道路やトンネル内部などを明るくする照明は安全上欠かせない装備のひとつ。しかしやみくもに照らせばいいというものではない。適切な場所に効果的に配置し、なおかつ周囲との調和をとらなくてはならない。もちろん省エネルギー化も重要だ。

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社は、従来品より約30%軽量化した「LED道路照明器具【高速道路/一般道路】」12品種を発表した。これらは「LED道路・トンネル照明導入ガイドライン(案)」に適合したものになるという。

「LED道路・トンネル照明導入ガイドライン(案)」とは国土交通省が平成23年9月に取りまとめたもので、照明類の設計に対する条件や考え方が記されている。国が管理する国道や高速道路において、交差点や歩道などの環境、また車線数によって明るさなどが細かく決められている。トンネルも内部の明るさのバランスや明かりの配置が決まっている。

安全に走行できる照明が必要な理由は、高速道路のトンネルを例にとると分かりやすい。日中の走行では時速100km/hで明るいところから急に暗い中に入るため、目が暗さに慣れずにトンネル内部の景色が見にくくなる。また入り口手前で内部の状況が見にくいと心理的な不安からブレーキを踏んでしまい、事故や渋滞に繋がることも。

そのためトンネルでは入り口から内部に行くに従いだんだんと暗くなるよう設計しているほか、排気ガスなどの影響を受けにくい照明を使用しているのだ。

「LED道路照明器具【高速道路/一般道路】」は多様な車線数に対応できるパターンを持つほか、配光の制御により道路周辺の建物や農作物への光漏れを抑えている。そして無駄な明るさを自動的にカットする機能や、時間帯ごとの明るさをあらかじめ設定できるタイマー機能なども備える。LEDなので寿命が長く、長期間使っても明るさを一定に保てるメリットもある。

2010年10月に阪神高速道路11号池田線で初めて高速道路本線用LED照明が導入されて以来、道路・トンネル用照明のLED化は急速に進んでいる。この製品が登場したことで「昔は高速道路の照明はオレンジ色でねえ…」と若い世代に話す時代もそう遠くないうちに訪れそうだ。

ポールに取り付けるタイプと、フェンスなどに設置されるアームに取り付けるタイプが用意されており、環境に対応した柔軟な設置が可能

ポールに取り付けるタイプと、フェンスなどに設置されるアームに取り付けるタイプが用意されており、環境に対応した柔軟な設置が可能

光が漏れることで都市高速周辺の建物や郊外の農作物生産に影響がでないよう、前後方向の配光を同時に制御できるようになっている

光が漏れることで都市高速周辺の建物や郊外の農作物生産に影響がでないよう、前後方向の配光を同時に制御できるようになっている