house ▲全面ガラス張りの大きなLDKと2台分のガレージ、他にバス・トイレとクローゼットが基本プラン。写真のタイプで広さは約90㎡。賃料は月17万5000円~+管理費

フェラーリ、ポルシェ、アストンマーティン、マクラーレン……。そんなスーパーカーがこぞって集まる賃貸ガレージがある。完成している4戸だけでなく、現在工事中の6戸もすでに契約済み。残りは、これから予約が開始される来年夏に完成する5戸のみ。その魅力はどこにある?
 

生命力溢れる自然の中で、車との思い出作り

箱根の仙石原にある賃貸ガレージ別荘。夕方、その一部屋で撮影していると1台、また1台と別の部屋を借りている住人が愛車に家族や友人を乗せてやってきた。「これからみんなでホタル観賞をするんですよ」と佐野順平さん。この賃貸ガレージ別荘「HC VILLAGE」の運営会社「TAKE FRONTIER」の代表取締役を務める人物だ。

佐野さんの仕事は主に複数の企業のマーケティング業務を統括すること。その取引先の1社から、たまたまこの土地の活用を任されたのだ。もともと日本経済の成長には基幹産業である自動車産業の活性化が不可欠と考えていた佐野さん。

自身も大の車好きでもある。すでに箱根ドライブの際に立ち寄れるスポットを紹介する「HC GALLERY」の運営と、低額で富士スピードウェイなどをサーキット専用車で走れる「HC SHARING」というサービスも展開。「仙石原なら、それらの基地としてもちょうど良いと考えたんです」。
 

house ▲「スーパーカーは切り返しが大変」と佐野さん。そこで切り返さず出入庫できるよう、既存品より1m広い間口5400mmのシャッターを特注
house ▲リビングから愛車を眺めるとき、ガレージはキャンバスになる。そのため中庭からの光も当たる壁や天井、床も徹底して白にこだわった
house ▲458スペチアーレなどのハイパワーマシンのエンジンは、凄まじい咆哮を放つ。そのためガレージには、高級マンション並みの防音性能と高い断熱性能が備えられている
house ▲愛車が映えるよう、照明も工夫されている。また、防犯性を考慮して各住戸の外側部分には窓が一切ない。防犯システムも完備
house ▲外側に窓がない代わりに、各戸には中庭が設けられている。全面ガラスで囲まれていて、ここからガレージや住居部分に光が差し込む
house ▲車にとって湿気は大敵。そのため各戸に除湿機が備えられている。除湿された排水は、床下に用意された排水溝を通して外へと排出される

HC VILLAGEを作るにあたり、佐野さんは次の3つにこだわった。

"その1"日中愛車を眺められるなど、究極の自己満足を叶えられる場所であること。
"その2"車好きな住民同士のコミュニティが形成できること。
"その3"車好きが車好きを続けるために必要な、家族の理解を得られること。

"その1"では、ガラス越しに愛車が眺められるのはもちろん、細部にまでこだわったガレージと部屋が作られた。

"その2"のコミュニティ形成のためには、パーティルームが設けられた。家族や車好きな住人同士が交流し、翌朝はみんなで箱根のワインディングをドライブしたり、富士スピードウェイでのサーキット走行を割安で楽しんだりできる。

"その3"は、自然豊かな箱根に家族と過ごせる賃貸別荘があれば、先述のホタル観賞のように、思い出作りがたくさんできる。つまり、家族サービスを兼ねて大好きな車を楽しめる。

実は佐野さんは、HC VILLAGEを通して、子供たちの車の原体験を大切にしたいと考えている。「オーナーがわざわざ賃貸ガレージ別荘を借りてまで収めたいと思う車は、それなりの名車で、子供にとってもカッコいい、いつか乗ってみたいと思える車なんです」。その気持ちを育むことが、将来の車好きを生み、日本の自動車産業を支える礎になる。

そういえばこの日、内見をしに来た親子がいた。小学生の男の子は我々が撮影している車たちを見て、キラキラと目を輝かせていた。

撮影した第1期工事分と、今冬完成予定の第2期分はすでに契約済み。残るのは来夏完成予定の5部屋。自分のため、家族のため、日本の将来のためにも、検討してみてはどうだろう。
 

house ▲家族や友人と食事を楽しめるパーティルーム。箱根の名店のケータリングサービスや、シェフを呼んでバーベキューを楽しめるサービスもある
house ▲完成済みは4戸+パーティルーム。写真右奥にあと11戸が建設を控える。設計を担当したのはリゾートホテルなどで有名な小川晋一都市設計事務所
house ▲パーティルームの奥には4人分のベッドルームが。また、手前にはバーベキューなどを楽しめるアウトドアガーデンが設けられている
house ▲各戸に設けられた大型クローゼット。衣類などだけでなく、タイヤや車両パーツ、ヘルメットなども収納できるよう、たっぷりとした広さがある
house ▲HC VILLAGEの入居者は、富士スピードウェイを専用車で走れる「HC SHARING」が割安で利用できる。プロドライバーによるレッスンも受けられる

■所在地:神奈川県足柄下郡箱根町
■主要用途:賃貸型別荘
■構造:木造
■敷地面積:約700坪
■一戸あたりの面積:約90㎡(第一期分)
■企画・管理・運営:HC VILLAGE
■TEL:03-6380-2012

※カーセンサーEDGE 2021年10月号(2021年8月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
 

文/籠島康弘、写真/尾形和美、HC VILLAGE