▲ニューヨークタイムスのコラム「Keeping Your Car Safe From Electronic Thieves」がスマートキーの弱点について警鐘を鳴らした ▲ニューヨークタイムスのコラム「Keeping Your Car Safe From Electronic Thieves」がスマートキーの弱点について警鐘を鳴らした

止まない車上荒らし、新しい手口も続々と出没している

車上荒らしが止まりません。つい先日、滋賀県ではゴルフクラブを中心に約430点の被害が確認され、連続窃盗事件として捜査中。埼玉県では、ファミリーレストランの駐車場に止まっていた車の窓ガラスが割られ、バッグなどが盗まれる被害が10件相次ぎ、警察は同一犯の可能性が高いとみて調べているそうです。こうなると、できるだけ自衛手段を講じたいもの。

そんなタイミングで新手の車上荒らしによる被害が北米から伝わってきました。なんとスマートエントリーキーの便利さを逆手に取り、その弱点を突くもの。手口がシンプルなだけに要注意ですが、対策も可能なのでぜひご一読を。

この手口をレポートしたのは、ニューヨークタイムスに「Keeping Your Car Safe From Electronic Thieves」と題してコラムを寄稿したのはニック・ビルトン氏。トヨタの2013年式プリウスのオーナーである彼は、ここ最近だけで3回も車上荒らしに遭っていたというのです。当然、警戒していたわけですが、去る4月6日のこと。コーヒー片手にリビングの窓から自宅前に停めたプリウスを見ていると、少年少女がなにやら黒い箱をバックパックからゴソゴソ出したかと思うと、あっさり車内に入り込んだというのです。

不思議なことに車にはキズもなく、無理やりドアをこじ開けた跡も見当たりませんでした。もちろん警察に通報。トヨタにも連絡を取って原因を究明しようとしたものの、結局どうやってプリウスに入ったのかわからなかったそうです。そこで、セキュリティの専門家に相談したところ、専門家いわく――

「スマートキーの信号を増幅させる装置を使って解錠したのです」

被害に遭わないようにするにはスマートキーを冷蔵庫に!?

ご存じのようにスマートキーは身につけておけば、車に近づいてタッチするだけでドアを開けられます。言い換えれば車に近づく必要があるのですが、犯行に使われたデバイスは、この信号を増幅させることでキーが近くにあると車に錯覚させるというものでした。スマートキーのデジタルIDを解読するようなハイテクではなかったのです。

ニック・ビルトン氏はキッチンテーブルの上にスマートキーを置いており、プリウスとの距離は約15m。本来なら有効距離の範囲外です。信号を増幅するだけとは、ある意味ローテク。ローテクだけに北米では安価にデバイスが手に入ってしまうというのですから困ったものです。今後、こういった困った機器が日本に上陸してくる可能性は否定できません。

▲何気なくスマートキーをリビングのテーブルに置いておくことが車上荒しの危険性を高める!? ▲何気なくスマートキーをリビングのテーブルに置いておくことが車上荒しの危険性を高める!?

しかし、防衛策があります。ニック・ビルトン氏のように車とスマートキーの距離が近かったとしても、キーの電波が漏れないようにすれば良いとのこと。この一件以来、ニック・ビルトン氏はスマートキーを冷蔵庫に入れるようにしているのだとか。キーが冷え冷えになるのは嫌な方は、金属製の缶などに入れて蓋をすればOKだそうです。皆さま、どうか対策をお願いいたします。

▲車上荒しの危険性を高める理由は、スマートキーを置いてある場所と車の距離にある。近いとキーの信号を増幅されてしまう可能性がある ▲車上荒しの危険性を高める理由は、スマートキーを置いてある場所と車の距離にある。近いとキーの信号を増幅されてしまう可能性がある
▲対策はキーを冷蔵庫に入れておくこと。金属製の缶に入れておくだけでも良いそうだ。また、アルミホイルなどで包んでも同じ効果が得られるという ▲対策はキーを冷蔵庫に入れておくこと。金属製の缶に入れておくだけでも良いそうだ。また、アルミホイルなどで包んでも同じ効果が得られるという
text/ブンタ Photo/ニューヨークタイムズ、graaab