RX-8との一途な恋愛ストーリーのきっかけは、 幼い頃に座ったおじいちゃんの助手席
2018/12/08
車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
受け継いだロータリーエンジン
休日の横浜、大黒PAには最新のスポーツカーから旧車まで、じつに多彩で刺激的な車が集まる。
そんな賑やかなパーキングエリアの片すみに、その車はそっと止まっていた。
ガンメタリックのマツダ RX-8。
フルノーマルの端正な佇まいが、様々なモディファイを施された派手な車たちの中で新鮮に映える。
オーナーは33歳の会社員、岡部真司さん。
20歳のときに、初めてのマイカーとして新車で購入してから約12年、ずっと乗り続けている愛車だという。
「クリアが剥がれてきたので2年前にボディを同色でオールペンしましたが、他はほとんど新車当時のままです」
運転するのは主に週末だけ。走行距離はまだ6万kmにも達していない。
RX-8ひと筋とは、往年のマツダ党のようにロータリーエンジンに強いこだわりがあるにちがいない、と思ったら、どうやらそうではないようだ。
「実は祖父が車好きだったんです。幼い頃、当時70歳を過ぎていたおじいちゃんが乗っていたのがRX-7(FC)でした。それがカッコよくて、大きくなったら絶対に乗るぞって」
でも岡部さんが免許を取得したときには、すでにRX-7は生産されていなかった。そこで選んだのが後継機のRX-8だ。
ちなみにその素敵なおじいさまは、RX-7の後、もう年だから小さい方がいい、とスズキのカプチーノに乗り替えられたらしい。
自分の生き方にこだわるおじいさまから受け継いだのが、その血筋とロータリーエンジンだったわけだ。
ずっと、この車に乗り続けていたい
「RX-8の助手席に乗せてあげる夢はかなわなかったけど、この車はそんなおじいちゃんの思い出も重ねて大切に乗っています」
ノーマルの状態を保っているのは、「手を加えたいと思うところがない」から。
デザインも、ロータリーならではの加速感も、実用的な後部座席も、RX-8のすべてが気に入っている。
夢は、ずっと、このままこの車に乗り続けること。
まさに愛車、こんな一途な恋愛ストーリーがあるだろうか。
岡部さんにとって車は「自分のゆとりを確認する時間」だそうだ。
RX-8に乗り続けられたら、それはゆとりをもって生きていることの証しであり、だから岡部さんにとって、それこそは夢なのだ。
10年後も20年後も、きっと彼はこの愛車に乗り続けているだろう。
どうか未来の愛妻が、助手席でもう少し燃費のいい車を、なんて言いだしませんように……。
どんなクルマと、どんな時間を?
性能や利便性もあるけれど、得ているのは大切な時間
2003年から2012年にかけて生産されたマツダ RX-8。ロータリーエンジンに加え、センターピラーのない観音開きの4ドアクーペという孤高のスタイリングは、今もって存在感が際立つ。ちなみに岡部さんの初代RX-8の中古車は価格もこなれて人気が高い。
岡部さんは新車で購入以来、週末にはきちんとエンジンを回し、半年ごとにディーラーでオイルを交換している。フルノーマルのまま、きちんと整備されながらオーナーに愛されてきたこういう個体こそ、まさに“お宝”だと思うが、そういう車体に限ってなかなか店頭には並ばない。それだけに程度のいい中古車と出会えたら、チャンスを逃さないようにしたい。
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