6月23日にゴールを迎えた第81回ル・マン24時間。ハイブリッド車で参戦したトヨタが自身の過去最高成績タイの2位に輝き、うれしい結果となった。ハイブリッド車が表彰台とは、オールドファンにとっては隔世の感だろうが、来年はさらに新たなル・マンが見られるかもしれない。

日産は2014年のル・マン参戦に向けて、「Nissan ZEOD RC (Zero Emission On Demand Racing Car)」の技術テストを開始すると発表した。「リーフ」のリチウムイオンバッテリー技術を活用した時速300km以上のスピードを誇る世界最速の電力駆動レーシングカーとなる。

電気自動車にそんなスピードが出せるの? と思う人もいるかもしれないが、慶應義塾大学が中心となって開発した電気自動車「エリーカ」は、最高速度370km/hを記録している。また、その技術を応用した試作車「シム・セル」は市販化に向けて動いており、「人とくるまのテクノロジー展 2013」でも展示された。

話を「Nissan ZEOD RC」に戻そう。ル・マンへの参戦は、革新的で新しい技術を搭載した車両のための「ガレージ56」枠から始め、将来的にはLMP1(ル・マン・プロトタイプ1)クラス参戦に向けて進めていくとのこと。

「Nissan ZEOD RC」の設計者であるベン・ボウルビー氏は、「これまで電気自動車の技術開発において学んできたことを新しいレーシングカーの開発に生かしたいと考えています。開発チームはパッケージングと空力性能の開発にも注力してきました。これらは極めて高い走行性能を実現するだけでなく、高いエネルギー効率をも実現します」とコメントしている。

2011年、日産は「リーフ」をレース仕様に仕立てた「リーフ ニスモRC」を発表したが、将来的には「Nissan ZEOD RC」の技術を応用した市販用のスーパースポーツEVが登場なんて話も夢ではないかもしれない。

「Nissan ZEOD RC」のテスト走行は今夏を予定している。専用タイヤに関してはミシュランとパートナーシップを結ぶ予定

「Nissan ZEOD RC」のテスト走行は今夏を予定している。専用タイヤに関してはミシュランとパートナーシップを結ぶ予定

設計者であるベン・ボウルビー氏は「この車の開発が将来のレースカーの電気化における重要な一歩となると確信している」とのこと

設計者であるベン・ボウルビー氏は「この車の開発が将来のレースカーの電気化における重要な一歩となると確信している」とのこと