文化庁メディア芸術祭のホームページにはこの作品に関わったスタッフのプロフィールが掲載されているが、驚いたのはほとんどのスタッフが1980年代生まれであること。ホンダF1黄金時代である第二期(1983年~1992年)をリアルに体験していないであろう世代が作品を生み出しているのは、セナの走りが時間を超えていまだに多くの人を魅了し続けている証でもある。
「Sound of Honda/Ayrton Senna 1989」は現在でもインターナビのWebサイト「dots by internavi」内で公開されている。音と光で表現された映像から、マクラーレン・ホンダMP4/5を操るセナの姿を思い出してみよう。
- dots by internavi(ホンダ)
- 第17回文化庁メディア芸術祭(文化庁)