▲AIスピーカーやBluetoothスピーカーは、果たして車用のスピーカーとして使えるのか検証します ▲AIスピーカーやBluetoothスピーカーは、果たして車用のスピーカーとして使えるのか検証します

10年落ちには、CDやMDしか再生できないカーオーディオも多い

学生時代に憧れていた高級車をお手軽に購入できるのは、中古車の魅力のひとつ。例えば、大学時代に欲しかった車をアラサーになってゲットなんてこともあるでしょう。

1980~90年代なら、10年落ちを購入するのは少し勇気が必要でしたが、今は10年落ちといっても2008年頃の車。しっかりと定期点検を受けていれば、トラブルも格段に少なくなっています。

ただ、さすがに時代を感じさせる部分も存在します。それが、オーディオまわり。

2008年とはBluetoothが誕生してから10年を迎えた年であり、また、iPhoneが日本に上陸した年。当時、対応した車はまだ珍しく、CD・MDプレイヤーなどが装着してあることが多いのです。

最近では、音楽を聴くのはスマホが主流。CDやMDで音楽を聴く人は少数派でしょう。

スマホにはスピーカーがあるので、直接、音楽を流すのもいいのですが、音がちょっと貧弱。エンジン音やロードノイズによっては、聞こえにくかったりもします。

一般的には、Bluetoothや有線のFMトランスミッターの使用が多いと思います。しかし、個人的に試してみたいと思っていたのが、「スマートスピーカー」の活用です。

スマートスピーカーで中古車をAI化してみる

スマートスピーカーとは、対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能をもつスピーカー。「○○の曲をかけて」と話しかけて音楽を再生することができ、他にも、天気予報や株価、ニュースなどを聞くことも可能です。

2017年後半に、Googleの『Google Home』とLINEの『Clova WAVE』、Amazonの『Amazon Echoシリーズ』が発売され、徐々に普及しつつあります。

そんな複数のスマートスピーカーから筆者が選んだのは、『Amazon Echoシリーズ』のひとつ『Echo Dot』。「Alexa」というAIを搭載し、「Alexa、○○」と話しかけて作動させます。

この「Alexa」、BMWやMINIに搭載されたり、トヨタも搭載を検討したりするなど、すでに自動車メーカーから熱い視線を集めています。

『Echo Dot』を選んだ理由は、「Alexa」の搭載だけではありません。ひとつは、5980円というお手軽な価格にあります。
 

▲定期的にセールが行われ、約半額で買えることもあります。そして、コンパクトなサイズ。43x 99x 99mmで車内に設置しても邪魔になりません ▲定期的にセールが行われ、約半額で買えることもあります。そして、コンパクトなサイズ。43x 99x 99mmで車内に設置しても邪魔になりません

そして、かなりの割合を占めていたのが、Amazonの定額制音楽配信サービス『Amazon Music Unlimited』の会員だから。

『Echo Dot』は普通のスピーカーとしても使えますが、『Amazon Music Unlimited』または『Amazonプライム』の会員特典である「Amazon Music」なら「Alexa ○○の曲をかけて」と話しかけるだけで、再生が始まります。

これは、運転中にはありがたい機能です。アメリカでは、Appleの定額制音楽配信サービス『Apple Music』にも対応しているので、日本に導入された暁には、さらに便利になることでしょう。
 

音楽の再生だけでなく、天気やニュースも呼びかけるだけで知ることができる

ということで、早速、車に設置して試してみました。『Echo Dot』はバッテリーを内蔵していないので、電源とつなぐ必要があります。ちなみに、電源はマイクロUSBです。
 

▲車にはAC電源があったので、そこへと接続しました ▲車にはAC電源があったので、そこへと接続しました

ネックは、『Echo Dot』を利用するためにはWi-Fi環境が必要なこと。筆者は、スマートフォンのテザリングを利用しましたが、ギガ不足が気になる人は使い放題プランのあるポケットWi-Fiなどを検討してもいいでしょう。

設定自体は、スマホにインストールした『Alexaアプリ』で行います。基本的には画面の指示に従うだけなので、スマホの操作に慣れていれば難しいことはありません。

実際に使用すると、声だけで操作できるのはかなり便利。特に、『Amazon Music Unlimited』に加入していれば、曲名やミュージシャン名に加えて、「ドライブにピッタリな曲」とか「テンションが上がる曲」などという指定で曲を再生できます。

もちろん、外部スピーカーとしても利用できるので、スマホとBluetoothで接続して、保存している音楽を聴くこともできます。

また、音楽以外でも「スキル」と呼ばれるアプリのような拡張機能を利用可能。その数は2000以上で、例えば、天気予報やニュースのスキルをインストールしておけば「Alexa、今日の天気は」とか「今日のニュースは」と話しかけるだけで、情報を得ることができます。

朝の通勤で車を利用している人にとっては、便利かもしれません。

難点もあります。それは、音声の誤認識。ロードノイズや風切り音が激しいと、認識がうまくいかないことがあります。

そもそも、室内での利用を想定しているので仕方がないところでしょう。

ただ、アメリカでは、自動車用の『Echo』として『Echo Auto』も登場しており、そのあたりが改善されているとのことなので、日本での発売も待たれます。

ちょっと面倒……。ならBluetoothスピーカーはいかが?

個人的には、「スマートスピーカー」を車に搭載するのはアリだと感じたのですが、中には面倒だと感じる人もいるでしょう。

そんな人は、Bluetoothスピーカーを搭載するといいでしょう。どうせなら、車載用のBluetoothスピーカーを使ってみてはどうでしょうか。

「そんなのある?」と思うかもしれませんが、あるんです。それが、JBLの『Smartbaseシリーズ』と『Trip』。

JBLは言わずとしれた世界的オーディオブランド。「JBLサウンド」という言葉もあるほど、音の良さはお墨付きです。オススメは『Trip』です。

なぜなら、9880円と価格が安いから。ただし、生産は終了しており流通在庫のみなので、欲しい人はお早めに。

『Trip』は、サンバイザーに取り付けるタイプの車載用Bluetoothスピーカー。充電式で最長8時間の再生が可能です。

もちろん、車内で充電コードをつなげば、再生時間を気にする必要はありません。接続はボタンを押すだけ。最初に接続すると、次からは電源を入れれば自動的に接続します。

装着方法は、サンバイザーに土台となるクリップを設置し、本体はそのクリップにマグネットとフックで取り付けるので、着脱も簡単です。

普段は自宅で使い、ドライブのときだけ車に持ち込むという使い方も可能です。また、キャンプやアウトドアでは、気軽に社外に持ち出せるメリットもあります。
 

▲取り付けはこのように簡単! ▲取り付けはこのように簡単!

マイクを内蔵しているので、スマホと接続した状態で『OK、Google』や『Hey、Siri』と呼びかける音声入力も可能です

もし、iPhoneを使っていて『Apple Music』に加入していれば、「Hey、Siri。テンションが上がる曲をかけて」で、アップテンポの音楽が再生されます。

また、メールが届いたときには内容を読み上げてもらったり、電話をかけたり取ったりすることもできます。

独自のノイズキャンセリング技術により、ロードノイズや風切り音を抑えてくれるのは、さすが“車載用”です。
 

▲コンパクトなので取り付けても視界を遮らない ▲取り付けてもコンパクトなので視界を遮らない

肝心の音質ですが、ユニットは40mm径×1、最大出力は3.2Wとカーオーディオに匹敵とまではいきませんが、そこはJBL。オーディオマニアでなければ必要十分で、ミニバンの2列目に座っていても、十分に楽しめました。
 

▲ちなみに、『Smartbaseシリーズ』は『Trip』の後継機種でダッシュボード設置型。スマートフォンを載せられるようになっており、『Smartbase Wireless』は非接触、『Smartbase Wired』は有線での充電が可能です。音質も『Trip』より良くなっています ▲ちなみに、『Smartbaseシリーズ』は『Trip』の後継機種でダッシュボード設置型。スマートフォンを載せられるようになっており、『Smartbase Wireless』は非接触、『Smartbase Wired』は有線での充電が可能です。音質も『Trip』より良くなっています

中古車の購入にあたって、もし、カーオーディオが古いことが気になっているなら、スマートスピーカーやBluetoothスピーカーを活用してみてはいかがでしょうか。
 

文/コージー林田、写真/コージー林田、JBL