下町の地元とアウトドアフィールドをつないでくれるトヨタ タコマ
2023/05/05
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
あえてツウ好みのFRを選択
雑誌の編集や執筆を手がける高梨さんが活躍しているフィールドは、アウトドアやアクティビティ系。仕事だけでなくプライベートでも、ダートトラックバイクや釣り、登山など、アウトドアで大いに遊ぶ。
さぞや子供の頃から自然に親しんできたのかと思いきや、生まれも育ちも東京のダウンタウンなのだという。
「東京で生まれたから外がいいんですよ。子供の頃はキャンプとかする家庭ではなかったので、泥遊びは大人になってからハマっていった感じです」
登山に惹かれたのも高校時代に映画『植村直己物語』を見て植村直己にあこがれ、植村直己の著書『青春を山に賭けて』を読んだのがきっかけだったというから、タフな体育会系のようでいて根っこは文化系だったりもする。
そんな高梨さんとアウトドアをつなぐ愛車は、トヨタが北米で販売するミドルサイズピックアップのタコマだ。
タコマの前はオレンジ色のD22型ダットサンピックアップだったというから、アメリカ西海岸スタイルが好みらしい。 ダットサンは気に入っていたものの、エンジンが非力なのが玉にキズで、昨年パワーに余裕のあるタコマに乗り替えた。
タコマには2ドアのレギュラーキャブと4ドアのダブルキャブもラインナップされるが、高梨さんはアクセスキャブを気に入って愛車に選んだ。
一見2ドアのように見える観音開きのドアをもち、高梨さんいわく「乗り心地は最悪(笑)」の簡易的なリアシートを備えたモデルだ。
そしてこれまたアメリカ西海岸で流行りの「プレランナー」という、バハ・カリフォルニアを一直線に駆け抜ける過酷なデザートレース「バハ1000」のプレラン、つまりテスト走行車両に倣った仕様となっている。
そんな仕様の駆動方式はFR。四駆じゃないんですか? と聞くと、「砂漠を走るレースはFR車両をベースにして作るんですよ。リア駆動だけでフロントを浮かせてアクセル全開で走るので。リアに重たいスペアタイヤ積んで、フロントを使わずに走る」と、さすがの造詣の深さを垣間見せながら教えてくれた。
遊び道具が満載できる荷台
ベッドと呼ばれる荷台には、オートバイや自転車、釣り具にキャンプ道具などが積み込まれ、毎日のように山へ海へと駆け回っている。使い倒すからこそ、「バイクを積んでもリアゲートが閉められるし、縦に2台積むこともできるから」と、ベッドサイズにはこだわり、荷台の長さが6フィートあるという、レアなロングベッド仕様を選んだ。
そのベッドはダートラ帰りには泥だらけになり、シーバス釣りに行けばウェーダーとともに海水まみれになるが、「雨で流れるか、積んだまま洗車場で流せばいい」と、その使い方はワイルドかつ合理的だ。
この日は旧知の仕事仲間であるカメラマン氏に「汚すぎるから!」と言われて渋々洗ってきたが、「気を使いすぎないで乗りたい」と、基本的には洗車もしないのがモットーなのだという。
悪路で頼りがいがあるゴツいマッドテレーンタイヤもまた、ワイルドなスタイルを大いに盛り上げる。しかし、ワイルドすぎて高速走行ではハンドルが激しくブレるそうで、「こないだ三重まで仕事で行ったときも、腕が筋肉痛になるんじゃないかってくらい」と、これまたワイルドに笑い飛ばした。
十分すぎるほどにたくさんのアクティビティを楽しんできた高梨さんに、これ以上この車でしてみたいことなんてありますか? と問うと、「北海道に自転車と釣り具とキャンプ道具積んで行って、自転車乗りながらキャンプしながら釣りしながら、適当に山登りながらトリップしたいなとは思いますね」とすぐに答えが返ってきた。
6フィートのロングベッドには、でっかい夢がいくらでも積めそうだ。
▼検索条件
米国トヨタ タコマ(2代目) × 全国島崎さんのマイカーレビュー
米国トヨタ タコマ
●年式/2011年
●年間走行距離/3万km
●マイカーの好きなところ/力強いエンジンとアクセスキャブ
●マイカーの愛すべきダメなところ/タイヤがワイルドすぎて乗り心地は……
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/アメリカ好きの「子どオジ」
ライター
竹井あきら
自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してから次期愛車を物色しつつ、近年は1馬力(乗馬)に夢中。