▲4月10日にスポーツランドSUGOで行われた「マツダファン・エンデュランス」に参加した際の、我がチームのピットの様子。JAF公認レースではなかったが、アイテムはすべて基準に合致したものを使用した ▲4月10日にスポーツランドSUGOで行われた「マツダファン・エンデュランス」に参加した際の、我がチームのピットの様子。JAF公認レースではなかったが、アイテムはすべて基準に合致したものを使用した

JAF公認レース用の基準をクリアしているか否かが目安

カーセンサー本誌の連載や当連載でお伝えしているとおり、総額75万円の2代目ロードスター(NR-A)は、運転スキル向上のためのサーキット走行、その答え合わせの場としてのレース参加に向け、着々と仕上がっている。去る4月10日には、我がNR-Aで初めて150分の耐久レースにも参加してきた。レースの模様は5月20日から順次発売されるカーセンサー本誌並びに次回の当連載でリポートするので、乞うご期待。

ところで、「自動車レース」と一口に言っても様々な種類があるのをご存知だろうか。ウルトラザックリ説明すると、国内で行われる「自動車レース」は、一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が公認したレース(JAF公認レース)と、それ以外(いわゆる草レース)に大別できる。JAFは国際自動車連盟(FIA)から公認された自動車団体ということで、JAF公認レースで定められているルール(規則)は、F1やWRCに通じるものがあるのだ。

ここでは、比較的ルールの厳しいJAF公認レースでドライバーデビューするために必要な各種アイテム(装備品)を紹介しよう。ちなみに、先日我がNR-Aで参加した「マツダファン・エンデュランス(マツ耐)」はJAF公認レースではないものの、同等のルールが採用されていた。車両はもちろん、装備品なども公認レース用の基準をクリアしているものを揃えておけば、自動車レースへの門戸が一気に広がるということだ。そこで、JAFが定める「モータースポーツ諸規則」を参考に、「レースに出たい!」を叶えるために車以外で必要な7つのマストアイテムを紹介しよう。

①国内Aライセンス
JAF公認レースにドライバーとして出るためには、4輪自動車競技用のライセンスが必要。それが国内Aライセンス、通称「エーライ」だ。取得方法は、まず「国内Bライセンス」を取得。その後、ジムカーナやサーキットのスポーツ走行などで実戦経験した後、講習を受け合格すれば「エーライ」を取得できる。ライセンスに関しては、サーキットやモータースポーツクラブが主催するライセンス講習を受けるのが近道。ライセンス取得には、運転免許証を保有するJAFの個人会員であることが条件だ。

▲手前の赤いカードが国内Aライセンス。毎年、更新する必要がある ▲手前の赤いカードが国内Aライセンス。毎年、更新する必要がある

②競技用ヘルメット
形状は、4輪専用のフルフェイスタイプを選べばOK。ただし、厳密に基準が定められているので、必ず基準をクリアしたものをチョイスすること。それらには基準合致を証明するJAFやFIA、Snellなどのラベルが貼られている。今から買うなら、後述する頭部や頸椎の保護装置(ハンス)用のアンカー付きを選ぶのが◎。

③レーシングスーツ
いわゆるツナギタイプのレーシングスーツだが、必ずFIA基準8856-2000に合致した耐火炎タイプをチョイスすること。基準をクリアしているレーシングスーツには基準合致を証明するラベルが縫い付けられている。

▲レーシングスーツの襟に刺繍されたFIA基準8856ー2000のラベル ▲レーシングスーツの襟に刺繍されたFIA基準8856ー2000のラベル

④レーシングシューズ
サーキット走行会ではスニーカーなどでもOKだが、JAF公認レースでは必ず耐火炎タイプのレーシングシューズを着用しなければならない。レーシングスーツ同様、こちらもFIA基準8856-2000に合致したタイプをチョイスすること。

⑤レーシンググローブ
これもFIA基準8856-2000に合致したタイプをチョイスすること。

⑥バラクラバス(フェイスマスク)
バラクラバスとは、ヘルメット下に被るフェイスマスクのこと。プロレスラーが被る目出し帽タイプとはことなり、目の部分のみしか開いていない。こちらもFIA基準8856-2000に合致した耐火炎タイプをチョイスすること。

▲左からバラクラバス(フェイスマスク)、ヘルメット、レーシンググローブ ▲左からバラクラバス(フェイスマスク)、ヘルメット、レーシンググローブ

⑦頭部および頸椎の保護装置(FHRシステム。ハンスとも)
JAF公認レースでは義務ではなく着用が“推奨”されているアイテム。だが、万一の際に頸椎を保護してくれる重要な装置のため、ぜひ最初から揃えておきたい。これを着けるとプロのレーサーっぽい雰囲気が一際増すので、気分がアガる効果もあり!

▲これが頭部および頸椎の保護装置。Head And Neck Supportの頭文字をとってHANS(ハンス/ハンズ)と呼ばれる。首にU字の溝を通し、付属の金具でヘルメットに固定する ▲これが頭部および頸椎の保護装置。Head And Neck Supportの頭文字をとってHANS(ハンス/ハンズ)と呼ばれる。首にU字の溝を通し、付属の金具でヘルメットに固定する

金額的なハードルは高いが、安全には代えられない

上記7つをそっくり揃えると、金額的には少なく見積もっても30万円はくだらない。しかも、FIA基準は数年ごとに改定されるため、一度買えば一生使えるというものでもない。正直、個人ですべて揃えるのはなかなかハードルが高い。それでも、国内Aライセンスの除き、上にリストアップしたアイテムは、すべて万一の際の体へのダメージを軽減してくれるものばかり。JAF公認レースでなくとも、安全にレースを楽しむためにも、ぜひ揃えておきたいアイテムだ。

【CERCとは】
中古車情報誌『カーセンサー』の連載『CERC』のスピンオフバージョンである。カーセンサー本誌に収録しきれなかった話題を、同連載の語り手である本誌デスク本人が赤裸々に綴る。ちなみにCERCとはCarsensor Editors Racing Club(カーセンサー・エディターズ・レーシング・クラブ)の略。

【筆者プロフィール】
1970年生まれ。群馬県在住の編集・ライター。カーセンサー本誌の編集デスク担当。
2015年9月に参加したメディア対抗ロードスター4時間耐久レースでの惨憺たる結果から一念発起。運転技術を磨くべく、マツダ ロードスター(2代目)のNR-Aを購入した。

text・photo/編集部 中野