上半期のガソリンスタンド倒産件数が増加
カテゴリー: カーライフ
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2012/10/03
東京商工リサーチは、2012年1月~8月のガソリンスタンド倒産件数が38件だったことを発表した。前年同期比11.7%増で、負債総額は123億9500万円。販売不振によるものが25件と全体の65.7%を占めており、ガソリンスタンド経営の難しさを物語っている。
原因はかなり複雑だ。都市部で顕著なのが、昨今話題の「車離れ」。公共交通網が整備され、必ずしも車での移動が必須でなくなったこと、趣味や娯楽の道具として利用する人が少なくなったこと、カーシェアリングや低価格レンタカーの普及で所有する人が減り、走行距離が減ったことなどが挙げられる。
さらに、度重なるエコカー減税やエコカー補助金の実施により、使用される車自体の低燃費化も進んでいる。ガソリン消費量が圧倒的に少ないハイブリッドカーのほか、ガソリンを全く使わない電気自動車(EV)も続々と登場。天然ガスを使用するCNG車の普及率も上がってきている。
原油価格の高騰に伴うガソリン料金の上昇も見逃せない要因だ。客離れを恐れ、上昇分を価格に反映できず、経営が悪化するケースが目立つ。
1998年の消防法改正による規制緩和で、セルフ式スタンドが登場したことによるガソリンスタンド同士の過当競争も原因のひとつだ。もちろん、不況の影響や先行き不透明な業界ならではの後継者不足など、一般的な倒産・廃業のパターンも存在する。
2011年2月には、再度消防法が改正され、ガソリンスタンドで燃料を貯蔵する地下タンクの油漏れ規制が大幅に強化された。設置後40年を超えたタンクに、腐食防止や液漏れ感知設備の設置などが義務づけられ、対策の猶予期間は2013年2月まで。国からの補助はあるが、費用の3分の1はガソリンスタンド側が負担しなければならない。経営の厳しいスタンドにとっては大きな負担だ。
しかし安全性という点では必然性が極めて高い法改正であるのは確か。消防庁によると、2009年の段階で、ガソリンなどの燃料が流出した事故総数は361件。そのうちタンクの腐食などが原因のものは109件となっている。消防庁はこの法令を厳密に運用していく予定で、今後数ヵ月でガソリンスタンドの数がさらに減ることは間違いない。
すでにガソリンスタンドが撤退した高速道路のサービスエリアや、もともとスタンドの数が少ない地域で、地図データの古いナビを頼りにやってきたユーザーがガス欠を起こしてロードサービスのお世話になるというケースも少なくない。今後、旅先など普段訪れない土地へ車でおもむく際は、ガソリンスタンドの有無や営業時間に十分な注意が必要だろう。