ミラコラーレ▲ミラコラーレ代表の野田憲隆氏(左)と。これまで何度も取材をし、彼の個性的なキャラをよく知っている小沢氏。久しぶりに再会となったところ、気づけばビジネスはどんどん別方向にも拡大されていて……

「なぜこれでビジネスが成立するの?」「HP見た感じ怪しい気がするんだけど……」などなど。車社会の中で思わず「なぜ?」と思ってしまう不思議な現象に小沢コージが迫ります。

今回は、日本でも珍しいマセラティのスペシャルショップ「ミラコラーレ」へ。マセラティってそんなに流通台数もないだろうし、かっこいいけどフェラーリほど華があるわけでもないような気が……。商売になるんでしょうか? 名物社長に直接尋ねてみた。
 

小沢コージが、謎の多い中古車ビジネスを解き明かしに行きます

「人がやってないことをやるのが自分の基本ですから(笑)」

我らが中古車業界で伝説化しているのが「ミラコラーレ野田の奇跡」である。というのも、今どき輸入車専門店をやろうと思ったとき、アナタ、マセラティ選びますか? そもそも国内で年間1万台も売れないスーパーめなイタリアンブランドで、ユーザーだってあまりいないはずなのに。

30年以上前のバブル期ならともかく、今車を知ってる人や、結構なマニアが専門店をやるとしても「ポルシェ GT3系」や「フェラーリのスペチアーレ系」ならまだ理解できるが、マセラティは選ばないはず。

でも、この野田さんは38歳で車ビジネスに初参入した遅咲きにも関わらず、2004年に横浜で初めて出した店が、ほぼマセラティ専門店「ミラコラーレ」で、ソイツが今も順調なだけでなく、実は自転車、格闘技、ヨガビジネスにも手を伸ばしているってから恐れ入る。一体、どういうセンスと成長の仕方してんのよ。

そもそも車はまったくの趣味。中学2年の時、76年の雨の日本グランプリを見に行き、18歳からハチロクで峠を攻め、22歳からは年間500万円をかけて4年間も富士フレッシュマンに熱中してた車バカ系。

仕事は営業マンで、最初は医療機器、次は過酷な生命保険業界で、一時は世界トップ8%に食い込んだ猛烈オトコ。それが、ひょんなことから車業界に転身し、元々の「人がやらないことをやる」の身上からマセラティをネタにし、見事に成功させちゃってるのだ。

とはいえ、最初は相当苦しかったとか。あえて当時のマセラティ 3200クーペをネタに選び、当時全くなかった専用ホイールを50台分製作。「最初の1年間は全く売れず、完売に4年」かかったそうだが、自身のレース経験を生かし、マセラティでフェラーリなどのスーパーカーレースに自ら参戦して勝ったりしてるウチに徐々に人気上昇。

今やマフラーやサスペンション、ボディパーツなどのオリジナル商品を出し、熱烈なファンが付いているどころか、一時はマセラティから撤退したコーンズのお客さんが「ミラコラーレに行ってください」と言われて殺到してきたほど。
 

ミラコラーレ▲パっと見ると普通の車屋さんだが、並んでいるのは古めのマセラティだらけという景色……。車好きならその異質さがご理解いただけるだろう。今も日本全国のマセラティ乗りがメンテナンスやカスタムに駆け込んでおり、作業待ちの期間も長めになってしまっているのだとか
ミラコラーレ▲フェラーリとパーツを共有していることもあり、ランニングコストはやや高めのマセラティ。それでも同社は、オリジナルパーツや独自のメンテナンス知識で、極力予算を抑えたメンテナンスを心がけているそうだ。2000年代以降のモデルを中心に「1年間はトラブルなしで乗れます」とオーナーに言えるようにする、それが基本とのこと

マセラティだけで終わらないビジネス展開

今も、正規のマセラティディーラーより頼って来てくれるお客さんの方が多いとか。需要を先取りするというより、そもそも「新たな需要を創る」「畑から創る」ようなビジネスが凄いワケよ。

しかし、野田さんとしては特別なことをしているつもりはなく、新たな業務開拓の目安は前述した「人がやらないこと」の他、「自分がやって楽しいこと」らしい。マセラティでのレース活動もそうだし、その後始めた自転車ビジネスも、ついこの前始めたプロ格闘技家を手伝っている格闘技ビジネスも、ヨガ教室もみんなそうなのだ。

そもそも近隣の自転車屋『Pedalist』は、自分自身がダイエットのために自転車ツーリングをやりたいと思い、始めてしまったお店。キモは、メンテから対応バッチリのロードバイクを販売するうえに、キチッとトレーナーが付くトレーニングはもちろん、定期的なツーリングも実施しているところ。

自転車を買ってくれたお客さんが、実費のみで参加できる佐渡島一周ツーリングを年1で開催。さらに、週末グルメライドなどを行う「ポダリング班」、楽しんでレースする「ホビーレース班」、ガチレースの「レーシング班」も結成。要はハードだけでなく、ソフトも提供する自転車屋ってわけよ。

その他、最近は自転車で知り合った日本屈指の総合格闘家、水垣偉弥選手を応援して、格闘技ジム運営の手伝いや、若くて有能な車好き女性社員という人材を生かして、ヨガ教室まで始めようとしている。

さらに自転車ビジネスでは、数年前にイタリアのロードバイク、ピナレロ専門の「ペダリストピナレロショップ青山」を都心にオープン。完全予約制となっており、これがまた大盛況。年間ウン億の売上げを誇るとか。

とどまることをまったく知らない、まさにミラコラーレ野田の奇跡。まだまだ小沢は追い続けまっせ~
 

ミラコラーレ▲お客さんから「マセラティオーナーが集まれるイベントをやってくださいよ」と言われて始まったというマセラティ祭りは2012年から開催され、今年で9回目を迎える。マセラティも他のスポーツカーと同じようにサーキットで速く走れることを証明するためのイベントで、今年は昨年と同様に富士スピードウェイで行われる。開催は10月10日(日)を予定している。気になる方はぜひHPをチェック!
ミラコラーレ▲ユーザー同士の交流の場をお客さんたちが自ら企画することも多いらしく、このようなツーリングイベントも随時行われている。しかし、マセラティがここまで集まる風景は……異様です
 

■取材協力:ミラコラーレ
■住所:神奈川県横浜市港南区港南中央通7-18
■TEL:045-849-3031

文/小沢コージ、写真/ミラコラーレ、編集部