ハードギアorミニマム!あなたはどっちのキャンプスタイルが好み?
2018/08/24
キャンプシーンが変わりつつある。ファミリーキャンプから、オートキャンプへ。そして現在は自分が好きなことをキャンプで楽しむスタイルが浸透してきた。その変化の一翼を、クルマは一種の“キャンプ道具”として担う。
どんなキャンプをしたいかによって持っていく道具の量は変わり、選ぶべきクルマも変わる。多くのキャンプギアで豪華に楽しむキャンプなら大型のミニバンやSUVが必要だし、最小限の道具でのんびり過ごすキャンプにはコンパクトカーや軽自動車で十分だ。
そこでハードギアとミニマル、正反対なスタイルのキャンパー2名に密着。彼らを通じ、両スタイルの魅力を探った。オートキャンプの参考にしてほしい
クルマの違いが生む2つのキャンプスタイル。両者のこだわりとは?
今回取材したのは、フォード エコノラインに乗る秋山さんと、ホンダ N-BOXスラッシュが愛車のヤスッペさん。見てわかるように、両者のクルマはサイズ感が大きく異なる。積載量の差が出るので、キャンプのスタイルも違ってくる。
秋山さんがキャンプを始めたのは3年前。当時の愛車はメルセデス・ベンツ Vクラスだったが、険しい山中にあるキャンプ場へ行く機会が増え、エコノラインに乗り替えた。
「エコノラインは荷物を積めるし、険しい道も悠々と乗り越えられる。そのうえめったに他の人とカブりません(笑)。『昔のアメ車は壊れやすい』と言う人もいますが、実際はそうでない気がします。アメ車は、良い意味で大胆な作りというか……豪快な作りでタフ! という感じ。エコノラインも購入して半年が経ちますが、いまだノートラブルです」
どデカイ車を豪快に乗りこなす秋山さんは、キャンプギアのセレクトもセンス抜群。まず目を引いたのがローベンスの家型テント、プロスペクターだ。
「クルマと同じで、誰ともカブらないテントが欲しかった」と言うが、それだけでなくクラシカルなルックスがエコノラインともマッチ。サイズが大きくて実用性に優れ、家族4人でのキャンプでも快適な睡眠はもちろん、お子さんが室内ではしゃいでも問題なしだろう。
次に気になったのは送風機。実はこれ、プロトモデルだが秋山さんが手がけたもの。彼はデザイナーで、印刷物などだけでなく、プロダクトもデザイン。さらにアウトドアショップ『DEVISE WORKS PRODUCTS(デバイスワークスプロダクツ)』のプロデュースもこなす。
他にもシェルコンの右にあるシェラカップ、ご家族で着用しているTシャツなども彼がデザインしたもの。キャンプ暦3年だがキャンプレイアウトは洗練されており、デザイナーの本意気を感じた。
対照的にヤスッペさんは軽自動車でミニマムキャンプを楽しむ。“キャンプには不向きなのでは?”と思うかもしれないが、近年の軽自動車はキャンプでも実力を発揮する。例えばダイハツ ウェイクやホンダ N-BOXなどは積載力に優れ、使い勝手も良い。
ヤスッペさんの愛車はホンダ N-BOXスラッシュ。N-BOXシリーズの他モデルよりも全高が110mm低い設計だ。なぜ、あえてN-BOXスラッシュを選んだのか。その理由は「居心地が良かった」からだという。
「スラッシュの魅力は内装。なかなか日本車にはないデザインで、スピーカーをあちらこちらに搭載しているのが気に入りました。積載性では同シリーズの他モデルに劣りますが、逆にコンパクトで良かったと思っています。荷物量に制限がかかるので、自然と物欲も抑えられますし、『どうすればコンパクトに収納できるか』を考えるのも楽しいんです」
スラッシュを選んだことが、ヤスッペさんのキャンプスタイルをミニマルにした。選んだギアはほとんどが折りたたみ。しかも、コンパクトで厚みのないギアにこだわる。「折りたたんだときの厚みが何cmなのか。それが重要。隙間なくキレイに積載したい」と語る。
「このテントは、1シーズン限定で販売されたビッグアグネス×バートンのコラボモデル。この柄に一目惚れしました。遠くにいても目立つので、自分のサイトから離れても迷わずテントに戻れますし、何と言っても中からの景色がサイコーなんです」
実際にテントへ入ると、たしかに外と中で雰囲気が異なっていた。太陽の光でワントーン明るくなり、室内は鮮やか。外から透けてくる光が総柄になっている。
キャンプの快適さは睡眠の質に左右される。マットや暖かいシュラフなどで寝床を充実させることは、とても大事だ。しかし彼のように眺めの良いテントも、快適な睡眠をとるための策。彼のクルマ&テント選びはミニマルなだけでなく、“心地良さ”も基準になっていた。
最高のキャンプサイト=お気に入りのギア×自分にあったクルマ
ギアをたくさん使うスタイルは、便利なだけでなく、個性的なキャンプサイトを演出できるのがメリット。物を大量に運び展開・収納するのに大きな手間がかかるのが欠点だが、その分、自由度の高いサイト設営を楽しめる。
一方で、最小限なギアのミニマルスタイルは手軽さが魅力。物をあまり持ち込めない分、現地で制約が生まれるが、その制限の中で、いかに快適な空間を作り出せるかが醍醐味となる。
2人のキャンプサイトからは、そんな両スタイルの違いが見てとれた。ただ、どちらにも共通する点がある。それは「自然の中に自分好みのモノ・コトを持ち込む」という点。そんなキャンプを楽しみ尽くしたい2人だからこそ、共感できる部分があったのだろう。初対面にも関わらず、ギアを話題にすぐ意気投合した。
ギアに溢れる秋山さんのキャンプサイトを、ヤスッペさんは楽しげに見て回る。特に秋山さんの天板に興味津々。これはミヤさまの38パレット「パレ子」を、秋山さんのブランドで別注して作った逸品だ。38パレットとはインスタキャンパーとして有名な38exploreさんが手がけるプロダクト。シェルフコンテナの天板になり、自立式のミニテーブルにもなる優れ物だ。
秋山さんも、ヤスッペさんのキャンプサイトに興味があるようで、「しま次郎はやっぱりイイですね!」と目を輝かせる。
中央に焚き火台をジョイントすれば、暖をとりながら囲炉裏風に調理も楽しめるThe Arth(ざぁ~ッス)の六角テーブル「しま次郎」。天板と脚をそれぞれ解体でき、コンパクトに収納できる。「しま次郎は、僕みたいなミニマリズム思考のキャンパーには最適です」だとヤスッペさんは説明してくれた。
お気に入りの道具で作る、自分好みのキャンプサイト。そのキャンプスタイルに優劣の差はない。いかに自分好みのサイトを作ってキャンプを満喫できるかが大切。そう、2人のキャンパーが教えてくれた。
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