兵庫県姫路市の125cc以下の原付バイクのナンバープレートが11月15日から選択制になる。姫路市では市のイメージキャラクターの「しろまるひめ」を描いた「ご当地ナンバープレート」を採用しているが、従来のナンバープレートを求める声が挙がり2種類から選べるようになった。

日本のナンバープレートは現在3つの種類がある。登録自動車用の「自動車登録番号標」と、軽自動車や2輪車用の「車両番号標」、そして原動機付自転車や小型特殊自動車などに付けられている「標識」だ。このうち「標識」は、一部の市区町村で独自に形状やデザインが決定されている。

一般的には総務省の通達に基づいた長方形のものが使用されているが法的な拘束力はない。そのため、市区町村の条例によってデザインを決定することができる。2007年7月に愛媛県松山市が、同市を舞台にした司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』をイメージし、雲型のプレートを初めて導入したのが「ご当地プレート」の始まりだ。

現在では、全国各地の名産品や観光名所などをあしらった「ご当地プレート」が続々と登場。一般財団法人日本経済研究所の調べによると、全国1750の自治体のうち、ご当地プレートを導入している市区町村は139にのぼっている(9月5日現在)。静岡県と山梨県では2008年11月の「富士山ナンバー」登場時に「標識」にも富士山型のデザインプレートを一斉導入するなど広域に及ぶ事例もある。

当初は形状や図案によるデザインが主流だったが、2010年7月に東京都調布市が同市在住の漫画家・水木しげるが描く漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の絵を導入。以来、岡山県玉野市でいしいひさいちの「ののちゃん」、鳥取県北栄町では青山剛昌の「名探偵コナン」、東京都青梅市では赤塚不二夫の「イヤミ」や「ニャロメ」などの漫画キャラクターが登場している。茨城県高萩市の「はぎまろ」、山梨県韮崎市の「ニーラ」など、かわいい「ゆるキャラ」も人気だ。

しかし、そのかわいらしいデザインに反発が起こった。兵庫県姫路市は姫路城にちなんだゆるキャラ「しろまるひめ」をあしらったデザインのナンバーを導入しているが、11月15日から通常型も選択できるようにする。姫路市主税課によると、男女問わず「かわいすぎて、バイクに似合わない」「従来型のデザインは選べないのか?」との意見が月に2~3件程度寄せられたためだという。同市が調査したところ「ご当地プレート」を導入している自治体の多くが、通常型と選択できるシステムを採用していた。

姫路市では無料で通常型に交換できるようにする予定だが、番号は変更される。なお小型特殊自動車は従来から通常型のみの採用。ミニカーはデザインナンバーと通常型の選択が可能だったため、変更はない。車やバイク好きの好みは多種多様なようだが、ユーザーにとって選択肢が増えるのはうれしいことだ。

兵庫県姫路市の「ご当地プレート」。右側に描かれているのが当地のゆるキャラ「しろまるひめ」。ナンバーのカラーは排気量などによって区別されている

兵庫県姫路市の「ご当地プレート」。右側に描かれているのが当地のゆるキャラ「しろまるひめ」。ナンバーのカラーは排気量などによって区別されている

茨城県つくば市の「ロボット特区」で走行するモビリティロボットに交付される専用ナンバー「ロボットナンバー」。左の白色が小型特殊用、右の黒色が原付用だ

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岡山県総社市は「ご当地プレート」を2種類導入。左が「吉備路の五重塔」、右が当地出身の禅僧・雪舟にちなんだ「ネズミ」のデザイン。通常型は選択できない

岡山県総社市は「ご当地プレート」を2種類導入。左が「吉備路の五重塔」、右が当地出身の禅僧・雪舟にちなんだ「ネズミ」のデザイン。通常型は選択できない