【賢者の選択】デザインが不評? むしろそこが可愛いじゃないか! ”水冷ナロー”こと996型911こそいま狙うべき!?
2022/03/23
中古車に限らず、お買い得感があり、他車にはない魅力を備えた1台を見つけるのは、なかなか難しい。そこで本企画「賢者の選択」では、自動車のプロが今注目しているモデルを紹介する。
今回は、モータージャーナリストの西川淳氏が注目している中古車モデルを紹介してもらった。ぜひ、中古車選びの参考にしてほしい。
ポルシェ信者でなければ996型を狙うべし
カーセンサーEDGE.netのお気に入り登録は、常に30台満タンである。デバイスはもちろん、ブラウザまで使い分けて。だからボクには、気になる物件がいつも100台以上あることになる。
暇を見つけては残念ながら売れてしまった掲載終了車を削除し、その時の気分で過去の検索をやり直したり、新たに気になっているモデルを探したりして、再び満タンにしておく。それだけでもうシアワセで、新たな原稿に立ち向かうやる気スイッチも入る。
ここでは、そんなボクが時折に注目するモデルを紹介していこうと思う。『賢者の選択』などとタイトルはいささか大げさだけれども、仕事柄90年代以降のほぼすべてのモデルをその新車当時に試す機会があった車好きが真剣に探す1台だと思ってほしい。
ボクが最近欠かさず検索するモデルは、ポルシェ 911の996型でマニュアルトランスミッションの物件だ。クーペとカブリオレの両方で探す。
やっぱり911は憧れの1台で、過去には993型を所有したこともあったけれど、乗ってみればいろんな意味で別格、オールマイティすぎたため慌てて手放した。他のスポーツカーがバカらしくて乗れなくなるかも、と危惧したからだった。フェラーリにもランボルギーニにもまだまだ乗りたいと思っていた20年前くらいのことだ。
以来あらかたのモデルの所有経験を積んで、今また911に食指が動きつつあるというわけ。ところが、皆さんもよくご存じのように空冷以前の911はすさまじく高騰した。老後の楽しみにおいそれと買える相場にない。かといってあまりに新しいモデルには正直、そそられない。デカイからだ。911はコンパクトであってほしい。そして自然吸気の3ペダル、現実的な相場感となれば、911好きの間では不人気だという996型を積極的に狙う手もあると考えた。
正直、どうして996型じゃダメなのか信者ではないボクにはまるで分からない。だからチャンスだ。
初めての水冷だから? メンテナンス性の問題? それとも単純にデザインがダメ? 空冷じゃないって言ったって今じゃみんな水冷ターボなんだし、メンテナンスやクオリティの問題だって古くなればどんなモデルでも大なり小なりあるわけで、デザインは好き嫌い。ボクは996型のデザイン、嫌いじゃない。
後期ならまだしもという人もいるけれど、むしろ前期のちょっと鈍くさそう(失礼!)な雰囲気が可愛らしい。何より全体的にスレンダーなスタイルがいいじゃないか。ボクは996型のことを勝手に「水冷ナロー」と呼んでいる。サイズ的に許せるのもここまでだ。
本当はGT3、と言いたいところで、それならリセールも期待できるから120回ローンで買ったっていい(組めたら)。でも、実際に乗って楽しむことを考えると、正直パフォーマンスなんてもはやほどほどで良かったりもする。絶対的な速さが欲しいならできるだけ新しいモデルを買った方が断然いい。ちょっと古めの911はゆるりと乗った方がむしろ洒落ている。激しいオーナーはちまたに多くいらっしゃることだし。
さっき検索してみたら、カブリオレで3ペダル、400万円以下なんて物件が出てきた。うーん、マジ欲しい。
▼検索条件
ポルシェ 996型911(1998~2004年) × 全国自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。