ショールームのようなガレージと、ホテルのような居住空間【EDGE HOUSE】
カテゴリー: カーライフ
タグ: ボルボ / フェラーリ / クーペ / SUV / オープンカー / XC60 / カリフォルニア / 458スペチアーレ / EDGEが効いている / ガレージハウス
2022/06/30
「いつかはポルシェ」「いつかはフェラーリ」。読者諸兄姉のように、無類の車好きが今回の施主。施主は、車が好きすぎて「ショールーム風」のガレージを希望した。そして叶えたのが、よく目にする“それ風”とは違う、ロードサイドで見かけるような壁の一面がガラス張りの本格的なショールームだった。
ショールームのようなガレージと、ホテルのような居住空間
中古車のホンダ ワンダーシビック(3代目シビック)から始まった施主のカーライフ。社会人になり、R32型スカイラインに乗っていた頃、顧客に連れて行ってもらった筑波サーキットで何かに火がついた。その時、目に焼きついたのがポルシェ 911 カレラ2(964型)。当時はもう993型が販売されていた頃。964型の中古車は今ほど高騰していなかったが、それでも20代前半の若者には手が出せる金額ではなかったため、当時は手頃な価格だった944ターボを購入。念願の964型の911カレラ2を手に入れたのは、30歳の時だった。
その後、35歳で起業。「いつかはフェラーリ」を目標にがむしゃらに働き、42歳でフェラーリ 360モデナの6MTを購入する。その後もBMW M3をはじめ、数々のスポーツカーに乗り、現在は458スペチアーレ、カリフォルニアのフェラーリ2台と、ボルボ XC60を所有している。
そんな車好きな施主が数年前に高台の土地を見つけた時、「1階は愛車のためのショールームのようなガレージ、2階は快適なホテル」をコンセプトにガレージハウスを建てようと思ったのは自然なことだった。設計を担当した山川設計の藤井宙輝さんは、1階と2階どちらも、下が崖になっている側をすべてガラス張りにした。「眺望の良さを最大限生かすには全面ガラス張りが理想です。ここなら崖下の道路と高低差が約5mもありますから、家の中を覗かれる心配がありません」。その結果、ロードサイドにあるディーラーのように一面すべてがガラス張りとなり、まるで本物のショールームのように。さらに、通常はマンションなどで使われる太さの鉄骨柱が用いられている。「開口部を広げられるだけでなく、太い柱を黒く塗装することで無骨な雰囲気に見せる柱になると考えました」と藤井さん。天井はエアコンを含めてすべて黒に塗装。床は石風タイルが敷き詰められ、排水溝も設けられた。
重厚感があるのもこのガレージハウスの特徴だ。道路と接する面には、スライドして開閉するアイアン製の引き戸があり、その奥の“ショールーム”には、アイアンにガラスを組み合わせた折り戸が備わる。このアイアン製の引き戸や折り戸は、この家のために作ったオリジナルデザイン。設計事務所ながら専用工場を持ち、鉄を装飾的に加工できる山川設計だからこそ、一邸ごとに個性を生かした重厚感を生み出すことが可能なのだ。
この家を俯瞰してみると、実はガラス張りにした面に向かって広がる台形となっている。2階にある造作キッチンも窓に向かって広がり、天井はせり上がっているのだ。「眺望に向かって広がる家、というのもコンセプトでした」。
こうして生まれた1階がショールーム、2階がホテルのガレージハウス。かつて筑波サーキットで目に焼きついた964型のポルシェ 911から始まり、「次はコレ!」という目標を燃料に、常に前進してきた施主に相応しく、景色が無限に広がっていくガレージハウスだった。
■主要用途:専用住宅
■構造:S造
■敷地面積:314.10㎡
■建築面積:125.09㎡
■延床面積:218.30㎡
■施工:齋藤工務店
■設計:山川設計
■TEL:0120-515-801
※カーセンサーEDGE 2022年8月号(2022年6月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています