トヨタ ハイエースは家族の可能性を広げてくれる秘密基地だ! 機材車としても活躍するカスタムファミリーカー
2024/04/04
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
ハイエースとの出会いは久しぶりに行ったキャンプ
夫の北川アツトさんはプロのベーシストで、三児の父。妻の北川真理子さんはモンテッソーリ教育の専門家で、絵本作家でもある人。そしてもちろん真理子さんも三児の母だ。
そんな2人にとって2023年1月に購入したトヨタ ハイエースバンは、様々な意味で“理想の1台”だった。ミュージシャンの機材車としても、そして父として母として、愛しい3人の子共を育てるための“場”としても。
もともとはハイエースバンではなく、何らかのミニバンを買おうかと考えていた。
「独身時代はホンダのフィット シャトルでベースギターやベースアンプなどを運んでいて、結婚直前にジープ ラングラー アンリミテッドに乗り替えてからは、それに家族で6年ほど乗っていました。しかし2023年3月に第三子が生まれることが決まると、さすがにジープでは無理だろう――ということになりまして」
ラングラー アンリミテッドには2つのチャイルドシートを積んでいたが、それが「3つ」になると、真理子さんが座れるスペースが完全に消滅してしまうからだ。
そうして「次はミニバンかなぁ」と思っていた頃、友人家族とキャンプへ行くことになった。子供が生まれる前はキャンプを楽しんでいた2人だったが、子供ができてからは行けていなかった。久々のキャンプだった。
「で、そのときに車中泊ができる仕様のハイエースをレンタルして行ったのですが、それがもう本当に素晴らしく便利で、とっても素敵だったんですよね」
せっせとテントを設営する必要がなく、必要な荷物を車外にサッと出すだけでOK。そして夜になれば、車内でサッと寝ることができる。
「僕も『これは素晴らしいな……』と思ったのですが、僕以上に妻がハマったようで(笑)、『あっくん、絶対にハイエース買おう! お腹の子が生まれてくるまでに!』と言っていましたね」
ハイエースのカスタマイズを専門としている業者に問い合わせたが、今から車中泊仕様のハイエースを作るとなると「1年は待っていただくことになる」との返答。そこで「そんなには待てない!」ということで各地の専門店を2人で見て回り、結果として2023年1月、カスタマイズ済み新車の展示車を購入した。第三子の誕生に間に合った。
仕事も休日も楽しめるハイエース
そうして北川家にやってきた、四駆でディーゼルのハイエースバン。まずは「ベーシスト・北川アツト」氏に、その使い勝手を語ってもらおう。
「僕は様々なアーティストがツアーやレコーディングを行う際のサポートミュージシャンとして活動しているのですが、ツアーのときは自分でベースやアンプなどを運ぶ必要はなく、自身も新幹線などで移動します。しかしツアー前のリハーサルやレコーディングのときは、スタジオまで自分の車で機材を持っていく必要があるんです」
ジープ ラングラー アンリミテッドのときは、それがかなり大変だったという。なにせアツトさんはプロベーシスト・北川アツトであると同時に、「(当時)二児の父・北川淳人」でもある。そのためラングラーアンリミテッドの車内には2つのチャイルドシートや、子供のための様々なアイテムが常に積載されている。
「それらを全部降ろしたうえで何本ものエレキベースやベースアンプなどを積んで、そしてリハーサルや録音が終わると、翌日また2つのチャイルドシートをセットして……というのは、正直めっちゃ大変でした」
しかし機材車がハイエースバンに変わって以降は、わざわざチャイルドシートを降ろすことなく、数本のエレキベースやエフェクター類、ベースアンプなどをそのまま積載できる。何ならさらにコントラバス(大きなウッドベース)も、その上に載せることができる。
「ほんと、最高に便利な車ですよ。意外と小回りも利くし、意外と乗り心地も悪くない し。そして自分好みの仕様にカスタマイズされてますから、見た目の面でもけっこう気に入ってますしね」
プロベーシスト・北川アツトにとって、ハイエースバンはほぼ100点満点の車であるようだ。
ならば三児の父である北川淳人さんにとって、あるいは三児の母であり、子供の教育の専門家でもある北川真理子さんにとってのトヨタ ハイエースバンとは、いかなる存在なのか?
「いやもう素晴らしいですよね。ハイエースって、子育てをしている人間にとっては最高の車なんじゃないかと思っています」
ハイエースがあれば子供たちはのびのびと、その車内で時を過ごすことができる。いや「時を過ごす」というよりは「自分たちの秘密基地」として、あるいは「移動可能な自分たちの部屋」として、思う存分に自由でいられる。そして父も母も、自由すぎるほど自由にふるまう子供たちに対して――公共交通機関を使う場合と違い――ピリピリしないで済む。
「小さな子供複数と電車で移動するのって、やっぱり大変なんですよ。両手に荷物を持っていると手をつなぐこともできませんし、トイレだって大変です。でも車であればそのあたりの問題はほぼすべて解決されちゃいますので、本当にラクなんですよね。そして私たち親がラクなだけでなく子供たちも、ハイエースという“秘密基地”を存分に堪能してくれていますし」
走行中はもちろんチャイルドシートにしっかりと固定されている3人の子供たちだが、いざ安全な目的地に着いてしまえば、ハイエースの車内は彼らのプレイグラウンドと化す。大きなハイエースバンの中を右へ左へ、そして上を下へと動き回り、様々な遊びに興じる。
それに伴ってハイエースの車内にはキズが付いたりもするが、キズが付きにくい仕様、あるいは「付いたとしてもあまり気にならない仕様」へとカスタマイズされているため、親としてもそのあたりはへっちゃらだ。気にもならない。
「子供というのは、育てるものではなく“育つもの”だと思っています。子供って、自分で自分を育てる力を持っているんです。だから子供自身がやろうとしていることを阻害せずにいられれば、子供は自然と最大限の可能性を発揮してくれると、私は思っているんです」
そう語る真理子さんの横でうなずく夫の顔は、「北川淳人さん」にも「北川アツト」にも見えたが、それはどちらでもいい話だろう。
いずれにせよ北川家の人々の様々な可能性は、自然と広がっていくのだ。ハイエースバンという、1台の車を手に入れたことによって。
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トヨタ ハイエースバン(現行型)×全国北川さんのマイカーレビュー
トヨタ ハイエースバン(現行型)
●年間走行距離/1万km
●マイカーの好きなところ/仕事もファミリーでも使えるユーティリティ性
●マイカーの愛すべきダメなところ/最近は周りと被る。盗難が心配
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/人も荷物も載せる人
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。