ホンダの英国現地法人である「ホンダモーターヨーロッパ・リミテッド」が、ホンダ製の乗用芝刈機「HF2620」を改造したモデルで芝刈機の最高速度記録に挑戦し、時速187.60kmを樹立。「世界最速の芝刈機」としてギネス世界記録に認定された。

HF2620改は、2013年7月に英国で公開され話題を呼んだモデルで、欧州にて生産・販売していた乗用芝刈機「HF2620」をベースに、ホンダがもつスポーティなDNAをユニークな形で紹介することを狙って作られた特別モデルだ。同マシンはレーシングカーのような走りと最高速度記録樹立を目指して改造されている。

開発は、英国ツーリングカー選手権(BTCC)に「ホンダ ユアサ レーシングチーム」として欧州向けの「シビック ツアラー」で参戦中の「チーム ダイナミクス」が担当。量産モデルに搭載されていた614ccのVツインエンジン(20馬力)は、大型スポーツバイク「VTR1000Fファイヤーストーム」の995cc Vツインエンジンに変更され、最高出力はベースの5倍以上となる109馬力まで高められている。

その他、トランスミッションはパドルシフト付の6速を搭載し、フレームはクロームモリブデン鋼を用いた軽量でありながら高い剛性を実現するものを採用するなど、大幅な改良が加えられている。

そして今年の3月8日、スペインのテストコースで最高速度記録に挑戦。時速187.60kmを達成し、これまでの141.35km/hの記録を大幅に塗り替え、ギネス世界記録に認定されたというわけだ。

このギネス記録になにか特別な意味があるのかと問われれば、答えはノーだ。芝刈機が国産乗用車に付いているスピードメーターの上限を超えるスピードが必要であるはずがない。つまり、意味はない。 しかし、この試みにはロマンがある。

車がつまらなくなったなどという声が聞こえ始めて久しいが、その要因のひとつに、実用性ばかりを追求してきたからというのもあるはずだ。そんな現状へのアンチテーゼとなるかどうかは分からないが、意味がないことにこそ意味がある、この挑戦はそのことを伝えたかったのかもしれない。

加速は0-100km/hが4秒と、スーパースポーツカーに匹敵する性能を誇る。エンジンからフレームに至るまで、大きく手が加えられている

加速は0-100km/hが4秒と、スーパースポーツカーに匹敵する性能を誇る。エンジンからフレームに至るまで、大きく手が加えられている

ギネスを記録していることからも分かるとおり、もはや別物ともいえる存在ながら、実は通常の芝刈機同様に、芝を刈ることも可能となっている

ギネスを記録していることからも分かるとおり、もはや別物ともいえる存在ながら、実は通常の芝刈機同様に、芝を刈ることも可能となっている